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2020.06.02
カントリーリスク&経済レポート

2020年中国企業支払い動向調査:COVID-19の影響で支払い遅延件数がさらに増加

2020年中国企業支払い動向調査:COVID-19の影響で支払い遅延件数がさらに増加

ICofaceの2020年中国企業支払い動向調査では、1,000社以上の中国企業について、2019年後半の支払い動向を調査した。データは第4四半期に収集されたため、COVID-19の流行が中国経済に及ぼす影響は反映されていない。この点に注意すべきではあるが、調査の結果、2019年の支払い動向は悪化しており、2020年の景気減速との関連で中国企業にとって厳しい兆候となっている。GDP成長率は過去30年で最低水準の1.0%となることが予想される。経済活動と支払い遅延の相関関係から、2020年には支払い動向の急激な悪化が予測される。さらに、ロックダウンによる影響が深刻なセクターでは、会社の存続を図るために支払いが遅延し、経営破綻する会社も出てくる可能性がある。

 

中国企業のキャッシュフローが逼迫

2019年は、全業種の与信期間の平均日数は86日と安定していた。しかし、平均与信期間が120日を超える回答企業の割合は、2019年には23%に増加した(2018年:20%、2017年:12%)。実際には、与信期間の最長が120日を超える企業は回答企業の50%にのぼる。本調査によると、2019年に支払い遅延を経験したと回答した企業は66%であり、2018年の62%から増加している。支払い遅延の状況も悪化しており、120日を超える支払い遅延を経験した会社の割合は、2018年の31%から2019年には37%まで上昇した。さらに懸念されるのは、年間売上高の10%を超える超長期(180日以上)の支払い遅延を経験した企業の割合が、2019年には27%にまで上昇している点である(2018年:21%)。年間の総売上高に占める未収金の割合が大きいと会社のキャッシュフローが逼迫する可能性があり、COVID-19のような外因性のショックが加わった場合には懸念される。

 

 

デフォルトリスクの最も高いセクター: 建設、運輸、エネルギー、自動車、ICT

2019年にキャッシュフローリスクが高まったセクターでは、社債のデフォルトと経営破綻の増加が予想される。年間総売上高の10%を超える売掛債権の超長期の支払い遅延の割合が最も高いセクターは、建設(30%)、運輸(30%)、エネルギー(29%)と自動車(28%)となっている。ICTセクターは、米中貿易紛争の混乱を背景に、支払い遅延を経験した企業の増加率が最も大きかった。ICTセクターの平均支払い遅延日数は、12日増えて102日間となった。これらのリスクはすべてのセクターに共通するが、好調な状態から危機に転じた企業の方が、そうでない企業と比較してリスクの可能性が高まる。

 

実際、企業がCOVID-19ショックの影響に対処するための備えが昨年と比較して弱くなっている可能性がある。2019年にキャッシュフローリスクを軽減するため与信管理ツールを利用しなかった回答企業は60%にのぼる。また、信用保険を利用していると回答した企業は17%に過ぎなかった。

 

 

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