ニュース・レポート
2013.10.14
カントリーリスク&経済レポート

コファス、米国のビジネス・リスクについては楽観的だが、ブラジルやタイのような新興国のそれについては

Coface is optimistic about business risks in the United States and concerned about those of emerging countries such as Brazil and Thailand

米国では、成長とビジネス・リーダーたちの信頼感が戻りつつある。全体として、先進諸国は向上している: 2年間の景気後退の後、ユーロ圏は2014 年に、ささやかながらもプラスの成長(+1%) を記録するであろう。EUの中では、ドイツが1.8%と言う目覚ましい回復を示すことが期待されている。フランスは、低成長 (0.6%) を経験するであろうし、スペインとイタリアでは景気後退の終焉が視野に入っている。しかし、こうした改善点にもかかわらず、ビジネス・リーダーたちの信頼感は、ヨーロッパでは未だ戻って来ていない。

懸念は、たとえBRICS 諸国が先進諸国における回復の恩恵を間接的に受けるにしても、成長率の構造的低下(2014年に全体で4.8%と推定されている) に直面する新興諸国から来ている。

従って、コファスは、米国、ブラジルおよびタイに対するカントリーリスク評価を改定した。

 

 

米国:予算麻痺にもかかわらず、ポジティブ・ウォッチに置かれた同国のA2評価

 

持続するバランスの取れた成長 (2013 年が1.5%、2014 年が2.2%と推定されている) の見込みは、コファスをして米国の A2[1] 評価を、現在の予算面でのプレッシャーにもかかわらず、ポジティブ・ウォッチに置かせるに至った。

 

企業投資は堅調である。成長の主要な駆動力である個人消費は、家計が債務削減の最終段階に到達しているので、危機以前よりも良い進展を見せている。企業サイドにも改善が見られる。利幅や利益率は増大しつつある一方、一部のセクター(建材、銅、紙) における成長は沈滞したままであるものの、債務水準は低い (ユーロ圏の 85% に対して55%)。企業は、経済の力強いセグメントであり、債務水準は低く、利益率がとても高い。

 

政府部門の閉鎖は驚きであったけれども、それは長期に亘って続いた訳ではないので、ビジネスに大きな影響を及ぼしはしない筈である。しかし、米国政府の債務上限に関連する不確実性は、高いままであり、回復不可能のリスクを完全に排除することはできない。このリスク・シナリオにおいては、民間需要が大きな影響を被りかねない。しかし、現段階において、我々の主要シナリオは、この袋小路が何としてでも避けなければならず、従って、民間の消費と投資は、更なる予算削減にも拘わらず、堅調なままである。

 

ブラジル:構造的問題のため、ネガティブ・ウォッチに置かれた同国のA3評価

ブラジルにおける成長は、不振の個人消費と、特に弱い企業投資のせいで、期待外れ(推定では今年が2.3%、2014年が2.9%) である。経済的困難の発端は、構造的なものである。インフラの不足がビジネスを制約している。2013年後半における Selic (政策金利)を受けての金利上昇が10%近くに達しかねず、それが 大幅な回復の見込みを斥けている。

 

消費の減速は、それに頼っている産業や企業(家電、自動車、エレクトロニクス)を弱体化させる。 金利の引上げと、レアルの低下による輸入部品ならびに機械の価格上昇は、高いままの税金や生産コストにより更に悪化している。企業各社は、その投資の加速を躊躇している。このような状況の中で、コファスによって記録されているブラジル企業の支払事故は、2009年のピークに近い高水準に留まっている。マクロ経済的およびミクロ経済的、双方の要因は、ブラジルの A3[2]評価のネガティブ・ウォッチを正当化している。

 

タイ:家計債務増大のせいで、ネガティブ・ウォッチに置かれた同国のA3評価

 

タイではリスクが上昇しているため、その A3 評価は現在ネガティブ・ウォッチに置かれている。同国の成長率は 2013 年に急低下し、2014 年にも家計債務 (GDPの80%) によって抑制されたままとなろう。以前の刺激策の効果は、徐々に消えつつある。加えて、同国は、特に中国の減速への依存に関連している輸出不振に苦しみ続けるであろう。

 

 

[1] A2 評価 : 低リスク
[1] A3 評価 : 許容範囲内リスク
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