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2017.12.12
カントリーリスク&経済レポート

活気あるフランス有機食品セクター、規模拡大のために本来の原則の放棄を迫られる可能性も

Although dynamic, France’s organic food sector could be forced to abandon its original principles in order to increase scale
  • 家計の有機食品志向の高まりによって同セクターは非常に力強い成長を見せ、2017年の市場規模は80億ユーロを超える見込み。
  • 有機食品企業の好調:サブセクターに占める有機食品のシェアは10%増大し、有機食品企業の倒産件数は11%減少。
  • 有機食品の供給は需要になかなか追いついていない輸入は現在29%。2009年以来、初の増加。
  • 同セクターの発展を左右する4つの重要要因。

 

 

有機食品の生産は、消費需要に対応するには不十分

 

フランスの有機食品セクターは2014年以来、二桁成長を実現している。この上昇トレンドは2017年上半期にも確認され、コファスの予測では、通年では約14%の成長となり、売上高は80億ユーロを超える見込みである。農産食品市場における有機食品のシェアは依然として小さいが(2016年は3.5%)、有機食品消費の人気は増大している。2016年、フランス人の69%は少なくとも月1回、有機食品を食べている(2012年以来、25ポイントの増加)。また、その頻度も上がっている(2016年には15%の人が毎日有機食品を食べている。2012年以来、7ポイントの増加)。[1]

 

有機農業生産は、特に周期性の強い発展を見せており、公的部門が実施する措置・支援に応じて、力強い成長と停滞の時期が交互に訪れている。フランスにおいて有機農業に用いられている土地の比率は、過去2年間に転換登録がピークに達したことで増大しているが、利用中の農地面積全体に占めるシェアは依然として小さく(2017年上半期で6.5%)、欧州の平均よりも低く、オーストリア、スウェーデン、エストニア、イタリア、チェコ共和国には大きな差をつけられている。2014~16年のあいだに行われた多くの有機転換により、近い将来、有機農産物の供給は顕著に増大すると予想されている。それにもかかわらず、消費が非常に活発であるため、恐らくこのセクターでは、生産量・生産規模を拡大するため、農業手法の調整が必要になるものと思われる。もしそうした調整が行われない場合、フランスは輸入を増やさざるをえない。有機食品消費のうち、すでに輸入は29%を占めている。

 

 有機食品生産のシェアが拡大したセクターでは、企業倒産が減少

 

コファスのデータによれば、有機農法の農場は財務体質が良好である。また、農産食品セクター全体としては年平均4.9%のペースで企業倒産が増加している一方で、有機食品の生産が拡大したセクターでは、2012年から2016年までのあいだに企業倒産が減少している。こうして、果物(シェア14.8%/倒産5.6%減少)、ワイン(シェア8.5%/倒産2.5%減少)など、いくつかのセグメントでは倒産が減少している。養蜂事業者(シェア13%/倒産5.4%増加)、羊・ヤギ飼養事業者(シェア5.1%/倒産3.2%増加)に関しては、倒産の増加は平均以下又は平均に近い水準となっている。逆に、養豚(シェア0.9%/倒産18.8%増加)、穀物(シェア2.1%/倒産12%増加)、養鶏(シェア1.4%/倒産9.5%増加)といった、有機食品生産のトレンドと関わりの低いセクターでは、企業倒産の増加幅が大きくなっている。

 

さらに、各々のサブセクターがそれぞれ特有の価格トレンドや外的要因による影響を受けているにもかかわらず、(他の条件が等しいとすれば)有機農法のシェアが大きいサブセクターの方が高い回復力を示しているように思われる。コファスでは、各サブセクターにおける総生産量に占める有機食品生産のシェアが10%増加すると、そのサブセクターにおける企業倒産が11%減少する結果になると見ている。

 

リスクを伴うが変化は不可避

 

活発さと相対的な強さにもかかわらず、有機食品セクターは変化を必要としている。この変化の方向性は、主として、従来農法分野よりも一般に19~25%低い収量を増加させられるかどうかにかかっている。精密農法(センサーの利用やロジスティクスの簡素化)に向けたイノベーションの活用と、農場の規模拡大は、収量増加に貢献する可能性がある。フランスで有機農法を採用している農場の規模(48ヘクタール)は欧州の平均(40ヘクタール)よりもやや大きいが、非有機農法の農場に比べるとはるかに小さい(これは他の欧州諸国の大半では見られない状況である)。このことは、特に大半の孤立した農場に関して、経済的な存続能力を弱めている。[2]

 

フランスの一部の有機農家は、従来の「集約的」農法とは対立する「人間サイズ」の農業を維持したいと望んでいるが、農場規模の拡大という有機食品小売セクターの集約化という避けがたいトレンドのもとで困難に直面するだろう。近年では力関係の変化が見られるとはいえ、それでもフランスの主要小売グループの影響力はかなり大きい。2016年、中・大規模スーパーマーケットの市場シェアは45%であり、2011年に比べ4ポイント低下した。これに対し、専門小売ネットワークのシェアは30%で、5ポイント上昇している。拡張志向の戦略によって、有機食品セクターの発展が加速し、新たな消費者へのアクセスが容易になる可能性がある一方で、同セクターの担い手が大規模小売企業に強く依存するようになり、農家に支払われる対価に大きな下降圧力がかかるリスクがある。

 

市場での資金調達への移行があまりに急速に進められると、有機食品市場が本来の原則(地産地消、低カーボンフットプリント、社会との結びつき、創出価値のバランスの良い配分)の一部から乖離するというシナリオが現実になる可能性がある。市場原理に基づく報酬のためには、有機食品産業が十分に成熟し、収量増大によって国家支援の縮小による所得減少を相殺できるようになる必要がある。さらに、想定される価格上昇が、一部カテゴリーの消費者に対する差別的効果を発揮する可能性がある。つまり、そうした消費者が低価格な輸入品に転じる可能性がある。

 

フランス:有機食品セクターはその原則を放棄するのか」の執筆者であるBruno De Moura Fernandesは、「結局のところ、有機食品の消費増大によって、このセクターの変化は必然的となる。そうした変化は、適応と解釈されるのか、本来の原則の放棄と見なされるか、いずれかだろう」と語る。

[1] Agence Bio/CSAによるデータ

[2] 出典:ユーロスタット

 

 

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Infographics - French organic food sector: how can it increase scale without abandoning its original principles?

 

 

 

 

 

 

 

 

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