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2017.01.12
カントリーリスク&経済レポート

ポーランドの支払動向調査:ポーランド企業の間に広がる支払い遅延

Poland Payment Survey: Payment delays pervade Polish corporates

コファスの支払動向調査により、掛け売りはポーランド企業の間で広く用いられている。与信期間を設けることは一般的になっているが、だからといって、売掛金が期日通りに支払われているというわけではない。コファスの調査結果は、ポーランド企業の4分の1近くが、期日を3カ月以上超過する支払遅延に悩まされていることを示している。一般的に、未払い売掛金は減り始める傾向になるはずだが、すべてのセクターでその傾向がはっきりと表れているわけではない。

 

ポーランドにおける支払動向に関するコファスの初めての調査は、同国経済が一時的に後退している時期に実施された。EUとの共同出資による投資が減っていることと、企業の先行き見通しが不透明さを増していることから、固定資産投資が減少している。それでもなお、これが昨年のポーランド経済全体に圧倒的な影響を及ぼすことはなかった。コファスは、2016年のポーランドのGDP成長率は2.7%に達したと見積もっており、さらに2017年には3.1%にまで加速すると予測している。

 

与信期間は短いが支払遅延の期間は長い

 

掛け売りは市場習慣として定着し、今ではポーランド企業の大半が採用している。それでも、企業は期限の長い支払いを待つことには消極的で、平均して30日までの短期の与信期間が優勢である。輸送、金属及び建設セクターはより寛大で、長期の与信期間を受け入れている。それに対して、繊維・衣料、農業食品、そして小売セクターは、与信期間に関しては最も期限が厳しい。ポーランド企業は、掛け売りに関するリスクを認識している。調査したほとんどの企業は、与信期間に関して取引の諸条件を回答している。支払いリスクの緩和のために最も広く用いられているツールとしては、顧客の財政状態の確認、支払い状況の監視、信用保険、債権回収などが挙げられる。

 

「一般的になったのは、掛け売りだけではない。残念ながら、支払い遅延もポーランドの企業にとっては珍しくないものになっている」と、コファスの中央・東ヨーロッパ地域担当エコノミストであるGrzegorz Sielewiczは説明する。「大半のポーランド企業は支払遅延を経験しているが、最も長期の延滞は、建設と輸送セクターにおいて見られる。これらの産業においては、それぞれ84日と113日に近い支払遅延が報告されている。それに対し、全セクターの平均は51.5日である」

 

コファスの調査では、3分の2の企業が、最大で60日の延滞を報告している。同時に、ポーランド企業の4分の1近くが、支払期限を少なくとも3カ月間超過した未払い売掛金を抱えている。最も長期の延滞は特に危険で、コファスの経験によれば、支払延滞が6ケ月を超えると、未払い売掛金の約80%は完全には支払われなくなる。ポーランド企業の4%近くが、この種の長期の未払い売掛金を報告している。今回の調査はまた、古い時期に蓄積した未払い売掛金が、企業の売り上げに目に見える部分を占めている。5社に1社が、これらの長期の遅延が自社の売り上げの10%以上を占めるとしている。

 

コファスの試算によれば、全セクターを通じての平均支払延滞は51.5日である。しかし、一部のセクターはこれよりもはるかに長期の支払遅延を報告している。特に輸送セクターは112.9日、そして建設セクターは83.6日である。小売セクターは遅延期間が最も短く、平均で19.3日となっている。

 

状況が改善される日は近い

 

今年のポーランドのGDP成長率の加速と併せて、ポーランド企業の景況も改善し、2017年には未払い売掛金は横ばいか、場合によっては減少すると期待される。調査に回答した企業の大半は、昨年の景気減速は一時的なものであると考えており、40%が今後6カ月で売り上げは拡大すると予想している。さらに、採算性が高まることを予想する回答も54%を占めた。セクターによって明暗が分かれるものの、売り上げの拡大は特に、小売、エネルギー、繊維・衣料、そして自動車セクターにおいて特に期待されている。それとは対照的に、輸送、金属、ICT及び建設セクターは、今後6カ月間に売り上げは減少すると予測している。

 

支払遅延に関する一般的な見通しとしては、半数近くの企業が、今後6カ月間で大きな変化は見られないだろうと回答している。未払い売掛金が減少すると予想する企業の割合(29%)の方が、増加すると予想した企業(22%)よりも大きかった。セクターによって結果が大きく分かれており、一部のセクターは今後数カ月間にわたって、他のセクターよりも延滞の問題により深刻に悩まされる可能性がある。建設セクターにおいては回答企業の55%が遅延の増加を予想している一方、減少を予想している企業は12%にとどまる。これは、2016年11月以降、ポーランドの建設セクターを最も低い評価である「非常に高い」リスクにランク付けした、コファスのセクター別リスク分析の結果と合致する。今期のEU予算からの資金繰りが改善したことと併せて、建設セクターの事業環境は改善するはずであり、流動性リスクは減少していくものと思われる。また、民間セクターからの金利収入が固定資産投資に回されることも、昨年建物や構造物などへの投資が減少した建設セクターの後押しとなる。このように、2017年には幾分改善が見られると期待されるものの、これらは早くて年の後半になるだろう。さらに、輸送セクターの少なくない割合(39%)の企業が、遅延は増えると予想しており、8%が減少すると回答、そして半分以上は変化が見られないだろうと考えている。輸送セクターにおける主な懸念は、世界貿易の動きが鈍くなっていくこと、一部の西ヨーロッパ諸国が実施した陸上輸送における保護主義的施策、そして求人が埋まらないことなどである。これらの要因は、今年も引き続き輸送セクターに重くのしかかるだろう。それに対して、今後6カ月間で未払い売掛金が最も大幅に減少すると予想されるセクターとしては、繊維・衣料、金属、自動車などが挙げられる。

 

 

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  • Diversified survey distribution of participants among sectors and business sizes
  • Companies feel comfortable with demand prospects
  • Sales on credit remain widely used
  • Payment delays are commonplace for Polish companies
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