ニュース・レポート
2015.01.23
カントリーリスク&経済レポート

ラテンアメリカ:太平洋沿岸諸国では成長加速

Latin America - Growth picking up for Pacific countries

30年前、ラテンアメリカといえば、「独裁」「債務危機」「高インフレ」といったネガティブな言葉が連想されたものだった。月日は流れ、この地域はすでに、経済成長、新興の中産階級、貧困削減、抑制されたインフレを想起させるようになっている。

 

今回の「パノラマ」では、「太平洋同盟」のうち2カ国、すなわちメキシコとペルーに注目することにした。メキシコの中期的な展望はポジティブであるように思われる。ペルーの事例も興味深く、中期的な展望は非常に好ましい。ペルーは、今年はじめにコファスが選んだ「新・新興市場諸国」10カ国の一つにも指定されている。

 

 

地域全体のGDP成長は鈍化

 

ラテンアメリカはコモディティ(一次産品)の主要生産地域であり、最近の時期に見られた順調なパフォーマンスの大半は、中国の急速な成長のおかげである。この地域の諸国は、過去最高水準の貿易黒字を計上しはじめたが、そうした好況期も終わった。中国の経済活動は、多年にわたり年10%前後の成長を続けた末に、リズムを狂わせている。結果的に、コモディティ価格は下落を始め、ラテンアメリカの成長率にも影響を与えている。この地域のGDP成長率は2014年が1.3%、2015年が2%と予想されており、従来に比べて大幅に下がる見込みだ。

 

こうした低めの予想は、世界的な景気悪化と過少投資も反映したものだ。ラテンアメリカ地域ではインフラ整備が大きな問題になっており、貿易条件が有利だった時期に改革を実施するべきだったのに、全体としてみれば各国ともその機会を逸してしまった。

 

Infrastracture_Quality_JP

 

出典: World Economic Forum

 

 

 

 

 

 

 

ラテンアメリカで最も良好なポジションにあるチリでさえ、世界144カ国によるランキングでは49位に留まっている。域内の他国は皆それよりも低い順位だ(上記のグラフを参照)。

 

 

同じ地域でも方向性は2つに

 

ラテンアメリカでも、一方、つまり太平洋側(メキシコ、チリ、コロンビア、ペルー)は自由貿易・自由市場を擁護している。他方、つまり大西洋に面した国々はグローバリゼーションに懐疑的であり、国営企業モデルが経済において大きな役割を果たしている。

前者のグループは「太平洋同名」を結成し、域外との貿易パートナーシップの改善に取り組んでいる。後者のグループは、依然としてメルコスール(南米南部共同市場)に固執している。

では、これらのグループを比較してみるとどうだろうか。

2013年の経済活動、それに2014年及び2015年に関するコファスの予想を加味すると、太平洋に面する国々のGDPの方が速いペースで成長している。

 

ラテンアメリカ諸国のGDP成長率

GDPgrowth_JP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

出典:コファス

 

 

部門別の展望:リスクは中〜高水準

 

ラテンアメリカのリスクは全体として中〜高水準である。この結果は、各国GDPの加重平均に基づいて算出された。主要5カ国(ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、チリ)が合計で同地域のGDPの83%を占めている点に留意すべきだろう。

全体としては域内のGDP成長率は鈍化しているが、多くの部門ではリスクに対する認識が悪化していることが報告されている。今回の「パノラマ」では、この地域の各セグメントの展望について、より詳細に論じている。

Sectorrisk_JP

出典:コファス

 

 

また特別セクションでは、メキシコ経済・ペルー経済の2つのセグメントに注目している。すなわち、メキシコについては建設、ペルーについては鉱業である。前者は2013年に混乱に陥ったが、現在では回復が始まっている。後者はペルー経済の重要な柱だが、ここ数ヶ月は活動が減速している。

 

 

ラテンアメリカでは従来のペースでの成長は期待できない

 

2015年、ラテンアメリカにおける経済活動は、これまでのようなペースでは成長しないだろう。原因は主として国際的なコモディティ価格の下落にある。

コファスでラテンアメリカ地域担当エコノミストを務めるPatricia Krauseは、「各国経済にとってコモディティ価格下落の影響がどの程度になるかは、各国のGDPに占める輸出比率の大小によっても変わってくるでしょう。たとえばブラジルは閉鎖的な経済だと考えられており、輸出がGDPに占める比率はわずか11%です。アルゼンチン(13%)、コロンビア(17%)、ペルー(25%)、そして最後にチリ(27%)では、この比率がもっと大きくなっています」と説明している。

 

 

この出版物をダウンロード

目次 :

 

  • マクロエコノミックの現在の環境Macroeconomic current environment
  • 成長が鈍化し経済の方向性が2つにGrowth slowing down and two different economic directions
  • Jonathan Heath - Economistと Autónoma Metropolitana UAM大学教授のインタビュー
  • セクターバロメータ
  • セクター
  • 結論
このプレスリリースをダウンロード : ラテンアメリカ:太平洋沿岸諸国では成長加速 (169.27 kB)

お問い合わせ


Japan

コファスジャパン信用保険会社
マーケティング&コミュニケーションズ
 小川 のりこ
 
T. +81 3 5402 6152 
noriko.ogawa@coface.com

トップ
  • 日本語
  • English