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2023.10.24
経済関連出版

ミクロ経済の悪化で試されるマクロ経済学 - コファス・ バロメーター 2023年第3 四半期

Macroeconomics put to the test by microeconomic deterioration

一次産品価格の軟化を背景に、ここ数カ月インフレ率がほぼ継続的に低下し、労働市場が活況を呈し、賃金が底堅く推移していることから、世界経済の過熱した景気を急激な景気後退を招くことなく安定成長に移行させる、ソフトランディングが期待される。エネルギー情勢は1年前と比較してはるかに安定してきており、各国の財政法案の草案からも、財政の引締めは当面は緩やかになることが示唆される。過去の行き過ぎを粛清するために長期路線を好む中国では、大幅な減速(今年の4.5%増の後、2024年には4%増)が予測されるが、まだ回復途上にある世界経済の主要エンジンのひとつであり続けるだろう。ほとんどの先進国ではイールドカーブ(利回り曲線)の逆行が少なくなっていることからも、景気後退の懸念は後退している。

全体的な経済状況が1年前より改善していることは間違いないが、楽観視はできない。すでに何度も言及してきたリスク(金融安定性、社会的・政治的リスク)に加え、インフレへの懸念はまだ残っており、出口は見えていない。
エネルギーを除けば、インフレ率は中央銀行が設定した目標を大幅に上回っており、イスラエルでの攻撃を受けて石油市場の状況は再び緊迫している。15年近く中央銀行の介入によって判読不能になっているイールドカーブの前兆を読み取ろうとするよりも、最近見られるイールドカーブの突然の平坦化は、より良好な成長見通しを動機とする真のリスク選好というよりも、金融政策に対する市場の乏しい期待と、記録的な債券発行の状況下での国に対する信用リスクである、ソブリンリスクの再評価とが関係していることを認識すべきである。株式市場については、ほとんどの市場で8月初めから約5%の下落、企業業績は全体的に下方修正されている。

 

企業の収益性とキャッシュフローが高水準にあるため、先進国経済はここ数四半期の強い逆風を乗り切ることができたが、キャッシュポジションの縮小、利ざやの悪化、金利負担の増加の中で、ここ数ヵ月に見られた債務超過の加速は、低水準の債権、底堅い雇用、家計の節約という好循環を脅かしつつある。最終的には、最終需要、ひいては世界の成長に、当初の予想以上の影響を及ぼす可能性がある。言い換えれば、経済情勢に左右されるのは企業ではなく、ミクロ経済から派生するマクロ経済なのである。従って、2024年の世界経済成長率予測(今年の+2.4%に次いで+2.2%:コンセンサスより大幅に低い)のリスクは、特に先進国経済において、基本的に弱気のままである。

 

このような状況下で、当社は7件のカントリーリスク評価(2件の上方修正と5件の下方修正)と33件のセクターリスク評価(17件の上方修正と16件の下方修正)を変更した。

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