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2014.09.11
カントリーリスク&経済レポート

ブラジルにおける企業倒産:近い将来に何が起きるか

Company insolvencies in Brazil: what to expect in the near future?

 債務再編と破産手続きの利用が引き続き主流に 

 

ブラジルの経済活動は依然として精彩を欠き、インフレ率は目標を上回っており、金利は世界で最も高い水準にある。さまざまな指標からはブラジルにおける信頼感が低いままであることを示し、ただでさえ低い投資率はさらに悪化を続けている。

  

こうした状況を考えれば、近年、裁判所の管理下における債務再編手続き(新たな破産法に基づき2005年に確立された第11章[1])を申請する企業の数が大きく増加しているのは不思議ではない。ブラジルの産業界[A1] が0.8%の縮小となった2012年、この手続きを申請した企業数は49.5%増加した。2013年にはさらに17.2%増加したが、2014年4月までの12ヶ月間では11.5%減少している。これを景気回復と見るのは早計であり、経済指標は低迷しているため、コファスでは引き続きブラジル企業に関しては低調なシナリオを予想している。

 

第11章の手続きに加え、破産(第7章の手続き)も再び増大しはじめており、2013年には最終的に前年比5%も増加した。2014年4月までの12ヶ月間では前年同期比で3.1%増という高い数値が見られた。2012年以降、破産件数が再び増加しているのは、第11章の手続きを何年も続けた結果、再建できなかった企業の件数にも影響されている。

 

 

企業倒産による影響が特に強い産業

 

第11章を申請する企業の総数が最近やや改善されていることは、すべての部門の状況を反映しているわけではない。いくつかの部門では、こうしたトレンドが維持できるとは期待できない。製紙・木材(マイナス3%)、鉱業(マイナス15%)、流通(マイナス9%[2])などである。この他いくつかの部門では企業倒産が引き続き懸念すべき状況にある。ブラジルの経済活動が低調であり、産業界の競争力維持が困難になっているためである。

 

  • 最も影響を受けているのは食品産業であり、第11章への申請件数が46%増大している。この増大の主な理由は、企業がこの仕組みを、財務のアンバランスを修正する一手段として用いているからである。
  • 繊維・衣料産業は輸入品からの圧力増大による難局に直面しており、7%の増大が見られる。
  • ブラジルの経済活動の59%を担うサービス部門では、2%の微増となっており、短期的には企業倒産の減少は期待できない。

 

2014年・2015年はブラジル企業にとって低調なシナリオに

 

残念ながら、2014年上半期の数値では景気回復の兆候は見られず、GDPはマイナス成長となっている。経済活動に勢いが見られず、2014年の成長率はわずか0.4%と予想されている。確かに2015年にはやや成長率が回復すると予想されているものの、その水準は、長期的な平均に比べればかなり低いものに留まるだろう。

 

コファスのラテンアメリカ地域担当エコノミストPatricia Krauseの結論は次のようになっている。「大統領選挙でどの候補が勝つかにかかわらず、来年は恐らく、ブラジル経済の相対的な価格に対する一連の調整が顕著になるでしょう。石油価格及びエネルギー税のみなおしによる価格に対する圧力の上昇を相殺するために、再利上げが行われる可能性があります。2015年には中期的な経済活動の増大に向けて国内のインフラを回復させる必要がありますが、経済は低調なまま推移する可能性が高いでしょう」。

 

このシナリオによると、コファスは近い将来ブラジルがこの倒産件数から解き放たれることを期待していない。

 

[1] ブラジルでは2005年、新破産法(法第11.101号)に基づき、第11章が確立された。これは第7章の手続きを避けるための措置である。第11章による保護は、経営難に陥った企業又は債権者により申請することができる。この手続きは裁判所の管理下における企業再建の意志を前提としており、債務者が債権者の要求に対抗してすべての資産を保持すること、債務の支払期限を繰り延べすること、債務を一方的に削減することが可能となっている。

 その一方で企業は債権者との交渉の進捗についての詳細な情報を裁判官に提出する義務を負う。これが、事業活動の終了を意味する同法第7章と11章との最も大きな違いである。第7章では、法定管財人が任命され、資産を売却し、部分的に回収された金額を[債権の]優先順位に従って配分する。

[2] 2013年3月~2014年4月、前年同期比。

 

 

  

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