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コファス アジア太平洋地域(APAC)支払動向調査2026 :好調な経済成長下でも続く台湾企業の支払遅延

AI需要を背景に台湾経済が力強い成長を続ける一方で、企業の支払遅延は依然として広範な課題となっています。コファスが実施したAPAC 支払動向調査 2026によると、調査対象となった台湾企業の95%が過去12カ月間に少なくとも1件の支払遅延を経験しており、アジア太平洋地域平均の91%を上回りました。

  • 過去12カ月間に支払遅延を経験した台湾企業は95%。アジア太平洋地域全体の91%を上回る水準。
  • 平均支払期間は77.1日。アジア太平洋地域平均の70.2日を約7日上回る水準。
  • 平均支払遅延期間は69.3日。地域平均の68.1日とほぼ同水準。
  • 36%の企業が少なくとも1件の顧客による債務不履行を経験。特に自動車、食品・農業、建設セクターで高水準。
  • 食品・農業および建設セクターの平均支払期間は約99日で最長。同時に、支払遅延期間も長い業種の一つ。
  • 今後12カ月間の支払環境悪化を予想する企業は39%。化学業界が最も慎重な見通し。

支払遅延を経験した企業のうち、食品・農業、自動車、運輸、金属の各セクターでは、平均支払遅延期間が80日を超え、全業種平均を大幅に上回りました。このことは、AI関連需要の恩恵を比較的受けにくい伝統産業において、景気回復が進む中でも運転資本への圧力が依然として大きいことを示しています。

「台湾企業の支払動向は業種によって大きな差があります。ICT業界は比較的高い耐性を示している一方で、自動車、農業、建設など、AIブームの恩恵を受けにくい業界では、支払遅延や顧客の債務不履行の発生率が大幅に高くなっています。また、ICT業界においても、調査対象企業の約半数が顧客の債務不履行を経験しています」と、コファス北アジア地域担当エコノミストであるJunyu Tanは述べています。「企業は、台湾のAI主導による力強い経済成長を、信用環境全体の改善と安易に捉えるべきではありません。信用リスクについては、業界全体だけでなく、個々の取引先レベルでも慎重に評価する必要があります。」

支払期間の長期化による運転資本への負担

台湾企業の平均支払期間は77.1日と、アジア太平洋地域平均を約7日上回りました。通常30日以内の支払期間を設定している企業は16%にとどまり、アジア太平洋地域平均の32%を大きく下回っています。一方、16%の企業は90日を超える支払期間を顧客に提供していました。

 また、台湾における平均支払遅延期間は、契約上の支払期限を69.3日超過していました。このため、市場平均の支払期間と支払遅延期間を合わせると、サプライヤーが請求書発行から代金回収までに約5カ月を要する計算となります。

 こうした影響は業種や企業によって異なります。手元資金に余裕のある企業であれば長期化する回収サイクルへの対応が可能ですが、流動性が限られている企業や顧客集中度の高い企業では、支払遅延による影響がより深刻になる可能性があります。

AIブーム下で広がる業種間の信用環境格差

支払条件は業種によって大きく異なります。AI主導の景気拡大の恩恵は一様ではなく、一部の伝統的な製造業では、需要の低迷や価格競争に加え、構造転換に伴う圧力に引き続き直面しています。

 食品・農業および建設業界の平均支払期間は約99日と最長で、台湾全体の平均である77.1日を約3週間上回りました。両業界は支払遅延の面でも厳しい状況にあります。食品・農業業界の平均支払遅延期間は約93日と調査対象業界で最長となり、建設業界も約75日と高い水準を記録しました。

 自動車業界と運輸業界でも支払遅延期間は長く、平均でそれぞれ約84日、約83日に達しました。一方、ICT業界の平均支払期間は約57日と最も短い結果となりました。ICT業界でも支払遅延が発生するケースはあるものの、支払期間自体が短いため、請求から入金までの期間全体は比較的抑えられています。

 こうした業種間の違いは調査結果にも表れています。支払遅延の発生に影響する要因として、台湾企業が最も多く挙げたのは「顧客の財務状況・信用力」と「顧客が属する業界」で、いずれも20.3%でした。次いで「顧客企業の規模」が18.9%、「マクロ経済環境」が13.5%となりました。

調査対象企業の3社に1社超が顧客の債務不履行を経験

台湾企業の36%が、過去12カ月間に少なくとも1件の顧客による債務不履行を経験しました。この割合はアジア太平洋地域平均の45%を下回るものの、信用リスクの存在を示す結果となっています。特に自動車、農業、建設業界でその傾向が顕著でした。また、ICT業界でも調査対象企業の40%超が過去1年間に債務不履行を経験しており、AI関連需要の拡大が必ずしも信用リスクの低下につながっていないことがうかがえます。

 「AI需要を背景とした経済成長は、台湾企業に大きな成長機会をもたらしています。しかし、それによって信用リスクが解消されるわけではありません。今回の調査でも、支払遅延や顧客の債務不履行が、依然として幅広い業界の企業にとって重要な課題であることが明らかになりました。企業がさらなる成長を目指す中でも、健全なキャッシュフローの維持と信用リスク管理の強化を経営上の重要課題として位置付ける必要があります。取引信用保険と包括的な与信管理を活用することで、企業は売掛債権の保全を図り、不確実性への対応力を高めることができます」と、コファス台湾 ゼネラルマネージャーのSarah Chuは述べています。「持続的な成長には、売上の拡大だけでなく、現在の事業環境においてリスクを適切に管理することが欠かせません。」

化学業界で強まる先行きへの警戒感

台湾企業は今後の支払環境について慎重な見方を維持しているものの、アジア太平洋地域全体と比べると悲観的な見方はやや限定的です。今後12カ月間で顧客の支払環境が悪化すると予想する企業は39%で、アジア太平洋地域平均の48%を下回りました。一方、37%は現状維持を見込み、24%は改善を予想しています。

こうした見通しは業種によって大きく異なります。中でも化学業界は最も慎重な姿勢を示しており、約3分の2の企業が支払環境の悪化を予想しています。注目すべき点は、同業界の決済サイクルが現在は平均を下回る水準にあるにもかかわらず、将来の支払動向に対して強い警戒感を抱いていることです。

 木材業界やエネルギー業界でも比較的慎重な見方が広がっています。一方、運輸業界と繊維業界では、より前向きな見通しが示されました。ただし、回答企業数が比較的少ない業界については、結果の解釈に一定の留意が必要です。

支払遅延の損失化を防ぐための早期対応

調査対象となった台湾企業の95%が支払遅延の影響を受けており、さらに39%が今後1年間で支払環境の悪化を見込んでいることから、顧客リスクの適切な管理がこれまで以上に重要となっています。社内の支払履歴に加え、最新の財務情報、業界動向の分析、外部のリスク指標を組み合わせることで、企業は信用状況の悪化が見られる取引先を早期に把握し、キャッシュフローへの影響を抑えることができます。

コファス アジア太平洋地域 (APAC)支払動向調査 2026について

コファス アジア太平洋地域  支払動向調査 は今回で16回目を迎え、2026年3月から4月にかけて実施されました。台湾の159人を含む、アジア太平洋地域10市場の幅広い業種に所属する2,800人の財務担当者を対象に調査を行っています。本調査では、企業間取引における支払慣行の変化や資金流動性への圧力、顧客の債務不履行、早期警戒シグナルなどを分析しています。また、支払リスクに対する組織の耐性向上に向けて、ガバナンス体制、データ分析の活用、エスカレーションの仕組み、顧客との関係構築に関する取り組みについても評価しています。

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