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2017.11.13
カントリーリスク&経済レポート

サブサハラ・アフリカにおける中国の野望:双方関係のバランスを取り戻すための努力が今後も必要

China's ambitions in sub-Saharan Africa: efforts to rebalance bi-lateral relations still needed

コモディティを輸出するセクターや国にとってはリスクの高い貿易依存

中国・アフリカ協力フォーラムの発足からほぼ20年が経つが、中国・アフリカ関係は依然としてアンバランスな状態が続いている。双方間の貿易は過去10年間で飛躍的に増え(2016年には合計1230億ドルに達した)、輸出が牽引していたが、2014年をピークに、その後51%も下落している。現在、アフリカは対中貿易赤字を抱えている。輸出は依然として天然資源に集中している(中国への輸出の90%を占める)が、輸入はもっと多岐にわたっており、工業製品、輸送用機器、機械類(全体の51%)の他、鉱物や貴金属などが含まれる。この貿易不均衡は、「オランダ病」のリスクを強めるものでもある。経済学においては、現地の製造部門の凋落と原材料の経済的発展の間に関連性があるとされている。

中国経済が失速し、その成長モデルのターゲットを個人消費に切り替えた影響で、アフリカからのコモディティに対する需要が減少した。これは、輸出業者に影響を与えずにはおかない。コファスのエコノミストの試算によれば、サブサハラ・アフリカは2016年、他の新興国と比べて輸出依存度(0から1までの評価)が大幅に高く、東南アジア(中国の最大の貿易相手国のひとつでもある)の0.16、ロシア、ブラジル、インドの0.19に対し、0.24という数値を示している。欧州連合(0.07)や米国(0.12)と比べると、差はさらに大きい。

予想されたように、中国の拡大の恩恵を最も受けた、かつあまり経済が多角化されていない国々が、需要減の影響をより鋭く感じる可能性が高い。輸出依存度が最も大きいのは原油の輸出であり、コファスが確立した指標によれば、2011年の独立宣言以来、南スーダンがランキングのトップを占めており、アンゴラとコンゴが続いている。木材を生産するガンビアも僅差で続いている。エリトリア、ギニア、モーリタニアも、金属鉱石(鉄、銅、アルミニウム)の輸出により、最も依存度の高い国々のひとつとなっている。

 

 

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持続可能な「win-win」関係確立のための合言葉は「多角化」

中国への輸出への依存度がこれほど高いにも関わらず、中国・アフリカ関係は「win-win」の構図に転じるかもしれない。アフリカからの輸出品目は徐々に多角化されてきており、中国で急速に増えている中産階級のニーズに合わせ、より高い価値を付加した加工済み原材料、原木、そしてそれほど大規模ではないが一部農産物(タバコ、柑橘類、種、油質果実)などが新たに加わっている。このような変化によって、コモディティの豊富な国々の国際的な物価動向に対する脆弱性はそのまま残ることになってしまったとしても、現地の所得増に繋がり、雇用と技術移転を促進させる可能性がある。
多角化には、中国からの海外直接投資(FDI)と融資も含まれる。中国のアフリカへの投資は既に自然分野だけに特化したものではなく、サービス業、加工業、運輸、エネルギーなど多岐に渡っている。既存の「一帯一路」などの構想は、最終的には地域間の連結性を高め、輸出コストの削減に繋がる。
しかし、FDIと資金調達の流れは貿易の流れと比べてはるかに小さいため、中国への依存度の高いアフリカ諸国は引き続き、低迷する需要や原材料価格の更なる下落の影響を極めて受けやすいままである。さらに、アフリカ諸国の政府にとってのリスクは、中国の対外政策や需要の変化に対する自国の脆弱性が増えることである。アフリカ地域における中国の利害はまず何よりも、政治的経済的目的の複雑なネットワークに基づいているからである。
「最新の動きは正しい方向に進んでいるようだが、不均衡な利害による結婚から『win-win』の協力に基づくパートナーシップへと移行するにはまだ努力が必要だ」と、コファスのサブサハラ・アフリカ担当エコノミストで、論文「中国・アフリカ関係:利害による結婚は持続するのか?」の共著者でもあるRuben Nizardは語る。

 

 

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