ニュース・レポート
2021.02.08
経済関連出版

2020年第4四半期 - カントリーリスク及びセクターリスク・バロメーター

Country & Sector Risk Barometer: Q4 2020 Quarterly Update

COVID-19の症例が中国国外で初めて見つかってから一年が経つ。2020年末に複数のワクチンが誕生したという発表があったにもかかわらず、パンデミックに関する見通しの不確実さは依然として大きい。これらの不確実性は、いつ集団免疫を獲得できるのか、という一つの疑問に集約できるだろう。答えはワクチン接種のスピードによって変わってくるであろうし、さらに、経済活動を損なうような断続的なロックダウンなどの「ストップ・アンド・ゴー」を終わらせることが条件となる。その一方で、2021年の前半は、第二次世界大戦後では史上最悪となった世界的景気後退(-3.8%)に見舞われた2020年とほぼ同じ状況が続く。2021年の夏までに主要先進国で人口の少なくとも60%(集団免疫が獲得されるとされる理論上の閾値の目安)にワクチン接種が行われると仮定すると、その後は力強い回復が見られ、2021年には世界経済成長は平均で+4.3%に達し、国際貿易も取引高ベースで(2020年の-5.2%から)+6.7%と上向く。企業倒産件数に関しては、2020年には政府の支援計画などのおかげで世界の全地域において減少し(ユーロ圏で-22%、アジア太平洋地域で-19%、北米で-3%)、これらの支援策を継続することによって多くの企業が今年も倒産を免れるだろう。こういった支援策がなければ、企業倒産の件数は昨年、全世界で36%増加していただろうとコファスは見積もる(実際には12%の減少にとどまった)。

 

ただし、すべての企業がこの経済回復の恩恵を等しく受けられるわけではない。この四半期にリスク評価が改善した23セクターのうち半数近くが、2020年の後半に予想外の好調な成長を見せた自動車部門に関係しており、建設と化学がこれに続いた。予想通り、サービスセクターの多くはパンデミックにより今後も当分は低迷を強いられる。運送セクターが最も大きな影響を受けており、セクターリスク評価の9項目で引き下げとなった。そして、これらのセクター間の差異の裏には、はるかに大きな不均衡が隠れている。まず、国別に見られる違いである。中国をはじめとするアジア諸国経済(例えば、カントリーリスク評価が引き上げられた台湾など)が世界経済成長を支えているが、主要先進国については、年内に危機以前のGDP水準まで回復することはないだろう。その中でも、サービス業への依存度が他よりも大きい国(スペインや英国など)や、ワクチン接種プロセスが遅れている国などでは、回復にさらに長い時間がかかると思われる。新興経済国に関しては、2021年はワクチンへのアクセスと企業や家計を支援する財政政策を政府が維持できるかどうかが、不均衡を生む鍵となる二つの主な要素となる。さらに一部の例外を除いて、これらの国では中央銀行による金融緩和策は2020年に出し尽くされており、今後はそれに頼るわけにはいかなくなっている。

 

最後に、今回の危機は既に高い水準にある国内の格差をもさらに拡大させることになる。昨年は、資格などを持たない労働者、若者及び女性は他の層と比べて多く職を失い、特に最も大きな打撃を受けたサービス業においてその傾向は顕著であった。過去のパンデミックの経験からも、格差の拡大は今後も長く続くと見られる。不均衡は社会不安を生む主な要因の一つであり、平均してパンデミックの約1年後に生じている。前四半期に顕著に見られたように、この不均衡の拡大に加え、多くの国でパンデミックに対する当局の対応への国民の不満が高まっていることから、今年は抗議活動や武力衝突などがさらに頻発するおそれがある。

 

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