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2014.11.13
カントリーリスク&経済レポート

香港、台湾及び韓国における年次のコファスカントリーリスクカンファレンス。コファスは世界経済のゆっく

香港、台湾及び韓国における年次のコファスカントリーリスクカンファレンス。コファスは世界経済のゆっくりとした成長を予測
世界経済の成長、ゆっくりとだが着実な回復

世界経済は、ゆっくりと、そして不均一ではあるものの、確実に回復段階に入った。経済危機後の回復が困難なものとなった理由はいくつかの要因により説明できる。公共・民間共に債務水準が高く、危機以前に比べて信用供与の勢いが低かった。ユーロ圏でデフレの新たなリスクが生じたことや、経済のプレイヤーのあいだで長期的な信頼感が低下したことなどである。

 

コファスは2014年のグローバルな成長率を、前年比0.1ポイント上昇の2.8%と予測している。2010年以来初の上昇となるが、それでも、引き続き危機以前の成長水準(2006年・2007年は4~4.5%)を下回っている。今回の成長加速の主な原動力となっているのは先進諸国であり(前年比0.3ポイント上昇の1.6%)、新興市場諸国では同じ幅での減速が見られる(同じく0.3ポイント下降の4.3%)。2015年は、全体として徐々にではあるが加速が続き、グローバルな成長率は3.2%となるだろう。

 

アジア新興市場諸国は依然として高い成長が見込まれる

コファスでは、アジア各国の2014年・2015年の成長率をそれぞれ6.3%、6.2%と予測している。これに対し、新興市場諸国全体の平均は4.3%、4.7%である。アジアの新興市場諸国には、ブラジルやロシアといった停滞している国が見当たらない。なぜアジアはこれほど順調で回復力の高い実績を示しているのか。

この地域の牽引車である中国は、減速してはいるものの、依然として7%以上のペースで成長している。台頭する中産階級による消費も好調だ。非常に好調な消費の勢いに引っ張られた新世代の国々、すなわちフィリピンやインドネシアは、力強い成長を記録し、突然のショックに対しても高い回復力を実証している。またカンボジアのような後発開発途上国でも、中国からのアウトソーシング需要に乗って、ここ数年、非常に力強い成長を遂げている。最後に、世界貿易が危機以前ほどのペースで成長する見込みは薄いものの(コファスでは2015年について5%の成長を予測しているが、2002~2008年は8%を超えていた)、アジア域内の貿易は(他の新興市場地域における域内貿易に比べ)非常に活気がある。

 

以上に述べたすべての側面により、我々はアジアのカントリーリスクについてポジティブな結論に達している。コファスのカントリーリスク評価(CRA)は、任意の経済について企業による債務不履行(デフォルト)の平均リスクを測定するもので、A1、A2、A3、A4、B、C、Dの7段階があり、この順にリスクが上昇していく。インドネシアは2012年12月に「A4」に、フィリピンは2013年6月に「A4」に格上げとなった。2014年10月には、カンボジアのCRA「D」が「見通しポジティブ」となった。一方で、成長の鈍化、企業のレバレッジ(借入比率)の高さ、不安定な為替相場を理由として、インドのCRAは2012年12月に「A4」に格下げとなっている。アジア新興市場諸国のCRAは概ね高い水準で安定している。

 

2015年に課題を抱える中国・台湾

中国のCRAは「A3」で安定している。コファスでは2014年は7.4%、2015年は7%のGDP成長率を予測している。マクロ経済のソフトランディングが実現したのは朗報である。中国の成長率(2000~2011年は10.3%)は、主として輸出と投資に牽引されたものであり、多くの部門(建設、金属、太陽光発電)における生産能力過剰の問題につながった。今回の減速に対して、中国当局はさまざまな経済改革の実施を通じて対応し、これを管理している。とはいえ、我々が見るところでは中国の成長のバランス調整(投資主導から消費主導へ)はゆっくりとしか進んでいない。その理由は、信用供給が名目GDPよりも速いペースで成長しており、金融部門が依然として活発すぎるからである。それだけでなく、中国企業はシャドーバンキング(影の銀行)に頼ることにより、公的な融資がもはや利用できない場合でも融資を受けることができる。高水準で透明性に乏しいレバレッジ(企業債務総額はGDPの200%近くになると推定されている)、国内経済の減速、住宅部門の動揺(国内のほとんどの地域で、融資のための重要な担保である土地価格の低下が生じている)、生産能力過剰というのは、コーポレートリスクという点で危険な組み合わせである。

 

コファスのチーフエコノミストであるYves Zlotowskiは、次のように述べている。「中国当局は、債務不履行に陥った企業については予算の制約を厳しくしようとしています。しかしコファスでは、中国で連鎖的なデフォルトが生じるとは予想していません。大規模かつ頻繁な倒産に伴う社会的・経済的コストが高すぎるからです」

 

台湾経済、そして半導体部門は2014年のグローバル需要の回復による恩恵を受けたが、最大の下降リスクもやはりグローバルな景気回復の不安定さに関連している。他方、賃金上昇率が顕著に大きくなったことが、2012年第3四半期以来抑制されていた国内需要にとって追い風となっている。我々は2014年・2015年の台湾経済について、グローバル経済の着実な回復を背景に、それぞれ3.5%、3.8%成長するものと予測している。台湾のカントリーリスク評価(CRA)は「A1」であり、同国経済の安定した経常黒字、外貨準備の高さ、通貨の安定、良好な支払い動向が反映されている。

 

コファスは11月中に、香港、台湾及び韓国で年次のカントリーリスク・カンファレンスを開催しており、全てのイベントで延べ700名以上が出席した。このカンファレンスでは、一流のエコノミストや著名な企業の幹部が、世界の主要国の経済発展に関する洞察を述べ、ビジネスリスク管理に関する知見を交換した。

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