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2023.09.19
カントリーリスク&経済レポート

ドイツ企業支払い動向調査 2023年:再びマイナス成長の可能性

On the way back to the bad old times in 2023's Germany Payment Survey

 昨年とは対照的に、コファスのドイツ企業支払い動向調査の最新版では、新型コロナウィルス感染症パンデミックやウクライナにおける戦争の勃発、また、これらに関連した商品の価格圧力といった特別な影響を受けることはなかった。このため、2023年の支払い動向はパンデミック前の水準に近づき、正常化が見られた。2023年に支払い条件を提示した企業については、再び増加し(全参加企業の79%)、2019年(81%)と同程度となった。ドイツにおける一般的な短期での与信期間の選好に変化はなく、調査対象企業の半数以上が2023年に30日以内の支払いを要求する一方、超長期(120日以上)の与信期間は依然として少ない。

 

支払遅延の数値は、近年の政府による支援策がいかに企業を助けてきたかを示している。実際、新型コロナ関連の支援策がほぼすべて終了し、エネルギー補助金の影響が平準化した現在、支払遅延を報告する企業数は正常化し、2023年には76%へと増加した(図表1参照)。とはいえ、自動車、運輸、ICTではパンデミック前の水準を上回っていることは注目に値する。支払遅延の平均期間は、2023年には30.1日(2022年比1.4日増)へと増加したが、それでもパンデミック前の平均39.7日を顕著に下回っている。ほとんどのセクター(木材、建設、繊維・衣料を除く)で支払遅延期間が増加(平均22日)し、紙・包装セクターの支払い期間は今年最短となった一方、金融セクターは最長の平均39.2日となった。

 

悲観的な見通しとリスク回避戦略の台頭

支払遅延が悪化したあとでも支払状況は比較的良好ではあるが、企業は事業の見通しについて非常に悲観的である。現在の経営状況について、2022年よりも状況が良くなっていると考えている参加者はわずか13%であるのに対し、悪くなっていると認識している参加者は41%で、今年は特に否定的な見方をしている。また、2024年の見通しにも暗雲が立ち込めている。事業の回復を見込んでいる参加者はわずか20%で、28%はさらに悪い見通しを立てている。グローバル・サプライチェーンの混乱など、単一の大きなリスクによる影響は減少しているものの、同時に企業に影響を与えるリスクの数は増加している。このような環境下で、ドイツは2022年と比べてビジネス拠点としての支持を失い、米国と東欧が人気を集めた。中国も企業にとって若干魅力的に写ったが、過去と比較すると非常に低い水準にとどまっている。これは、特定の国やサプライヤー、顧客への事業依存度を下げようとするドイツ企業のリスク回避戦略の結果でもある。今年はすでに参加企業の12%がリスク回避を選択しており、なかでも繊維衣料が最も大きな影響を受けている。今後3年間、調査に参加した全ドイツ企業の25%が、自社のビジネスにおいて脱リスク戦略を採用すると予想している。

 

全調査結果はこちら(英語)

 

 

 

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