2019年ドイツ企業の支払調査:潮の変わり目

2019年は85%の企業が支払遅延を報告している。これは、2017年から7パーセントポイントの増加である。
442社を対象としたコファスの2019年ドイツ支払調査によると、ドイツは変化の局面を迎えている。国際競争の圧力は高まっており、企業のキャッシュフローに対する圧力が高まり続けている原因の一つとなっている。平均して、ドイツ企業の支払期間は、2017年の29.8日から、2019年は35.9日に延びている。
信用リスクは保証されているとしても、企業の顧客に対する信頼は低下している。短期・中期の与信期間が依然として市場で優位を占めており、87%の企業が60日以内の支払いを求めている。これは世界と比較すると非常に短い期間である。支払期限を守れなかった顧客の影響を受けているドイツ企業の割合は、2年前の78%から、今や85%に増えている。
セクターによって異なる状況
支払遅延企業の数が最も増えたのは繊維・衣料品セクター(58%から78%)、卸売・小売セクター(75%から89%)、自動車セクター(73%から81%)だった。支払期間の延長は、医薬品・化学品分野や金属分野でも顕著である。
一方、輸送セクターでは、支払期間は高水準のままではあるが短縮した(86%から81%)。
支払遅延の理由は主に顧客の経営上の問題による財政難であるが、競争の激化と資金不足も理由として挙げられる。さらに、将来についての景況感も大きく悪化しており、2019年をプラス成長の年ととらえる企業は20%に過ぎない。
特に楽観的なのはICT(情報通信技術)セクターのみであり、同セクターの企業のほぼ半数が2019年の事業展望は2018年よりも良好だと答えている。
暗雲の兆し
ドイツ企業の楽観的な見方がこのように悪化している理由の中で、強調することができるのは世界的な政治リスクである。およそ20%の企業が、ドナルド・トランプ米大統領の保護主義的な政策と米中の貿易摩擦を自社の輸出に対する主要なリスクと考えている。これに続くのが英国のEU離脱であり、15%の企業がこれをリスクとして挙げている。2017年に英国のEU離脱を懸念していた企業はわずか3%だった。