ニュース・レポート
2024.02.26
企業出版物

困難が続く、建設・不動産セクター

Challenging times for homebuilders and real estate companies

建設・不動産セクターが最も景気循環の激しいセクターのひとつであることは周知の事実で、労働市場、商品価格、そして何よりも金利環境と融資の受けやすさの変化に敏感である。したがって、金利が急速に上昇し、家計と不動産会社の両方からの需要が減少した結果、これらのセクターが現在緊張状態にあることは驚くことではない。しかし、後者はレバレッジを効かせていることが多く、このような状況では利益を上げることが難しくなっている。2020年後半から2021年にかけて、住宅価格と評価額が急速に上昇したためである。つまり、過去数年間に住宅購入者や不動産会社が多くの負債を負い、その負債額は少なくとも1年前の2倍になっていることが多いのだ。

 

したがって2024年は、建設・不動産セクターの大半の関係者にとっては、金利の低下や商品・エネルギー価格の変動の緩和という形で、多少の安堵感がもたらされることを期待する、複雑な年になるだろう。しかし、世界経済が減速し(コファスは、世界GDP成長率が2023年の+2.6%から2024年には2.2%に低下し、非危機年-2009年と2020年-では2008年以来最低となると予測している)、特に米国では労働市場が冷え込み、金融情勢が逼迫しているため、多くの企業にとってはサバイバルの年となるだろう。2023年第3四半期の世界債務残高は約307兆ドル(GDP比333%)、うち家計と非金融企業の債務残高は149兆ドルであり、借り換えが必要な人は、政策金利が緩和されているとはいえ、はるかに高い金利負担に直面することになるため、後者の点は非常に重要である。

 

亀裂の兆候はすでに明らかで、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本では、建設セクターの企業倒産件数が2023年には2022年比で少なくとも20%増加している。さらに、欧米では商業用不動産価格がピーク時から25%近く下落し、住宅建設・不動産企業の純利益率は2023年のすべての四半期で暫定的に低下している。このような状況下で、期待される政策金利の引き下げが、弱体化した市場を安定させるのに十分かつ適切な時期に行われるかどうかが問われている。

 

不動産市場は、金利上昇と限られた住宅供給という微妙なバランスの中で、いまだ航海を続けている。住宅価格は金利上昇に多少は適応しているものの、低金利の住宅ローンから動こうとしない、あるいは低価格で売却しようとしない売り手の意欲に起因する持続的な供給制約が、市場の活況を維持している。しかし、需要の観点からは、ほとんどの先進国、特にドイツ、日本、イタリアで価格が下落することが予測される。この結論は、住宅を投資と見なした価格モデルから導き出されたものである。しかし、住宅価格と平均家賃や所得水準との比率を単純に近似値で計算すると、住宅価格はパンデミック以前の水準に戻らなければならないとされる。

この出版物をダウンロード : 困難が続く、建設・不動産セクター (4.42 MB)

お問い合わせ


Japan

コファスジャパン信用保険会社
マーケティング&コミュニケーションズ
 小川 のりこ
 
T. +81 3 5402 6152 
noriko.ogawa@coface.com

トップ
  • 日本語
  • English