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2018.06.19
カントリーリスク&経済レポート

アフリカにおけるフランスの市場シェアの低下は、一部のヨーロッパ諸国、中国、インドなどにプラス

France’s loss of market share in Africa benefits several European countries, China and India

2017年、ドイツはフランスを抜いて、アフリカ大陸に対するヨーロッパ第一の供給国となった。フランスの貿易収支は(石油価格が史上最高水準だった2008年と2012年を除き)黒字を続けているが、アフリカへの輸出の市場シェアは2000年の11%から、2017年には5.5%にまで半減した。この減少は、航空宇宙産業を除くすべての主要な輸出部門に影響を及ぼしている。それでもなお、コファスが最近行った分析によれば、輸出が21%前後伸びる可能性のあるアフリカ諸国は27カ国に上る。

 

 

輸出の落ち込みは資本財、自動車セクター、医薬品など

フランスの輸出のシェアの落ち込みはアフリカ諸国に限ったことではなく、全世界に向けた輸出そのものが全体的に減少している(2001年には4.7%だったものが、2017年には3%にまで減っている)。フランスと比べると程度は少ないものの、英国と米国もアフリカ大陸への輸出という面では同じような傾向を辿っている。予想された通り、市場シェアを急速に拡大させているのは中国であり(2001年の3%から、2017年には18%前後に増加)、これにインド、トルコ、スペインなどが続く。

 

フランスの対アフリカの輸出の占める割合はあらゆる主要セクターで低下しているが、好調を維持している航空宇宙産業だけは例外である(市場シェアが2001年の12%から2017年には33%に増加)。

 

  • 機械セクターにおいては、アフリカにおけるフランスの輸出のシェアは2001年から2017年までに半減した(12%から6%に減少)。イタリアとドイツに関しては、これはトルコ、スペイン、そして特にシェアを8倍に拡大させ、アフリカ大陸への機械類の全輸出の4分の1を占めるに至った中国との競争に敗れたためである。フランス語圏のアフリカ諸国の一部では、フランスの市場シェアの落ち込みは顕著であり、アルジェリア、モロッコ、コートジボワール、カメルーンなどでは15から20パーセント・ポイント、そしてセネガルでは25パーセント・ポイントの減少となっている。
  • 電気電子機器セクターでは、フランスは2006年までトップシェアを誇っていたが、2017年には市場シェアは3%にまで落ち込んだ(2001年の時点で16%)。中国のシェアはそれとは反対の軌跡を辿っており、7%から、対アフリカ大陸輸出全体の3分の1以上を占めるまでに拡大している。フランス語圏アフリカ諸国におけるフランスの市場シェアは20パーセント・ポイント低下した。
  • 同じ時期に、医薬品セクターの輸出市場におけるフランスのシェアはほとんど半分になっている(2001年の33%から2017年には19%に低下)。同時に、アフリカへの医薬品輸出に占めるインドのシェアは、低価格ジェネリック医薬品セクターがけん引する形で、5%から18%へと拡大した。ベルギー、スイス、ドイツ及び英国も、フランス語圏アフリカ諸国へのフランスの輸出減によって輸出を拡大させた。
  • 自動車セクターでは、中国と(今やこのセクターではアフリカにおける第4位の供給国になっている)インドとの競争が特に顕著である。フランスは2001年に第3位から転落し、2017年には第7位となっている(シェアは15%から5%に減少)。これをさらに圧迫しているのが、ルーマニアやスペインといった他のヨーロッパ諸国の進出であり、特にマグレブ諸国への輸出で顕著である。
  • 小麦の輸出におけるフランスの市場シェアの低下(2001年の16%に対し2017年には11%)の原因の一部は極端な不作によるものだが、何より大きな要因は、ルーマニア、ウクライナ、ロシアとの競争である。これら3カ国は合わせて、2017年の対アフリカ小麦輸出全体の40%以上を供給している(2001年にはわずか3%であった)。一方、カナダ、米国、及びアルゼンチンはアルジェリアとセネガルで大きな進展を遂げている。

 

27カ国に対する輸出が21%増加する可能性

コファスの分析では、フランスの対アフリカ輸出は(金額ベースで)21%ほど拡大する潜在力があることを示している。これは、市場シェアを金融危機以前の水準である7%程度へと戻す増分に相当する。これは、分析対象となった53カ国のうちの27カ国でフランスの輸出レベルが潜在力を下回っているという事実によるものである。特に、

 

  • 東アフリカ(潜在力を10%下回る)など、フランスの存在感が比較的安定している諸国、そして比較的程度は低いものの南アフリカなどで、実際の貿易と貿易潜在力との差が、ウガンダの-2%からボツワナの-71%、そしてルワンダの-89%などと幅広い。ソマリア(-25%)、ジンバブエ(-40%)、及びスーダン(-71%)など一部の国では、企業活動が政治的なリスクにより圧迫されている。
  • モロッコ(-29%)及びアルジェリア(-53%)など地理的に最もフランスに近い国で、既にフランスの主要貿易相手国となっている諸国
  • フランス語圏アフリカ諸国市場(-26%)の一部、特にサヘル諸国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド)を含むフランス由来の法制度を持つ国

 

言語も法制度もフランスとは異なる一部のアフリカ諸国では、フランスの輸出はコファスのモデルによって試算される水準を凌駕している。南アフリカ、ナミビア、ガーナ、アンゴラ、ケニア、ナイジェリアなどがこの例に該当する。これらの結果は、モデルに含まれている以外の要素が、これらの諸国におけるフランスの輸出を後押ししていることを推測させる。

 

 

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