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2015.04.22
カントリーリスク&経済レポート

米自動車部門は無事にトップギアにシフトしたのか

Picture representing an automotive production chain medium image

国内消費、さらに最近では投資増大に支えられた回復

 

米国の自動車販売台数は、金融危機の打撃による35%という急落に見舞われた後、2014年には2007年当時の水準を回復した。最近の石油価格の下落(2014年は48%低下)がこれに貢献しているのは明らかだ。だが、危機の際にあまりにも深刻な打撃を受けた自動車部門の回復には、この他にも二つの大きな要因が働いている。

 

第一に、ここまで米国経済が回復してきたということは、これまで家計は超低金利の恩恵を受けられたということを意味する。融資が利用しやすくなったことで家計の購買力が増し、車の買い換えが可能になった。こうした生活水準改善の背景には、物価の上昇ペースを賃金の上昇ペースが上回ったこともある。失業率の低下に伴い、企業は熟練労働者の賃金を引き上げつつある。これらすべてが米国家計の自国経済に対する信頼感の水準を押し上げるのに貢献している。

 

第二の要因は、明るい経済状況に促されて、自動車部門の企業が国内に生産を移しつつあることだ。製造プロセス自動化への投資によって、人件費と立地との相関関係は低下している。結果的に、わずかな例外を除いて、世界の主要自動車メーカー、自動車装備メーカーは現在米国に生産拠点を置いている。連邦/州当局は自動車部門に手厚い支援を提供しており、政策金利を引き下げ、支援政策を導入している。米国の二大メーカー向けには、「スクラップインセンティブ」と金融支援が行われている(GM及びクライスラーに注入された資金は約800億ドル)。

 

 

自動車への幻滅はあるか

 

だが、失業率の低下は若年層には及ばない傾向がある。「ミレニアル」[1]と呼ばれる若年層は、上述のような好循環に十分に取り込まれておらず、職を見つけるチャンスを最大化しようとして学校教育に留まる年数が長くなっている。その結果の一つとして、彼らは教育ローンによる多額の負債を抱えている。こうして、彼らは自動車の購入を先送りするか、高リスクのローン利用者となる。さらに彼らは、自動車を保有することをあまり重視せず、代替的な交通手段の利用を増やしているように思われる。これは「自動車こそ王様」だった米国においては意外な事実だ。20~29歳グループにおける運転免許保有者数は1995年から2010年のあいだに9%減少した。自動車に対してある種の幻滅が生じている兆候である。

 

また、低金利ローンが利用しやすくなっていることにはマイナス面もある。銀行は、融資残高に対する収益性を高める狙いで、「サブプライム」区分に該当する利用者に対してもより多くの融資を提供するようになっている。この区分にはいわゆる「ハイリスク」家計が含まれ、債務不履行件数は大幅に増大しており、2015年もそれが続くだろう。

 

もう一つの不安要因は、連邦準備制度が今年中に金利を引き上げる可能性が非常に高いことだ。大きな債務や変動金利ローンを抱えた家計にとっては負担が増し、彼らが自動車の処分を急がざるをえなくなる可能性もある。

 

 

変革に注力する自動車産業

 

自動車メーカーは、供給を調整し、以上のような変化しつつある需要に対応するモデルを確定する必要がある。新型モデルが消費者の欲望を刺激することによって販売推進に直接貢献する、自動車産業のようなサプライ主導の部門においては、強力な研究開発投資が必須になるだろう。

[1] 「ジェネレーションY」「Y世代」とも呼ばれる。

 

 

 

解説図 : 米自動車部門 

 

 

 

 

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目次
  • Strong recovery
  • A strong recovery, but not without risks
  • A sector which is adapting to these risks
  • What are the prospects for 2015 ?

 

 

 

 

 

 

 

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