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2020.04.07
カントリーリスク&経済レポート

コファス・バロメータ2020年第1四半期 COVID-19:全世界で企業倒産件数の急増が見込まれる

コファス・バロメータ2020年第1四半期  COVID-19:全世界で企業倒産件数の急増が見込まれる

当初、中国におけるCOVID-19の感染拡大はいくつかの限られたサプライチェーンにのみ影響を及ぼしていたが、その後事態は世界的なパンデミックへと発展した。その影響は需要側と供給側に二重のショックを生み出し、全世界の数多くの産業にとって痛手となっている。この危機はあまりにも独特であり、いずれも経済に端を発した過去の例(2008年から2009年にかけての世界的金融危機や、1929年の大恐慌など)との比較は意味をなさない。問題はもはや、どの国や経済活動のセクターが影響を受けるかという話ではなく、どこが生き残れるかという話になってきている。

ショックは、新興国ではさらに激しいものになりうる。パンデミックへの対処が先進諸国に比べて困難になると予想されることに加えて、原油価格の下落や、2008年の水準と比べて4倍にも増えている資本流出などの問題にも直面しているからである。

そうした中でコファスは、2020年は2009年以来となる世界的な景気後退に陥ることとなり、成長率は-1.3%(2019年は+2.5%)になると予想している。コファスはまた、今年は68カ国(昨年はわずか11カ国だった)で景気後退が確認され、国際貿易は(2019年の-0.4%の下落に続き)4.3%縮小し、企業倒産件数は全世界で(前回の1月の予想である+2%と比較して)25%増えると予想している。

 

2009年以降で企業倒産件数の増加は最大に:2020年には+25%の予想

経済活動が2020年の第3四半期から少しずつ再開し始め、年後半にコロナウイルス感染の第二波が襲ってくることはない、という「ベストケース」のシナリオでも、企業の信用リスクは非常に高くなる。

この企業倒産件数増加の傾向の影響を受けるのは、米国(+39%)及び主な西欧諸国経済(+18%):ドイツ(+11%)、フランス(+15%)、英国(+33%)、イタリア(+18%)、スペイン(+22%)である。ショックは、新興国ではさらに激しいものになりうる。パンデミックへの対処が先進諸国に比べて困難になると予想されることに加えて、原油価格の下落や、2008年の水準と比べて4倍にも増えている資本流出などの問題にも直面しているからである。

 

国際的な貿易量は2年連続で減少。モノの国際貿易構造を変えるきっかけとなるか?

2020年に世界の貿易量が4.3%減少するという予測に対しては下方リスクが重くのしかかる。多くの国境が閉鎖されると発表があったが、これはコファスの予測モデルには織り込まれていないからである(モデルは原油価格、運輸費、米国の製造業企業の信用及び説明変数として韓国の輸出に基づいている)。

長期的には、COVID-19危機は世界のバリューチェーンの構造にも影響を及ぼすことが考えられる。現状での企業の脆弱性は主として、ごく一握りの、場合によってはわずか一カ国に位置する限られた数のサプライヤーへの依存度が高いことに起因する。したがって、サプライチェーンの途絶に備えてこれらのサプライヤーの数を増やすことが、今後の企業にとって優先順位の高い課題となる。

 

ほとんどのセクターが影響を受けるが、一部は打撃を免れる

COVID-19の感染拡大を防ぐため、世界の人口の半分以上に相当する40カ国以上で突然、政府により外出制限の措置が取られたことは、企業に直ちに影響を与えた。

これらの措置は、過去の大規模な危機の際に見られたものとは大きく異なる供給ショックをもたらしている。当初のショックは金融危機によるものではなく、実体経済に関連するものであった。すなわち、人々は働くことができなくなり、企業は中間財の供給が途絶えるという事態に直面している。

観光業、ホテル、レストラン、レジャー、運輸は、特定企業を対象とする物流セグメントの大多数や製造部門の多く(農業・食品産業を除く)と同様に、大打撃を被っている。通信、水道、衛生などをはじめとする他のサービス・セクターへの影響ははるかに小さい。

この供給ショックにはさらに、同じくらい壊滅的な需要ショックが伴う。多くの消費者はモノやサービスへの支出を取りやめたり、先延ばしにしたりしている。さらに、外出制限の影響で家計のマインドも弱まっている。

例えば自動車のような耐久消費財は、このショックにより最も大きな打撃を受けるものと考えられる。繊維や衣服、電子機器などその他の支出も、ほぼゼロにまで削減される可能性が高い。

一方、農業・食品及び医薬品の支出は、この非常事態によってむしろ恩恵を被る可能性がある。

 

パンデミックの政治的な影響

短期的には、パンデミックが及ぼす最も明確な影響は既存の地政学的な緊張を再燃させることだろう。

特に新たな保健及び経済の秩序における重要セクターをターゲットに、改めて保護貿易主義的な方策(例えば、必需品とみなされる農産物・食品や医薬品の輸出制限など)が打ち出されることのリスクも、見落とすわけにはいかない。電子機器などの戦略的セクターに的を絞った米中の「貿易戦争」が継続することも考えられる。これは米国の大統領選挙戦や米中両国のいずれかにおいて社会的反発が高まることなどによって強化される可能性もある。

 

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