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2013.06.20
カントリーリスク&経済レポート

イタリア: 景気後退の深刻さ、脆弱な小企業の圧倒的多さ、公共部門における大規模な支払遅延を反映し、企...

イタリア: 景気後退の深刻さ、脆弱な小企業の圧倒的多さ、公共部門における大規模な支払遅延を反映し、企業の支払振りが悪化
悪循環に陥ったイタリアの "ビジネス・モデル"

ユーロ圏の最先進工業国の1つであるイタリアは、7 四半期連続のGDP 収縮に見舞われている。活動レベルは2012年度に2.4% 低下し、2013年度には1.7% 収縮する (ユーロ圏の -0.6% に対して)、と予想されている。家計消費は、購買力低下と高失業率のせいで落込んでいる。長期的には、きわめて弱いレベルの経済活動とイノベーションの低さに成長率は影響を受けやすいであろう。

 

期待できる輸出力も内需の収縮を相殺するには至らなかった。投資の財源が不足しているイタリア企業は、世界市場におけるシェアを大きく落としつつある。各社は、競争力(価格および品質)の低下が利幅の縮小を招き、そのことが今度は、競争力を強化することで利幅を回復する能力を妨げる、という悪循環に陥っている。

 

景気後退に加え、多くの要因によって目立ってきた不払いの増加

これらの脆弱性と共に、コファスはイタリア企業の支払振りにおける著しい悪化に注目している。イタリア企業は伝統的に、他の欧州諸国の企業よりも不払いの率が高いが、危機が始まって以来、このギャップは更に広がった。2007年にその率はフランスの3 倍であったが、今では7倍となっている。

 

 コファスのエコノミストたちが行なった分析は、この憂慮すべき傾向の源を明らかにした。

  • イタリアにおける不払い率の背後にあるのは、経済環境だけが唯一の要因ではない。たとえ、イタリアの成長率が近隣諸国のそれと似たようなものだったとしても、この率はより高いであろう。
  • 彼らの利益率と負債のレベルは欧州平均の枠内にあるものの、イタリア企業は、投資に資金を振り向ける能力に関する波及効果を伴う、記録的な利幅の縮小に直面している。企業の銀行信用への依存度は、イタリアの銀行がその資産の質の劣化のため、融資により厳しい態度を採りつつある時、こうした現在の諸問題の一因である。
  •  これらのキャッシュフロー問題に内在する債務超過のリスクは、欧州の他国におけるよりもずっと高いイタリアの経済構造の中での小企業の占有 (企業の95%が従業員数10 名未満) によってより高くなっている。ますます不安定になっているこれらの小企業は生産性レベルの低下を経験しつつある。
  •  もう1つのイタリアの特異性は、公共部門における支払期限厳守の欠如である。イタリアの公共部門における支払遅延の伝統 (イタリアが170 日であるのに対して、 フランスは60 日、ポルトガルは135日、そしてギリシャは 159日) は、従って企業の基礎を著しく弱めている。

 

コファスは、イタリアに対する2013年度成長見通しを -1.7%に引き下げた。危機が始まって以来、我々が目にして来た企業の支払振りの際立った悪化は、単なる現在の経済困難だけの結果ではない。それは、経済構造の中でのきわめて不安定な小企業の圧倒的占有や公共部門におけるきわめて長い支払期間を含む、構造的な問題から生じている。これらの遅延の一部に取り組むというイタリア政府の決定は、朗報である。この国はまた、ダイナミックな新興諸国の需要に応えるのに適した様々な特殊化という大きな利点を有している。しかし、徹底的な改革だけがこの大きな潜在力をフルに活かすことを可能にするだろう” とコファスのチーフ・エコノミストであるイヴ・ズロトウスキは説明している。 

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