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2018.06.27
カントリーリスク&経済レポート

世界のカントリーリスクとセクターリスク: 第2四半期にはリスクが増大する兆候

Country and sector risks worldwide: Signals of risk on the increase in the 2nd quarter
  • 2018年の経済的な状況は2012-2013年の既視感があるような印象
  • A4に格下げとなったイタリアに注目が集まる
  • 石油価格の上昇がいくつかの国でエネルギーセクターの追い風になっているが、資本流出と相まって、アルゼンチン、トルコ、スリランカ、インドなどでは経済に打撃を与える
  • 新興国で通貨リスクの影響を最初に受けるのは建設セクターと小売セクター
  • 保護貿易主義的政策の強化により、企業の間に警戒感が広まる

 

今四半期は過半数が評価格下げ

 

2018年第2四半期のリスクの兆候の大半は、2012-2013年の状況を思い起こさせる。すなわち、ユーロ圏でソヴリン・スプレッドが高まり、保護貿易主義が拡大し、主要な新興国からの資本流出があり、国際貿易が縮小傾向にある。影響の規模こそ違っているが、1バレル当たりの石油価格がはるかに低い(2012年の約110米ドルと比較して、2018年6月初めの時点で75米ドル)こと、そしてイタリアの10年物国債の利回りが2倍弱になっていることなどの兆候が、世界の経済成長のピークが過ぎたことを示している。企業の信用リスクは、保護貿易主義の高まりによる信用低下が際立っていた年初に続いて、成長の鈍化が予想される(先進国経済の成長は2018年には2.2%、2019年には2%、そしてユーロ圏では2018年には2.1%、2019年には1.8%と予測される)先進国経済で高まっている。したがってコファスは、イタリアの評価をA4へと格下げした。イタリアでは、特に大きな負債を抱える企業は銀行の融資条件が厳しくなれば大きな影響を被ると思われる。米国だけは、現段階で経済成長の鈍化を免れる突出した例外である(2017年の経済成長2.3%に続き、2018年の成長率は2.7%と予測される)。

 

最近の石油価格の上昇は、評価をBに格上げされたオマーンやマレーシア(A3)のような新興輸出国を利しているものの、輸入国は貿易収支の悪化と、国際的な投資家による自国の金融資産への関心の低下とに直面している。これは2013年に見られた状況によく似ている。これにはアルゼンチン(現在C)、トルコ(C)、スリランカ(C)、インド(B)など、輸入に追い風となるダイナミックな国内需要と国内の政治的緊張の高まりなどを受けてコファスが評価を下げた国々が含まれる。その他の新興経済においては、生産プロセス上材料の輸入が必要となる一方、重要な販路は国内市場に求めざるを得ないようなセクターを、通貨リスクが脅かしている。アルゼンチンの建設セクター(「高リスク」に引き下げ)と、トルコの小売セクター(「超高リスク」)などは既に影響を受けている。

 

石油をめぐる状況は(生産が力強く復活している)エネルギーセクターの発展を後押ししている。コファスによる2018年の石油価格予測は70-75米ドルであり、2017年の平均価格から30%の値上げに相当する。このセクターで評価が上がったのは5カ国である。すなわち、米国(「低リスク」)、カナダ(「中程度のリスク」)、アラブ首長国連邦(「中程度のリスク」)、サウジアラビア(「中程度のリスク」)、及びフランス(「中程度のリスク」)である。

 

貿易戦争は既に、中国のICTセクターとカナダの金属産業に影響を及ぼしている

年初に発表された貿易戦争の前提は立証された。「メイド・イン・チャイナ2025」のICT製品の多くを含む中国からの輸出にターゲットを定める米国の保護貿易主義的政策は強化されているが、これが中国のICTセクターを「高リスク」へと下げる一因となった。

 

最近になって発効した、鉄鋼とアルミニウムを標的にした米国の保護貿易主義的措置に関係する国々の中で最も影響が大きかったのはカナダであり、カナダの金属セクターは「超高リスク」へと引き下げられた(同国の鉄鋼製品の輸出先の87%を米国が占める)。金属セクターは米国では好調であり、コファスでは同セクターの評価を「中程度のリスク」に引き下げた。

 

 

 

コファスのカントリーリスク評価(160カ国)は8段階の評価であり、以下の順にA1(超低リスク)、A2(低リスク)、A3(十分許容できるリスク)、A4(許容できるリスク)、B(やや高リスク)、C(高リスク)、D(超高リスク)、E(極めて高リスク)となっている。

コファスのセクターセクターリスク評価(世界のGDPの85%に相等する6地域、24カ国の13セクターセクターが対象)は、「低リスク」、「中程度のリスク」、「高リスク」、「超高リスク」の4段階で順位付けしている。

 

 

 

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セクターリスク評価 - 2018年第2四半期

 

 

 

 

 

 

 

カントリーリスク評価のマップ • 2018年第2四半期

 

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