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2017.11.23
カントリーリスク&経済レポート

「ハード」ブレグジットにより、英自動車産業のイノベーション能力・競争力に深刻な影響

The effects of a "hard" Brexit will be decisive for the innovation capacity and competitiveness of the British automotive industry
  • 最初の不吉な兆候:投資、生産台数、販売台数の減少
  • 欧州統一市場へのアクセスは、現在・将来ともに依然として不可欠
  • 財務上の障害と労働者の質の低下が予想される

 

 

欧州市場への高い依存度

自動車生産台数は、2016年半ばに顕著なピークに達した後(販売台数は102万台で、1~8月は2015年の同時期に比べ8.5%増加)、2017年は2%近く減少した。欧州市場志向の強い英自動車産業の輸出動向は順調だったが(英国で組み立てられた自動車の79%は輸出され、そのうち56%は他のEU加盟国向けである)、消費者信頼感の悪化によって生じた国内需要の低下を相殺するには至っていない。

 

英自動車産業の欧州市場への依存度の高さは、輸出のみに留まらない。同セクターは自動車の組立に必要な部品の56%を輸入しており、欧州のバリューチェーンに深く統合されている。これによってコスト、在庫、生産時間の最適化が可能になっている。

 

これと平行して、2016年以来、自動車産業におけるサプライヤー、メーカーによる投資は大幅に減少している(2011~2015年の平均値に対して36%減)。2017年から2024年にかけて(自動車メーカー全社合計で)28の新車発売が予定されているにもかかわらず、このトレンドは2017年に入ってますます顕著になりつつある。多くの英自動車ブランドの親会社(タタ・モーターズ、BMW、日産、PSA)も含め、外国人投資家から見れば、「ブレグジット」交渉の難航とその結果に関する展望が今後も英国の魅力を損なうリスクがある。

 

競争力・イノベーションへの取り組みが危機に

自動車・金属セクターを専門とするコファスのエコノミスト、Khalid Aït Yahiaは、「欧州統一市場が英国の自動車産業にとって必要不可欠であることは、とても明白だ。『ハード・ブレグジット』というシナリオになれば、厳格な商品管理が導入されWTO関税が適用されるため、そのリスクはさらに増幅される」と語っている。

 

 

この場合、三つの重大な結果が感じられるようになるだろう。

 

-       競争力の低下

英国には十分な数の部品サプライヤーが存在しない。欧州では、最終的に自動車に組み付けられるまでに、自動車部品は15ヶ国を自由に移動できる。欧州連合との自由貿易協定がない場合、WTO協定に基づいて算出される関税率に従い、自動車のコストは10%、部品のコストは3%上昇する。[1]

 

-       熟練労働者の不足

英国が欧州連合に加盟していることによって、自国出身の科学技術系大卒者が不足している背景のなかでも、必要な資格を有するエンジニア、技術者の雇用が容易になっている。したがって、「離脱」派が求めるように経済的理由による移民が制限されることを想定すると、この分野における困難が短・中期的に深刻化するだろう。

 

-       イノベーションに向けた資金調達に疑問符

ハイブリッド/電気自動車の開発において英国が欧州をリードしてきたのは、一つには欧州連合が立ち上げたイノベーション資金の供給に関する諸制度によるものである(2007~2013年度第7次フレームワーク計画、これに続く「ホライズン2020」計画、さらには欧州投資銀行による2億5000万ポンドの融資)。「ブレグジット後」においては、イノベーションに向けた資金調達に疑問符がつき、英自動車セクターの足元がさらに揺らぐ可能性がある。

[1] 欧州自動車部品工業会(CLEPA)、2017年4月による。

 

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