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2014.03.25
カントリーリスク&経済レポート

カントリーリスク最新情報とビジネス環境評価

リスクが最も低いのは米国、一方で主要新興市場諸国の苦闘は続く

 

先進諸国の景気回復(2013年の1.2%成長に対し2014年は1.9%と予測)は、イギリス及びアメリカに関するカントリーリスク評価の上方修正に反映されており、両国は最良のリスク区分に加わった。だが、主要新興市場諸国のリスク水準は上昇しており、ブラジル、ロシア、トルコ、ベネズエラの評価は引き下げられるか、見通しネガティブとされている。

新興市場諸国のビジネス環境は変動が続いている。ウクライナ、そしてこの点に関してもベネズエラなど多くの国が評価を引き下げられている。この他、アルジェリアなどの国では企業規制の点で進捗が見られる。

 

 

アメリカとイギリス:堅調なファンダメンタルズに基づいた評価改善

 

アメリカは最良のリスク区分に加わった。現在アメリカは、日本、カナダ、スイスと同様に「A1」の評価となっており、安定した家計消費と企業収益の回復の双方に助けられて、ダイナミックでバランスの取れた成長を見せている(コファスの予測では2014年は2.7%成長)。企業の収益性水準は、債務負担が相対的に低くなったことにより危機以前の水準まで回復している。アメリカに関する評価見直しに貢献したもう一つの要因は、2014年初頭の公的債務上限設定をめぐる危機が解決されたことである。

イギリスは、2年間の陥落を挟んで、A3(見通しポジティブ)に復帰した。これまで借り入れ緩和の後押しを受けた家計消費に牽引されていた成長は(2014年の予測は2.1%)、今年は投資水準の上昇によりさらに加速されるだろう。企業信頼感は改善しつつあるが、製造業など一部の部門では、金融サービスや建設など他部門に比べ改善が遅れている。

 

 

主要新興市場諸国の多くがプレッシャー下に

 

主要新興市場諸国では、供給問題による成長の鈍化が続いている。投資の減少により特に大きな打撃を受けているのが、BRIC諸国のうち二カ国である。

「A4」に評価を落としたブラジルでは、消費の減速と構造的問題、すなわち不十分なインフラ、適格な労働者の不足と官僚主義的な障壁といった点で成長ポテンシャルが影響されている。

ロシアでは、地政学的な緊張が、ただでさえ不振に陥っている経済をさらに悪化させつつあり、コファスはロシアを「B」(見通しネガティブ)と評価するに至った。ウクライナ危機並びに資本の逃避は、投資の減少とともにすでに低下しつつある成長率にネガティブな影響を及ぼすだろう(2013年の1.3%に対し、2014年の予測は1.0%)。

コファスが適用する基準の一つに「政治的な脆弱性」があるため、トルコの「A4」評価とベネズエラの「C」評価は、やっかいな政治危機を反映して、見通しネガティブとされた。トルコでは、この後地方選挙・大統領選挙(2014年3月及び8月)を控えており、政治的緊張によるリスクを軽視できない。コファスは、金融政策の引き締めと高インフレの影響により、2014年の経済成長は2%に減速すると予測している。企業に関しては、コファスがトルコで記録している支払状況は、2013年12月以降悪化している。

ベネズエラでは、社会的・政治的問題を背景に、景気後退とハイパーインフレーションが生じている。2015年9月の国会議員選挙までは状況は依然として不安定なままであろうし、特に企業にとっては、国有化のリスクがあり、輸入制限及び価格・利益率規制に従わなければならない。国家及び石油・天然ガス部門を取引相手とする国内外のサプライヤーは、支払の大幅な遅れに苦しめられている。

 

 

ビジネス環境は極端に分かれる

 

総合的なカントリーリスクの見直しに加えて、コファスはビジネス環境評価の年次見直しを実施した。

改善された国の一つがアルジェリアであり、ビジネス環境評価「B」、見通しネガティブから脱却している。アルジェリアは、外資プロジェクト認可手続きの緩和など、2014年金融法において導入された事業規制の変更の効果を実感しつつある。

逆に評価引き下げの方では、当然ながらウクライナのビジネス環境評価は「D」に引き下げられている。ウクライナの状況は近年、汚職の抑制及び規制の質という点で大きく悪化した。政治は非常に不安定であり、改革が多少なりとも実施される可能性は限られているであろう。

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