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2021.07.05
カントリーリスク&経済レポート

アジア企業の支払い動向調査2021: 支払いの遅延トレンドは安定化し、企業は明るい見通しだがリスクや不確実...

アジア企業の支払い動向調査2021:  支払いの遅延トレンドは安定化し、企業は明るい見通しだがリスクや不確実性は残る

2020年10月から2021年3月の間に実施されたコファスの2021年アジア企業支払い動向調査は、新型コロナウイルスが流行したこの年、アジア・パシフィック地域の2,500社あまりの支払い動向および与信管理の実践の動きについて研究している。回答企業は、アジア・パシフィック地域に位置する9つの市場(オーストアリア、中国、香港特別行政区、インド、日本、マレーシア、シンガポール、タイおよび台湾)と13のセクターから得られた。

 

 

新型コロナウイルスの影響にもかかわらず、支払い遅延は悪化せず

回答企業の65%が、2020年は2019年と同様の支払い遅延状況を経験した。経済環境の悪化にもかかわらず、コファスが実行した調査では、2020年に支払い遅延は改善したことが実証され、強力な政策対応により、支払い遅延の平均期間がこの5年では最小となった。支払い遅延の短期化は、調査対象の9カ国のうち6つで、そして13セクターのうち10セクターで見られた。このトレンドの一部は、経済活動への新型コロナウイルスの影響を緩和する目的で行われた、堅実かつ協調的な政策対応と、与信管理の引き締めとキャッシュフローの回復の強化に向けた企業の動きとによるものであった。支払い条件の引き締め政策は、アジア・パシフィック地域における支払い遅延の平均期間が、2019年の85日から2020年の79日へと短縮され、2015年以降最小の平均値となったことに反映された。 

 

しかし、オーストラリアおよび香港においては信用リスクが高まっており、両国では支払い遅延の大幅増、そしてより決定的なこととして、超長期の支払い遅延(Ultra Long Payment Default, UPLD=未入金日数が 180 日を超える超長期支払遅延債権)が回答企業の年間総売上高の2%に達した。コファスによると、超長期の支払い遅延のうち80%は支払われることがない。その一方で、新型コロナウイルスの影響を最も深刻な形で受けた小売建設および輸送セクターにおいては、年間総売上高の2%を超えるULPDが最も増大し、キャッシュフローリスクの増大を示している。 

 

2021年における経済の回復: オーストラリアの企業と自動車産業が最も楽観的

2020年は、経済や社会への新型コロナウイルスの影響で特徴づけられる年であった。通常は段階的でより浅い今までの景気後退と異なり、新型コロナウイルスによる景気後退は、同ウイルス独特の性格により、急激かつ深刻なものであった。調査では、企業に経済活動におけるコロナ禍の影響についての質問も行われた。日本台湾では需要減が企業の売上とキャッシュフローに影響を与える主な理由であった一方、中国では原材料の価格高騰が最も回答された理由として述べられた。多くの企業が季節労働者に頼るインドにおいて最も回答された影響は、ロックダウン措置による不十分な労働力が事業活動を中断させたことにあった。

堅実で協調的な政策対応、デジタル化へのシフトの加速、および厳格なロックダウン措置後に経済活動の一部再開に踏み切った国々がある状況では、経済回復は急激であるものの不均衡である。しかし企業は、2021年に経済成長が改善することを期待している。最も楽観的なのはオーストラリアの企業であり、回答企業のうち80%が経済成長の増大を予測しており、これに続くのがインド(76%)、中国(73%)、マレーシア(73%)と台湾(71%)である。その一方、2021年において経済成長の改善を見込む回答企業が3分の2を下回ったのは、日本(61%)だけである。

セクター別では、自動車セクターが今年の販売業績に対して最も楽観的な景況感を置いており、回答企業の66%が改善を予測している。これに続くのは、エネルギー(64%)、金属(64%)、製紙(63%)および医薬品(61%)の各セクターである。今後12か月でキャッシュフローの改善を予測している企業の割合が最も多いのは自動車農業・食品および医薬品セクターで、それぞれ55%であり、これに続くのが金属(53%)、製紙(52%)および化学(51%)の各セクターである。

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情報および通信装置の輸出がアジアの成長を牽引するもののリスクは残る

通常の経済状況への移行が続く中、コファスではアジア・パシフィック地域が、2020年の収縮後にプラスの経済成長を示すことを期待している。2020年に調査が行われた9カ国の中で、最も急激な収縮が起きたインドにおいて、経済成長のペースは最速となる(+9.0%)。これに続くのが中国(+7.5%)、シンガポール(+6.3%)、台湾(+5.6%)、オーストラリア(5.0%)、香港(+4.8%)、マレーシア(+4.6%)、日本(+2.7%)およびタイ(+2.2%)である。在宅勤務および在宅勉強に向けた世界的なシフトにより、情報通信(ICT)装置への需要が高まったため、外需がアジアにおける経済回復の主要なエンジンとなった。

 

これにより、中国(+40%、年度累計)、台湾(21%、年度累計)、マレーシア(28%、年度累計)およびシンガポール(9%、年度累計)のように、ICT製品の主要輸出国である、この地域のいくつかの経済が大きなメリットを受けた。資本投資の増大も、電子機器や電気機械の売上を増大させた。しかし、労働市場の改善がそれほど見られず、アジア・パシフィック地域の大部分が移動に関して再び制限がかかったため、個人消費の回復ははるかに緩やかなものであり、製造や輸出の成長と比べて遅れている。国際旅行の抑制は相変わらずであり、これにより観光セクターの回復が妨げられている。

 

「コファスのベースラインシナリオでは、2021年後半に新型コロナウイルスの感染の新たな波はなく、ワクチン接種の増加により回復力が増大すると想定している。ただし、現在の環境のままでは予測が困難なことに留意する必要がある。さらに、アジア発の輸出の伸びを制限する可能性のある広範囲な半導体不足や、企業のマージンを圧縮し、需要に重くのしかかる物価上昇のように、回復に伴なうリスクがある。」コファスアジア・パシフィックのエコノミスト、バーナード・オウは、このように語った。

 

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