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2013.03.20
カントリーリスク&経済レポート

新興国に再び現れるリスク: 政治的不安定、増大する保護主義、信用バブル

コファス独自の新しい指標

 

2013年には5.1%と推定される立ち直りの速い成長と、改善されたソブリンならびに対外ファンダメンタルズにもかかわらず、新興国のリスクは完全に消えてしまっておらず、形を変えただけに過ぎない。3つの主なリスクが今や新興市場に重くのしかかっている。政治的に、緊張が激しくなり、北アフリカと中東、そして今ではロシアやインドにおいても見られる抗議行動によって例証されている。経済的には、保護主義的方策の増大が見られる。金融的には、多くの新興国における民間部門への銀行ローンの過剰な伸びが、特にアジアにおいて、信用バブルの懸念をかき立てている。

 

高まりつつあるフラストレーションばかりか、これらのフラストレーションを行動に変える著しい能力によっても増大しつつある、政治的不安定リスクの増加

アラブ世界における革命の波は、新興諸国における新たな政治的、文化的および制度的要求を明らかにした。政治的破砕に対する社会の適合能力を分析するために、コファスは2つのタイプの指標を持つ解釈的なレンズを創り出した。その2つのタイプとは、ある国における社会政治的フラストレーションの激しさを測る、変革を求めるプレッシャー(インフレ、失業、汚職規制など)と、これらのフラストレーションを政治的行動に変える社会の能力を捉える、変革を実現するための手段(教育、ソーシャル・ネットワーク、人口の中における若者のパーセンテージ、女性の役割など)である。

 

分析の対象とした新興30ヵ国のうち、北アフリカと中東の両地域は、強いプレッシャーと変革手段との両方の存在により、明らかに際立っている。この分析は、この地域(特に革命後の体制が、先ず彼らに政権を取らせた国民の要求に応えられないことを証明している国)における不安定リスクの持続性を示している。

ナイジェリア、ロシア、カザフスタンおよび中国は皆、チュニジアやエジプトにおける状況と同じか、もしくはそれ以上のフラストレーション・レベルを示しているが、変革の手段がより少ないために、フラストレーションを過激な政治的変革に転換する彼らの能力を限定している。

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企業にとって潜在的な問題となる、保護主義の増大

2008年以来、資本規制と保護主義とは、新興国の規制外の勢力に対する保護貿易の武器となっている。それらは又、企業にとってのリスクを表わしている。ロシア、アルゼンチン、そしてそれほどではないにせよ、インドは、保護主義のレベルがずば抜けて高いのに対して、メキシコ、南アフリカおよびトルコは、国際貿易に対して比較的開放的なままであることに注目されたい。

 

規制策への極度の依存は、輸入企業にとってはより長い支払遅延を招き、これら保護主義国への輸出企業にとってはより多い参入障壁を設ける結果となりかねない。今や地球規模ではこうした影響は限定的なように見えるものの、生産工程の国際分業化の増大を背景に悪化し、価値連鎖全体に亘って企業にマイナスの影響を与えることが予想されている。更にそれは、内需が冷え込んでいる時期にダイナミックな成長機会を求めている欧州諸国に、より多くの影響を与えそうな傾向である。

 

新興アジア市場における信用バブルのリスク増大

 2008-2009年の危機以降、新興諸国で実施されている膨張的通貨政策と、慎重な制御の失敗は、信用バブルを形成するまでの銀行信用の持続的成長を生み出している。

 

信用ストック・レベルと、信用の増大とを比較する信用バブルの要約指標に基づくと、 コファスは、新興アジアが最もリスクの高い地域 (マレーシアとタイ、それ程ではないにせよ、韓国、中国および台湾) である、と推定している。その他の国々における民間部門に対する信用ストックはそれ程高くないものの、急速に上昇している。

チリ、トルコ、ロシアおよび ベネズエラもまた、信用ブームを経験しつつあるか、あるいはそれに近い状態にある。

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