ポーランド破産件数報告書:好景気にもかかわらず、破産件数と再編手続件数は依然として増えている

- 2017年の第3四半期までの破産件数と再編手続件数は、前年同期比で14%増加している
- 手続件数はほとんどのセクターで生じている
- 国内需要は、世界的な貿易の動向が改善したことに支えられた輸出の回復とあいまって、ポーランドのGDP成長をこの先数四半期は堅調な水準に支えていく
- GDP成長は2017年には3.9%に上昇する
再編手続件数は+14%となり、ほとんどのセクターに影響を及ぼしている
ポーランドの企業セクターは、経済活動の加速の恩恵を受けている。これは、経済成長のペースがもっと遅かった昨年の状況からは好転している。ポーランドのGDP成長は2015年に3.8%を記録したが、その後2016年には2.7%に下落した。これには、EUの資金の新しいプログラムの始動が遅れたことで固定資産投資が落ち込んだことが影響している。GDP成長は回復を見せており、2017年の上半期は前年同期比4%に達している。EUによる共同出資プロジェクトが支えるインフラ事業と、企業の能力の向上とによって、投資は回復し始めている。それでもなお、家計消費は依然として最大の原動力である。ポーランドの労働市場は、今年も改善を続けている。失業率は史上最低を更新し続けており、2017年8月には4.7%にまで低下した。これは、EU平均の7.6%を大幅に下回る。賃金も引き続き上昇を続けている。2014年以降、賃金は少なくとも年率3%という堅調な伸びを続けてきた。さらに、ポーランドの家庭は史上最も低い中央銀行の金利の恩恵を受けている。その結果、国内需要は、世界的な貿易の動向が改善したことに支えられた輸出の回復とあいまって、ポーランドのGDP成長をこの先数四半期は堅調な水準に支えていくだろう。
このように、ポーランドでは堅調に経済が拡大しているにもかかわらず、2017年の第3四半期までの破産件数と再編手続件数は、前年同期比で14%増加している。
「破産法の改正がその理由の一つだが、それだけが原因ではない」と、コファスの中央・東ヨーロッパ地域担当エコノミストであるGrzegorz Sielewiczは言う。「採算性の低下、競争の激化、利幅へ加えられる圧迫、支払遅延の増加、そして労働力不足なども、企業の流動性の圧迫につながる制約となる」
セクター別の内訳を見ると、ほぼすべてのセクターで、2017年の第3四半期までの手続件数が増えている。今年に入って全体的に再編手続が増加しているが、それはそのまま各セクターにも当てはまる。破産件数と再編手続件数が一番多かったのは製造業で、記録の28%近くを占めた。
破産件数は落ち着きを見せ始めている
コファスでは今年のGDPの伸びを3.9%と予想しており、2018年にはそれが3.5%に減速すると考えられる。好調であるポーランドの経済活動は企業には追い風となるが、供給困難や労働力不足など加熱景気の最初の兆候が、企業と景気拡大のペースに新たな課題を投げかける。
今後数四半期にわって、統計は昨年の法改正の影響を受け続けるだろう。コファスは、2017年末までの破産件数と再編手続件数は、2016年と比べて8%増加して合計820件に達すると予想している。家計消費の安定的な伸び、固定資産投資の反動、そして海外でのポーランド企業の事業活動などに後押しされ、GDP成長率は堅調に推移すると思われる。来年にかけて、再編手続件数は若干増加する一方、破産件数は引き続き減少傾向にあると見られる。コファスは、破産件数と再編手続件数は2018年を通じて0.7%減少するものと予想している。小売業は今後も堅調な家計消費の恩恵を受けると思われるが、競争の激化と利幅へ加えられる圧力は、特に小規模な企業を中心に多くの企業に影響を及ぼすだろう。堅調な個人消費のおかげで、貿易セクターは好ましい状況に置かれているが、一方で破産と再編の統計においても今後も常に顔を出すものと見られる。
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