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2015.04.23
カントリーリスク&経済レポート

石油価格下落により、2部門の評価を更新

Picture representing oil exploitation
負け組:北米エネルギー部門:需給のアンバランスが打撃に

 

2014年末には北米における部門リスクが明らかに改善したが(繊維・衣料、輸送、化学の3部門が「低リスク」に再分類された)、コファスは原油価格の低下に対応して、エネルギー部門の評価を「中程度のリスク」に引き下げた。

 

シェール油、原油の生産量は増大を続けており、一方で、需要を上回る供給を反映して、価格は2014年夏以来、半分に下落している。米国最大の石油備蓄地であるクッシングの備蓄施設は、2015年3月末の時点で設備容量の77%という飽和水準に達した。非従来型の石油の抽出コストは引き続き高く(1バレルあたり平均50ドル~70ドル)、投資は減少しており、石油産業に依存する請負業者に打撃を与えている。業界内部では、シナジー効果とコスト削減を狙ったレイオフと合併買収が進行している。

 

コファスのエコノミスト、Guillaume Baquéは次のように説明する。「原油価格下落の打撃を特に受けているのが北米で、多くのシェール油投資プロジェクトの存続可能性を損なっています。リスクの増え方は、その企業が部門の上流に位置しているか下流に位置しているかによって不均一ですが、原油価格は生産者・販売者双方の利益率を左右してしまいますので、価格下落という状況は業界のすべての構成企業に影響を与えています。いわゆる『石油メジャー』では収益性が悪化しており、これが下請け企業との関係にも影響を及ぼし、『石油メジャー』が投資収益率の低下を理由に投資を削減していることで下請け企業が苦しんでいます

 

 

勝ち組:欧州の化学産業は競争力を取り戻す

 

石油価格の下落が本当に追い風となっている部門があるとすれば、それは欧州の化学産業である。価格低下は、米国化学産業(「低リスク」評価)との競争力ギャップの縮小と収益性の回復に貢献している。また、ユーロ下落が欧州の化学製品輸出に有利となっていることもポジティブな影響を与えつつある。フランスでは同部門の業績がかなり改善しており、2014年には、輸出市場・国内市場での売上高が1.9%増大した。

 

こうした明るい指標を考慮して、コファスでは欧州の化学産業の評価を「中程度のリスク」に引き上げた。

 

他の部門も、現在継続中のトレンドによる恩恵を受けているが、評価見直しの対象とはならなかった。特に恩恵を受けているのは、燃料コストが低下している海上輸送部門である。しかし、中国経済の減速が続き需要が抑制されているだけに、同部門の評価を引き上げるのは時期尚早であるように思われる。もう一つ、潜在的に石油価格低下の恩恵を受けそうなのが、回復の続いている欧州自動車産業である。同部門の回復は、ここ数ヶ月、新車登録台数が増加していることに象徴されている。

 

 

 

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Table of contents
  • Sector barometer
  • Sector risk assessment
  • Agrofood 
  • Chemicals 
  • Construction
  • Energy 
  • Metals 
  • Transportation

 

 

 

 

 

 

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