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2014.12.12
カントリーリスク&経済レポート

フランスの低インフレ率は成長ペース変化の兆候か

“Low-flation” in France, the sign of a change in pace of growth

インフレが減速し(低インフレ率)、成長が横這いになったことで、フランスは価格下落の悪循環にはまり込む危機に瀕している。1930年代のアメリカや多くの欧州諸国が見舞われたような大恐慌という極端な状態に陥ることはないとしても、フランスは、1990年~2010年の日本で見られたような長期にわたる価格・成長の停滞を余儀なくされる可能性はあるだろうか。そうだとすれば、フランス経済とフランス企業にとって、それはどのような意味を持つだろうか。

 

日本における20年間の「低インフレ」という経験が与える教訓

 

日本は1990年から2010年にかけての20年間、「低インフレ」の時代を経験した。この時期を通じての平均で、成長率は1%、インフレ率は0.3%である。1980年代に市場開放を経てバブル経済を謳歌した日本を、最初の企業倒産の波が襲ったのは1990年代初頭だった。低収益率、過大な債務水準、生産能力過剰といった問題を抱えた多くの企業が、銀行による融資条件の引き締めに直面して窮地に陥ったのである。その銀行の側も、急激なインフレとそれに続くデフレという状況のもとで経営を悪化させていた。1997年、消費税率の引き上げにより価格が再び上昇に転じたものの、再び低インフレの時代が始まり、2010年まで続いた。この間、2001年には銀行界の再編を契機として、企業倒産件数は新たなピークを迎えている。

 

この長期にわたる価格低迷の背後には多くの要因がある。何よりもまず、銀行システムの再編があまりにも遅れたこと、第二に、日本銀行によるゼロ金利政策が成功しなかったこと、そして最後に、この時期の日本経済の実質成長率は潜在成長率を下回っており、生産能力が十分に活用されないことで価格がさらに引き下げられたこと、である。

 

深刻なデフレのリスクは低いが、長期にわたる「日本型低インフレ」のリスクは現実的

 

フランスが現実的なデフレを回避できるはずだと考えるべき理由はたくさんある。一つは賃金の回復力が比較的強いことだ。また低コストで調達できる流動性が利用しやすく、前例に囚われない中央銀行が金融市場の安定性の確保に積極的であることも、やはり価格を支える要因の一つである。これは1930年代には決定的にかけていた点であり、これによってユーロ圏はデフレという罠を回避できるはずである。

 

だが、1990年代の日本で見られたような長期にわたる「低インフレ」と低成長が生じる可能性はデフレのリスクよりも高い。実際、成長率・インフレ率とも2011年以降は下降線をたどっている。コファスの予測によれば、GDP成長率が2014年に0.4%、2015年に0.8%を上回る可能性は低い。これは2011年の2.1%に比べると相当に低い水準だ。同様に、消費者物価の伸びはわずか年0.5%(2014年10月末まで)である。インフレ率は2011年の2.3%に対して、2015年は平均0.7%で推移するだろう。もっとも、このリスクは今日の文脈に即して考える必要がある。今日のフランスの銀行界は、1990年代の日本のそれに比べてはるかに健全である。またフランスの不動産市場における余剰在庫は、当時の日本と比べれば大幅に低い。

 

 

フランス企業にとってのリスクと機会とは?

 

1990年代の日本と同様、フランスにおける「低インフレ」も危機による間接的な産物である。

 

成長率とインフレ率が同時に低下するのは、主として需要低下の結果であり、これは危機の(あるいは複数の危機)に続く時期に普通に起きる状況である。過剰な生産能力が存在しているということは(生産能力の稼働率は依然として危機以前の平均を下回っている)、多くの産業部門が特にインフレ率の低下に対して脆弱であることを意味している。こうした状況に置かれた企業は、投資を行うよりも現金資産を積み上げ債務を減らすことを選好する傾向を示す。これは中期的な成長展望という点では非生産的である。

 

とはいえ、短期的には「低インフレ」はフランス経済にとってある種の恩恵をもたらしている。何よりも、低インフレによって家計の購買力は上昇しており、従って、依然として経済成長の主役である消費にも追い風になっている。企業に関しては、低金利によって結果的に融資条件が有利になっている点以外にも、特に原油価格の低下によって生じた製造原価の削減により、収益性に好影響が出ている。当然ながら、最近の世界的な原油価格の下落によって主に恩恵を被っているのは、化学部門、輸送部門である。

こうした短期的な効果を除くと、長期的な「低インフレ」は、成長ペースが変化する兆候である。成長率・インフレ率は低下するが、同時に、企業にとっては融資条件が有利になり製造原価の上昇も鈍化する。2014年にはこのことが確認された。フランスにおける企業倒産件数を減少させるには、過去のデータから見て年1.6%以上のGDP成長率が必要だったが、実際にはGDP成長率が0.4%に留まったにもかかわらず、倒産件数は横這いとなったのである(2014年通年では前年比1.2%と小幅の減少になるという予測さえある)。

 

レポート(英語)をダウンロード

TABLE OF CONTENT :
  • Debt deflation: from theory to European reality
  • Twenty years of stagnation in Japan: how did it get to this ?
  • What are the risks for the France's economy and businesses ?

 

 

 

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