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2014.06.12
カントリーリスク&経済レポート

コファス、西欧と「新」新興市場諸国についてリスクの改善を指摘

コファス、西欧と「新」新興市場諸国についてリスクの改善を指摘

2014年第1四半期には、グローバル成長の加速が確認された。コファスの予測では、成長率は2013年の2.6%から、2014年には3%近く、2015年には3.3%になると見られる。ユーロ圏(2014年の予想は1.1%)はゆっくりとではあるが確実に、深刻な二番底から回復しつつある。米国は1月の悪天候にもかかわらず、ダイナミックでバランスの取れた成長を見せている(2014年の予想は2.7%)。このように、成長のバランス回復が進行している。先進諸国の成長への貢献は全体の3分の1となり(2013年には4分の1に留まった)、新興市場諸国が3分の2を担うことになろう。

 

 

コファスが複数の欧州諸国及び新興市場諸国の評価を上方修正したのは、こうした回復が確認されたことを背景としている。

 

ドイツ、オーストリア、イギリス、スペイン:投資増加に基づく改善

 

西欧では景気回復がリスクの安定ないし改善をもたらしている。

 

ドイツオーストリアは5年ぶりにリスク区分のなかで最高となるA1を回復し、米国、日本、スイスと肩を並べた。ドイツは欧州の牽引役としての立場を固め、非常にバランスのよい成長を見せている(2013年の0.5%に対し、2014年の予想は2%)。過去に例がないほど低調だった消費には活気が生まれ、投資も再開された。したがってドイツ経済のアクターの信頼感は高く、倒産件数(前年比8%減)及びそれに伴うコスト(同30%減)の減少も追い風になってる。オーストリアでは信用コストの低下、ドイツ・米国・東欧の景気回復が企業にとって好材料となっており、手元資金も潤沢である。2013年のAlpine Bau社の倒産以降は、オーストリアでは数ヶ月にわたって企業倒産が減少している。

 

イギリスの評価はA2に上昇した。2014年の成長率は2.4%と予想されており、ドイツ(2%)を凌駕し米国並みのダイナミックな成長となる可能性がある。失業率の低下により消費は増大している。今日のイギリス経済の成長はこれまでより健全であり、企業による投資は好調で、2014年・2015年の経済活動の主役になるだろう。さらにイングランド銀行は、不動産市場の過熱を抑え、中小企業による信用アクセスを有利にするための措置をすでにとっている。最後に、イギリスの産業界には、ダイナミックな技術革新を特徴とする再編の兆しが見えており、製薬、自動車、航空宇宙、国防といった産業における輸出の成功にその実例が見られる。

 

ヨーロッパで危機の影響を強く受けた別のもう一つの国でも、さらに明るい変化が見られる。スペインはB評価だが、見通しは「ポジティブ」となっている。スペイン経済の回復は加速しており、2014年の成長率は1.2%、2015年は1.7%と予想されている。労働コストの低下のおかげで輸出は伸びており、特に新興市場諸国向けが活況を呈している。民間部門債務は多いが、企業によるレバレッジ解消は進んでいる。企業の財務状況が顕著に改善している点に注目しよう。利益率(2013年は45%改善)、キャッシュフロー(100%以上改善)とも回復している。失業率と家計債務が高水準であることが大きな弱点となっているが、めざましい輸出業績に続いて国内需要も回復の兆しを見せており、明るい展開になっているのは否定できない。

 

ラトビア、ロシア・ウクライナの地政学的状況の影響を受ける

 

ラトビアはB評価だが、「ポジティブ」の見通しは撤回された。天然ガス供給をロシアに依存しているためである。ウクライナをめぐる地政学的な緊張は、東欧のプレイヤーの信頼感に影響を及ぼす可能性が高く、コファスが「ポジティブ」見通しを撤回したのは、ラトビアがロシア産天然ガスに大きく依存しているためである。

 

ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、スリランカ:高いポテンシャルを示す

 

新興市場諸国の成長率は引き続き高い。2014年は3.3%、2015年は4.7%と予想される。依然として中産階級の拡大に後押しされており、また特に輸出を介して先進諸国の成長見通しの改善による好影響も受けている。だが「主要」新興市場諸国のダイナミズムは、国内供給の制約と政治的・社会的リスクにより限定されるだろう。

 

反対に、他の有望な新興市場諸国は、こうした弱点による影響をまったく、あるいはほとんど受けていない。ビジネス環境には問題がある場合が多いが、いくつかのアフリカ・アジア諸国では成長ポテンシャルが特に高くなっている。こうした見解に基づき、コファスではケニア(B)、ナイジェリア(C)、ルワンダ(C)のカントリーリスク評価を1段階改善することにした。またスリランカは、海外駐在者の移動の急増に牽引された収益および消費により、活発な成長を享受している(コファスの予想では2014年は7%、2015年は6.5%)。

 

スリランカとケニアは、コファスが有望な新興市場諸国として見出した10カ国に含まれている。

 

 

 

資料

 

コファス・カントリーリスク評価は、短期的な商取引という背景において、ある国の企業が被る平均的な不払いリスクを測定するものである。これには政府債務は含まれない。評価を行うにあたって、コファスは当該国の経済、政治、金融の概況、コファスの把握する企業の支払状況、当該国のビジネス環境を総括する。

カントリーリスク及びビジネス環境評価は、A1、A2、A3、A4、B、C、Dの7段階評価だが、これに見通しの区分が付記される場合もある。

 

 

 

評価引き上げ、見通しネガティブのリストからの削除、見通しポジティブのリストへの追加が行われた国

 

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 評価引き下げ、見通しポジティブのリストからの削除、見通しネガティブのリストへの追加が行われた国

 

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