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2014.01.23
カントリーリスク&経済レポート

2014年の中国:資金調達及び過剰生産能力のリスクがありつつも、 堅調な成長

2014年の中国:資金調達及び過剰生産能力のリスクがありつつも、 堅調な成長

 

マクロ経済とミクロ経済で傾向が分かれたことにも見られるように、2014年は中国経済にとって多様化の年である。中国共産党第18回中央委員会第3回全体会議後の中国経済の様々な構造改革には期待が持てるが、改革の取組によって実体経済へマイナスの影響が出る可能性や、資金調達コストの上昇に伴う信用リスクには注意が必要である。

 

 

 

2014年の焦点:資金調達コストの上昇

 

一時的に高インフレが一因となり、これまで人々の注目を集めた[、目覚ましい]成長率は前年比で7.2%とやや減速したが、中国全体では2014年も安定的な成長が見込まれる。2014年のGDP成長率の政府目標が低いのは、中国が改革への取組を推進する構えを取っていることの表れだ。世界の景気回復に伴い、輸出および投資が改善する見込みだ。

 中央経済工作会議の声明では、都市化の推進と地方債の運用改善という二つの主要テーマが提示された。中国政府は、特に中西部と北東部において「都市のネットワーク」を築くため、民間部門によるインフラ投資の推進に取り組むとみられている。すでに政府は金融政策の変更は行わないと述べているため、このようなプロジェクトの資金は民間部門から供給されることになる。

 2014年は、資金調達コストの上昇に注意が必要だ。2013年7月に導入された貸出金利の自由化により、銀行からの融資はより市場原理に基づいたものとなり、銀行間取引市場における流動性逼迫は貸出金利の引き上げにつながるだろう。2014年には多くの社債や地方債が償還期限を迎えるため、流動性は更に低くなる見込みだ。中国の加重平均金利は、すでに2013年から徐々に上昇してきており、市況を考えると、このような傾向は2014年も更に続く見込みである(別表1を参照のこと。)これまで銀行から十分な信用の供与枠を受けていなかった中小企業にとっては、なお憂慮すべき状況となっている。

 

石炭・鉄鋼:政府による過剰生産能力の軽減への取組みの中で、リスクは持続

 

政府が提言した過剰生産能力の課題への取組みにより、石炭・鉄鋼業界の小規模あるいは非効率的な事業者は、コストの上昇と政策の不確実性による圧力を受けるだろう。

 

鉄鋼:鉄鋼業における2013年の設備稼働率は依然低いままだった。また、中規模・大規模製鉄所の負債比率は2013年11月現在、ピーク水準(つまり231%)に留まっている。このような比率から、鉄鋼メーカーは高いレバレッジの下に経営していることが分かる。利益率が現在の水準にとどまり、かつキャッシュフローを生み出すのが困難な状況においては、これらの比率の上昇は、鉄鋼メーカー企業の破産と不払いのリスクが高いことを意味すると言える。

 

石炭:石炭需要のリスクは低下しているが、過剰設備の解消と様々な業界における新しい環境基準の影響は未知数だ。国内外に対して豊富な供給力があり、鉄鋼・セメント部門からの需要が比較的平坦であるため、成長の勢いは持続せず、2014年以降の石炭の価格は比較的平坦になる見込みだ。

 

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 出典:コファス Datastream

 

 

自動車、小売、電子機器:堅調な需要により、低~中程度のリスク

 

自動車:中国の様々な主要都市において自動車台数制限政策が実施されており、これが政府の環境配慮型自動車への支援の効果を打ち消している。日中関係の緊張が高まった場合には、日系自動車メーカーにマイナス影響を及ぼす可能性がある。しかし、このことによっても、全体としての需要は、日本車需要ほど大幅に損害を受けることはないだろう。

 

小売:小売部門は信用リスクという点で言えば好調だが、汚職に対する政府の取組み、所得と設備投資の伸びの減速、輸入関税と付加価値税、海外での消費を後押しする人民元の切り上げなど、様々な要因により、見通しを立てるのが難しくなっている。

 

電子機器、IT:内需は引き続き十分な健全性を保ったが、国内の中堅メーカーの家電は、特に欧米輸出市場において、依然として不況の圧力を受けた。欧米の景気回復が予想されているため、2014年にはこのような家電への需要も回復してくる可能性がある。

 

別紙1:中国における加重平均金利

 

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出典:コファスCEIC

 

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