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2013.07.16
カントリーリスク&経済レポート

ブラジルの経済的苦境:キックスタートのチャンスはあるか?

ブラジルの経済的苦境:キックスタートのチャンスはあるか?

典型的な新興国であるブラジルは、2009年の大危機の試練を見事に乗り切った。それから4年、社会的抗議がその成長モデルの失敗を目立たせ始めている。不平等は減少傾向にあるものの、依然としてかなり残っている。逼迫した労働市場とインフラの大きな格差の中で、悪名高い "ブラジル・コスト" は、企業業績にとっての大きな重荷となっている。 

 

 
注目の話題となっている構造的問題

消費によって推進されて来たブラジルの成長モデルは既に崩壊している。ブラジルは、全てのBRICs諸国の中で最低の成長率と持続的インフレを伴った矛盾した状況 (2013年には、新興国の平均が4.8% であるのに対して、3%未満) にある。

 

現在の社会不安の一因である、この擬似スタグフレーションは、金融政策より以上にこの "ブラジル・コスト" に由来している。労働市場へのプレッシャー、期待外れの生産性、熟練労働者の不足、単位労働コストの著しい上昇、維持するのに悪戦苦闘するインフラ、などと言った多くの構造的問題が現在の短期的な問題となっている。

 

"ブラジルのスタグフレーションに対する救済策は、経済政策の中ではなく、教育、医療およびインフラの改革の中に見出されるべきである。このことはまた、単なる消費者主義ではもはや満足することができない、怒れる中産階級からの要求とも一致している。たとえ、ディルマ・ルセフ大統領がこのような状況に対処する決意だ、と断言しても、その結果は大分先になってからでないと見られないだろう" と、コファスのチーフ・エコノミストであるイヴ・ズロトウスキは述べている。

 

そのハンディキャップにも拘わらず、ブラジルは企業にとって引き続き魅力的である
低成長と高金利の結果、ブラジル企業はその影響を被っている。こうした背景の下で、ブラジル企業は債務の返済が困難になっており、コファスは、ブラジル企業が関与した支払事故の急増を記録した。 “ブラジル・コスト” の問題は、多くのセクターにおいて大きな障害となっている。即ち:
  • 賃金上昇圧力は、化学産業の競争力 を蝕みつつある
  • エネルギー・コストは、鉄鋼産業 に重荷を負わせている
  • 小さな農業食品生産者たちの教育レベルの低さは、新しいテクノロジーの導入や、政府助成融資へのアクセスに対しての深刻な障害となっている。

これらの弱点にも拘わらず、コファスによって中国やポーランドと同レベルのA3 に評価されたブラジルは、それでも有望な市場である。ブラジルの起業家的世界の基礎構造は、2つの大きな利点を有している。その1:海外からの圧力を受け易いセクターにおける保護主義や減税の要素を含む、当局の強力なサポート。その2:特に、好調な2つの分野である、依然として投資意欲の強い自動車産業と小売業における、中産階級からの需要の回復がそれである。  

 

 経済的および 社会政治的問題に取り組み、いくつかのセクターに焦点を当てている、完全なファイルは、下記から入手することができます:

http://www.coface.com/News-Publications/Publications/Brazil-s-economy-Worrying-weaknesses

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