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2019.04.24
カントリーリスク&経済レポート

産業循環の転換がヨーロッパと北米の化学品セクターに打撃

The turnaround in the industrial cycle hits companies in the chemicals sector in Europe and North America
  • 今後も世界経済の減速が進む兆し
  • 2019年 - 破産件数は3分の2の国で増加(西欧では+3%)
  • ヨーロッパと北米の化学品産業は自動車セクターでのチャンスが減った悪影響を被る
  • 評価の改善はサウジアラビアの格上げ(B)など中東に集中

 

ユーロ圏で過去30年間における最長の好景気が昨年11月に終わりを告げた。2019年の第1四半期にはこの影響が見られ、世界経済成長は減速しており(コファスの予測では2018年の3%に対して2.3%)、世界のGDP成長は2016年以降で最低となると予想され(2018年から0.3パーセント・ポイント減少して+2.9%)、企業の信頼感は大幅に薄れ、投資額を押し下げている。今年、企業の破産件数は、分析を行った30カ国のうち26カ国で増加すると予想されている。2018年では増加は19カ国にとどまっていた。

 

当然ながら、ヨーロッパの企業が最も低迷している。コファスでは破産件数は西欧で3%、中欧及び東欧で4%増加すると予測している。ドイツでは製造部門における企業の信頼感の低下が隣国と比べてはるかに大きい。ドイツ経済は高度に開かれており、さらにトルコ、英国、中国、そして幾分リスクが低いとはいえ米国などといったリスクの高い相手国との関わりの大きさと相まって、海外向け販売の不振に繋がっている。メーカーへの発注件数は3月には4%以上減少し、2017年1月以来の低い数字となった。

 

自動車セクターの状態を受け、コファスでは今年初めにヨーロッパ、北米および中南米の評価を引き下げたが、今度は自動車販売台数の落ち込みの影響でインプット側のサプライヤーが打撃を被っている。特に大きな影響を被っているのが化学品である。石油化学製品業も石油とエタンの価格、規制枠組みの変更、及び環境への意識が高まっている消費者行動の変化の影響を受けやすい。この傾向を受けて、コファスは化学品セクターについては米国、ドイツ及びオランダを中リスクへ、さらにフランス、英国及びイタリアを高リスクへとそれぞれ格下げした。

 

石油価格の上昇(コファスの予測では2019年は平均で65ドルと適切な水準にとどまっている)と、米国連邦準備銀行の金融政策に最近になって変化が見られたことが、中東の信用リスクの安定化に繋がっている。このため、サウジアラビアの評価はBへ格上げされた。繊維・衣服セクターと木材セクターも、予算支出の増加の恩恵を受けており、これらのセクターは中リスクへと評価を格上げされることになった。アラブ首長国連邦のカントリーリスクは昨年2月に改善されたが、同国では次の3つのセクターが中リスクに格付けされている。主として2020年の万博を含む多くのインフラプロジェクトの結果として自動車セクター、力強い成長、投資、及び観光がけん引する小売セクター、そして購買力の向上と消費者行動の変化に関連する繊維・衣類セクターである。

 

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