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2015.11.24
カントリーリスク&経済レポート

建設業:フランス経済のアキレス腱

建設業:フランス経済のアキレス腱

長期にわたる低迷の末、欧州の建設業に回復の兆しが現れている。

 

フランスでは、コファスが調査対象としている14産業のうち、建設業のみが「非常に高い」リスクとされている。だが、信頼感はゆっくりと回復しつつある。新規住宅着工件数、中古住宅販売件数は2015年9月末の時点で前年比1.4%、2015年第2四半期で9.3%の増加となっている。だが、こうして小幅の上昇は見せているものの、同部門における活動は依然として危機以前の水準を下回っている。高い住宅コストと労働市場の不活発さが主な原因となって、家計による需要は引き続き弱い。

 

フランスにおける企業倒産の約3分の1は建設業

建設部門の収益は2012年以降減少を続けている。活動の上昇が見られたのは下位部門である不動産サービスだけであり、過去に例を見ないほどの不動産価格の上昇と活発な賃貸市場に支えられた形である。建設部門はフランスにおける企業倒産の約3分の1(全体の32.6%)を占めているが、負債総額ベースでは18%にすぎない。2008年の危機による影響を最も強く受けたのは小企業だったが、2012年~2013年の成長減速が致命傷となったのは中規模の企業だった。このため、倒産企業の平均売上高は2011年1月から2012年6月にかけて10%上昇し65万ユーロとなっている。

5月に始まった倒産状況の改善は10月いっぱいまで続いたが(倒産件数が4.4%減少)、分野によっては依然として苦境が続いている。倒産件数が増加しているのは屋根施工(3.4%増)、ビル建設(1.1%増)、一般石材加工(1.3%増)などであり、特に大パリ圏では、倒産件数が20%増加している。

 

構造的な制約はあるが2015年には明るい兆候

2011年以降減少が続いていた新規住宅販売戸数は2015年に増加が見られた。販売の追い風となったのは、2015年1月のピネル(Pinel)法制の改正である(子や孫、親など直系親族への賃貸が可能になった)。2015年に平均金利が史上最低になり、融資条件が有利になったことも住宅需要への追い風となった。一方で、中古住宅価格は2011年末以来7.1%下落したが、新築住宅の価格は横這いが続いている。2012年1月から2015年9月にかけて、同一賃料・同一敷地面積という条件で賃貸可能な容積は、新築で10%、中古で17%増大した。

 

とはいえ、家計による投資は引き続きその財務状況によって左右されている。フランスでは、労働市場にこれといった改善が見られないなかで、失業率は依然として非常に高い水準にある(2015年9月末で10.7%)。さらに、住宅価格の割高感が続いており、いわゆる「プロパティ・ラダー」[訳注:年代・所得に応じて条件のいい住宅に住み替えていくこと]に参入しようとする初回購入者にとっての障害となっている。住宅を保有する家計の比率は、2010年以来、57.7%のまま変化していない。

2016年は新築住宅価格の下落と企業倒産件数横這いの一年に

市場を長期的に安定させるためには、不動産価格の下方修正がまだ十分ではない。家計所得に比べて不動産価格が過大に評価されているという点で、フランスはOECD諸国のなかでも6番目に位置する。労働市場が実質的に少しでも改善され、最も所得の低い家計が「プロパティ・ラダー」に参入しやすくならない限り、価格引き下げ圧力は2016年も続くことになろう。

 

コファスのエコノミストGuillaume Baquéは、「この状況は今後も建設会社の財務の健全性に影響を及ぼしていくでしょう。公的支出の減少という状況のもとで、土木企業の事業ボリュームは今後も低下が続きます。この低下が象徴しているように、多くの企業が倒産しているにもかかわらず、企業倒産に占める建設業の比率は依然として高く、2014年末以降、倒産する建設会社の平均負債総額は増大しています。したがって2016年は、回復というよりも横這いの年になるでしょう」と話している。

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