ニュース・レポート
2013.10.14
カントリーリスク&経済レポート

新興アジア : コファス、家計部門の債務に関連したリスクの上昇を警告

中産階級主導により依然として高いアジアの成長見込み

 

アジア諸国経済は、とりわけ家計におけるダイナミックな消費のお蔭で、2008-2009 年のグローバル危機とユーロ圏の公的債務のそれとのダブル・ブローを乗り切った。例えば、1995年以来、国民1人当たりの民間消費は中国でほぼ3倍、インドで2倍以上となり、最貧諸国でもキャッチアップが進行中であることを示している。このキャッチアップは、今のところほとんど不完全でも、今後も長きに亘って持続し、アジアにおける中産階級の拡大によって伝播されるであろう。GDPの継続成長と 消費をサポートする公的政策の結果、家計所得は増大しつつある。高齢化する人口と急速な都市化もそれに寄与している。

 

鍵となる以下の3つの分野は、今後数年間、中産階級による消費増大の恩恵をフルに受け続けるであろう。:

  • 自動車(アジアにおける需要増大のため);
  • 高所得者向け消費財(中国人の高級ブランド嗜好に支えられて);
  • 観光(同地域の他の国々へ旅行する中国人が多いため)。

 

マレーシア、韓国、シンガポールおよびタイ:サブプライム危機当時の米国と同程度の家計債務

 

もし新興アジアにおける消費ブームが同地域の経済発展を反映しているのであれば、それは銀行信用へのアクセスの容易化とも関連している。従って、一部の国における過剰な家計債務が、中期的には、経済活動にマイナスの影響を与えかねないであろう。この4ヵ国は大変危険に曝されている。2012年に、家計部門の債務の可処分所得に対する比率は、マレーシアで194%、韓国で166%、シンガポールで134%、そしてタイで112%に達しているが、2008年、つまりサブプライム危機が始まった頃の米国では130% 程度だった。その結果、2008年の米国や2012年のスペイン(それが深刻な景気後退に大きな役割を果たした)におけるよりも高い家計の債務返済額となっている。

 

トップ 4 の中でも、最たる国は韓国であり、その債務の構造は更なるリスクの要因である。何故なら、変動金利型ローンの占める割合が2009年の米国では僅か10%であったのに比べて、同国では55%に達しているからである。

 

更に、あまりにもダイナミックな信用に由来するこの過剰な債務は、中期的に見て、不安定な外部金融と資本流出によって、アジア諸国をより脆弱なものにしかねない。それはまた、2013年夏の間に見られたのと同じような、為替レートの急激な下落を惹き起こすかも知れない。

 

"2008年危機当時の米国の家計状態との類似は必ずしも、同規模の危機が新興アジアにおいて差し迫っていることを意味する訳ではない。しかし、家計消費の緩和化は、今後何年にも亘って必要とされるであろう。家計の過剰債務が経済と銀行部門にもたらすリスクに対処するために、現地の当局は、金融引締め政策やより厳しいプルーデンシャル規制と言った予防対策を取らなければならない" と、カントリーリスク部門のヘッドであるジュリアン・マルシリは述べている。

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コファスジャパン信用保険会社
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 小川 のりこ
 
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参照


”カントリーリスクパノラマ”のレポート(英文)を読む:"Should we stake everything on the Asian consumer?" 

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