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2015.09.08
カントリーリスク&経済レポート

西欧における企業倒産: 2015年は7%減と予想されるものの、各国の状況は対照的

西欧における企業倒産: 2015年は7%減と予想されるものの、各国の状況は対照的

西欧における企業倒産 は連続で2つの嵐を経験した。サブプライム危機の際には、調査対象である12カ国において企業倒産は平均11%と急増したが、当然のように影響はさらに続き、2012年の企業倒産は8%増、2013年には5%増となった。しかし現在、事態は改善しつつある。2014年には平均9%の減少が見られ、2015年も7%と減少が続く見込みである。イタリアとノルウェーで企業倒産の増加が継続する一方で、ユーロ圏の10カ国(ドイツ、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、オランダ、ポルトガル、イギリス及びスウェーデン)では緩やかな回復によるポジティブな影響が見られる。

 

国によって対照的な減少傾向

 

調査対象の12か国中、ノルウェーとイタリアを除く10カ国で著しい改善傾向が見られたものの、国によって動向は異なり、現在の倒産レベルはサブプライム危機以前と同等には至っていない。実際、大半の国が2008年のレベルまで回復していない。これは、慢性的な高失業率が成長ポテンシャルを損なっているイタリア、ポルトガル、スペインなどの南欧諸国においてとりわけ顕著な状況である。しかしながら、主に個人消費により、見通しは改善している。ユーロ圏のGDPが2015年の第2四半期において0.3%上昇するなど、回復傾向を裏付けている。コファスはユーロ圏の成長率が、2014年の0.9%に続いて、2015年には1.5%、2016年には1.6%に達するものと予測している。

 

 

ユーロ圏の輸入国は、ユーロの下落と石油価格の下落の恩恵も享受している。しかしながら、新興市場諸国の成長減速に伴うリスクについては引き続き注視する必要がある。

 

さらにこの改善傾向に影をさしているのが、ユーロ圏における投資水準の低さである。この分野においても、サブプライム危機以前のレベルは達成されていない(GDP比では2007年の23%に対して2014年は19.5%)。また、金利低下によって融資条件が好転しているにもかかわらず、投資の再活性化には至っていない。期待需要という点で活気に乏しいことから、設備投資も振るわない。サブプライム危機によって企業の設備稼働率が減少したことも生産的な投資を先送りにさせている。しかしながら、個人消費と景気の改善により、今年に入ってから[投資にも]緩やかな回復傾向が見られている。

 

2015年も前年の流れが継続

 

コファスのエコノミストが作成した2015年の企業倒産の予測モデルでは、サンプルに含まれる12の西欧諸国について、さらに平均約7%の減少が予測されている。

 

 

このモデルには、ビジネス環境、投資及び建築許可件数などの変数が含まれる。

 

ユーロ圏における成長条件は回復しつつあり、特にオランダ、スペインそしてポルトガルにとって有利に働く。これに比べて、ドイツとフランスの予想倒産件数の減少率は、それぞれマイナス2%と3%と低めになるだろう。

 

2014年も引き続き倒産件数が増大していたイタリアとノルウェーの2カ国は、2015年も同じ状態を引きずるだろう。さまざまな原因により企業倒産の増加は続くものと思われる。イタリアでは2014年の11%増に続いて2015年も7%の増加が予想されており、他のカテゴリーより安定性に劣る小規模企業が多く、景気回復の幅も小さいため、倒産リスクは増加している。一方、世界第7位の石油輸出国であるノルウェーでは、石油価格の下落に比例して倒産も増加している(2014年、2015年とも6%増)。

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