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需要増と供給制約で注目高まるスズ

電子機器に不可欠な金属であるスズが、金属市場の上昇基調をけん引しています。世界需要の約半分を占めるはんだ用途に加え、エネルギー転換やデジタル化の進展を背景に需要が拡大しているためです。一方で、供給拡大は依然として限定的な状況が続いています。特にコンゴ民主共和国(DRC)やミャンマーでは供給面の制約が見られており、市場では需給の引き締まりが懸念されています。このため、スズ市場は2021年以来初めてとなる供給不足に陥る可能性があり、その時期は早ければ2026年になると予想されています。

年初来、スズ価格は非鉄金属の中で最大の上昇率を記録し、前年比70%増の1トン当たり5万米ドルに達しました。一方で、市場では価格変動の大きさも目立っています。ロンドン金属取引所(LME)や上海先物取引所(SHFE)¹における在庫水準が低いことから、供給逼迫への懸念が強まり、投機資金の流入によって価格変動が増幅されています。

データ活用を支える技術への需要拡大が、最近のスズ価格上昇を後押ししていることは間違いありません。当社では、今年上半期のスズ価格が平均で1トン当たり4万5,000米ドル程度となり、前年比40%高で推移すると見込んでいます。

Simon Lacoume, Coface sectorial economist.

 

非鉄金属市場で広がる上昇基調

銅やアルミニウム、ニッケルをはじめとする非鉄金属は、ここ数カ月で大きく値を戻しており、1月には上昇の勢いが一段と強まりました。LME指数の上昇率は前年比34%に達し、2025年の前年比6%を大幅に上回っています。

こうした上昇基調を支えているのは、エネルギー転換に伴う需要拡大だけではありません。データセンターや半導体に代表されるデジタル化の進展も金属需要を押し上げており、さらに投機資金の流入が相場の上昇に拍車をかけています。スズはその代表例といえます。

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供給不足の深刻化と中国の優位性維持

精錬スズの生産量は、2025年の2%増に続き、2026年も3%増加する見通しです。ただし、この伸びは需要の増加ペースには追いつかず、2026年に予想される3.5%の需要増を賄うには不十分とみられています。このため、スズ市場は今年にも供給不足に転じる見込みで、その状態は今後数年間続く可能性があります。さらに長期的には、既存鉱床の枯渇がサプライチェーン全体のリスクとなる中、新たな鉱山開発や採掘能力の拡大が大きな課題となりそうです。中国は世界の精錬スズ生産の約50%を占める最大の生産国です。政府による過当競争抑制策が進められているものの、2026年の生産量は引き続き堅調に推移し、前年比5%増になると予想されています。データ管理インフラの自立化を進める中国にとって、スズは依然として戦略的重要資源と位置付けられています。

一方、隣国インドネシア²では、規制強化や鉱山開発に対する慎重姿勢の広がりを背景に、生産の減少が見込まれています。2026年の国内生産量は前年比2%減と予想されており、前年の1%減に続く減少となる見通しです。

また、市場の最大の懸念材料となっているのがスズ鉱石の供給です。特にコンゴ民主共和国(DRC)とミャンマーは重要な供給源であり、両国で世界生産の20%、中国のスズ鉱石輸入の60%を占めています。DRCでは、M23武装勢力と政府軍との衝突が北キブ州の鉱山操業に影響を及ぼしており、世界生産の約6%を占めるビシエ鉱山でも生産停止や操業の混乱が繰り返されています。ミャンマーでも事業環境を巡る不透明感が続いており、スズ生産は市場予想を下回る水準にとどまっています。

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在庫制約下で続く需要拡大

短期的には、銅価格の急騰を受けて、上昇の流れがスズを含む非鉄金属市場全体へ波及しました。加えて、主要取引所の在庫が低水準にとどまる中、在庫積み増しの動きも重なり、相場の上昇基調を押し上げています。一方で、投機的な取引が落ち着けば、価格変動は徐々に和らぐとみられます。

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中長期的には、スズ需要の拡大基調が続く見通しです。半導体やデータ保管インフラの整備が進む中、これら金属消費量の多い分野が需要をけん引すると予想されています。

SEMI³の最新レポートによると、世界のシリコンウェーハ出荷量は2025年の5.4%増に続き、今年も5.2%増の135億MSI⁴に達する見込みです。技術革新によって金属使用効率の向上は進むものの、デジタル化を背景とした需要拡大の勢いを吸収するには至らないとみられています。 

 

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1 ロンドン金属取引所(LME)および上海先物取引所(SHFE)
2 インドネシアは世界第2位Iの錫鉱石生産国
3 Semiconductor Equipment and Materials Internationalは、電子機器及び半導体製造サプライチェーンのための正解的な業界団体
4 MSIは ‘million square inches(ヤード・ポンド法の面積単位)を指す。. 1 MSI =は645.16 平方メートル相当。

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