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2022.06.17
カントリーリスク&経済レポート

中東欧の企業倒産が増加

中東欧の企業倒産が増加
  • 中東欧における企業倒産の件数は、2020年に減少した後、2021年に増加し、ほとんどの国でコロナ禍以前程度の数値に達した。 
  • 倒産件数が増加したのは7カ国(ブルガリア、チェコ、ハンガリー、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア)であり、減少したのは5カ国(クロアチア、エストニア、ラトビア、セルビア、スロベニア)であった。
  • コロナ禍に対する支援政策が段階的に廃止され、ロシア・ウクライナ戦争の影響により、中東欧の企業倒産は今後数四半期に渡って増加すると予想される。

過去2年間の中東欧地域における倒産の傾向は、様々な経済情勢、支援策及び法改正の影響による所が大きい。コロナ禍は経済低迷の引き金となり、同地域の成長率を4%低下させた。中東欧諸国の企業倒産はこの景気後退期間に減少したが、これは家計と企業に対する大規模な国家支援策の効果によるものであった。コファスの中東欧エコノミスト、グジェゴシュ・シーレウィッツ(Grzegorz Sielewicz)は「2021年には、同地域は5.5%の経済成長率を記録したが、今年の成長率は3.2%と見込まれており、その勢いは衰える見通しである」と述べた。「すべての中東欧諸国は、ロシア・ウクライナ戦争の直接的および間接的な影響を受ける可能性が高い。バルト海沿岸諸国は、ロシアとの貿易関係があるため、最も低い成長率を記録することになるだろう」。

 

支援策の縮小と依然として困難な環境が企業倒産の増加を引き起こす

2020年に同地域の企業倒産が減少した後、2021年には倒産件数が増加し、ほぼコロナ禍以前の水準に戻っってしまった。各国それぞれの政府が大規模な支援を縮小しようとしている事が一つの原因である。各国の倒産件数の動向から算出された地域GDP加重平均によれば、2021年は前年に比べて34.7%の増加 (主に支援策の一環である手続によって倒産件数が急増したポーランドを除くと+1.5%の増加) を示した。

倒産件数が前年を上回ったのは7カ国(ブルガリア、チェコ、ハンガリー、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア)で、減少したのは5カ国(クロアチア、エストニア、ラトビア、セルビア、スロベニア)であった。ポーランドでは倒産件数がほぼ倍増したが、これは主に、コロナ禍によって流動性の問題に直面している企業を支援するための専用の手続きが急増したためである。このような急増にもかかわらず、ポーランドにおける倒産率、すなわち、活動中の企業の総数に対する倒産手続の企業総件数の割合は0.06%に達しているが、ポーランドで公的手続が利用可能な企業は1万社中6社にすぎないのだ。

倒産手続きの利用が一般的である国 (クロアチア+1.61%、セルビア+3.31%) では、はるかに高い倒産率が記録されている。

 

中東欧における企業倒産

 

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過去2年間の世界経済の状況は、中東欧企業にとって厳しい環境となっていた。世界経済は、2020年半ばからの景気回復が予想以上に早く、製造業を中心に需要が急増した。エネルギー商品、輸送、各種金属、生産プロセスで使用される投入材の価格も急騰した。いくつかのケースでは、供給不足による生産水準の制限が発生した。最も顕著な例は半導体である。半導体の不足は、シフト数の減少と様々な自動車ブランドの車両工場の一時的閉鎖を引き起こした。生産投入価格の上昇によるエネルギー・燃料コストの上昇は、企業の収益性を低下させた。これらの世界的な展開は、中東欧企業が様々なサプライチェーンの問題に関わっていることと、この地域が西欧と重要な貿易関係にあることにより、中東欧企業も影響を受ける事となったのだ。

 

一難去らぬうちに、また一難

コロナ禍は現在も続いているが、影響を受けた経済や企業にはもうひとつ、別の課題がある。欧州がロシアからの石油や天然ガス、石炭の輸入に依存し続けている状況で、ロシアがウクライナに侵攻したことにより、エネルギー価格の高騰が引き起こされたのである。さらに、両国は農産物の重要な生産国であり、また輸出国でもある。農業食料生産も肥料価格の影響を受けている。そして、これらの価格も加速しており、中東欧地域はロシアとベラルーシから輸入される肥料に依存しているのだ。さらに、世界的な価格上昇と戦争による金属不足は、サプライチェーンの混乱をさらに悪化させた。これらの要因が、中東欧地域を含む企業にとってエネルギーおよび投入価格のさらなる上昇につながっているのだ。さらに加えて、家計の購買力の低下が、企業の顧客基盤に対する懸念の一つでもある。つまりは、中東欧諸国は、インフレの加速の影響を受けているが、主な要因はエネルギー価格の上昇であり、次に食料価格の上昇によるものなのである。

 

ロシアは、中東欧地域、特にバルト諸国にとって、依然として重要な貿易先である。ロシアとの輸出入総額は、2021年のリトアニアのGDPの15.1%を占めた。さらに、ロシアのウクライナ侵攻は、経済的影響を伴う大規模な人道危機を引き起こした。2022年の中東欧諸国全体の成長率は、戦前に比べて低下すると予想されるが、しかし、ウクライナからの難民の流入が、少なくとも短期的には地域の経済成長を支える可能性がある。

 

「これらの課題を考慮すると、企業倒産の増加は今後も続くと予想される」と、コファスの中東欧地域担当CEOであるJaroswaw Jaworskiは述べている。「ロシアとウクライナの戦争の影響は、この企業倒産増加を加速させるだろう。なぜなら、コロナ禍によるロックダウン中のような地元企業への大規模な支援措置が実施される可能性が低いからである。」

 

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