コファス四半期信用リスク調査: 世界主要3地域14部門が対象
部門リスクは北米・欧州で安定、アジア新興国では懸念要因になりつつある。
西欧:安定化の初期兆候とは裏腹に、複数の部門では依然として高いリスクが見られる。
西欧ではリセッションが終わりに近づきつつあるように思われるが、部門リスクという点では大きな改善はまだ生じていない。2014年第一四半期に信用リスクが依然として特に高いのは、金属、自動車、建設の各部門である。金属産業は、売上高・収益性が着実に低下しており、主要な坂路である建設・自動車の両部門に依存している。欧州の自動車部門においては、6ヶ月連続で販売台数が伸びているといったポジティブな趨勢は見られるものの、引き続き注視を続けている。したがってコファスでは、この両部門を引き続き「非常に高いリスク」カテゴリーとしている。
現在「高いリスク」とされている建設部門では、欧州レベルにおいて受注件数の減少が見られ(2014年1月は前年同月に比べ10%減)、価格も全般的に低下している。やや回復の見られるドイツ及びデンマークを除けば、建設部門は、南欧諸国、フランス、さらにはイギリスでも計画承認件数が減少していることで深刻な影響を受けている。
北米:明るい展望
北米では企業業績の改善が続き、前進が見られる。財務の健全性は徐々に高まっており、部門リスクの評価を安定させている。大多数の部門は「中程度のリスク」と見られており、複数の部門において、短期的な展望が良化している。
展望の明るい部門としては、流入する投資が増大し収益性が強化されている(2013年末時点で平均17.5%)エンジニアリング部門、健全な財務基盤によるメリットが出ている自動車部門などがある。繊維・衣料部門の信用リスクも安定しており、2014年には6000名の雇用創出と40億ドル以上の投資が計画されている。
アジア新興国:金属産業は「非常に高いリスク」に格下げ
リスクが安定化傾向にある西欧及び北米と異なり、アジア新興国では新たな懸念要因が見られる。中国における景気減速によって、企業の収益性に影響を及ぼす構造的な難題が浮き彫りになっている。生産能力過剰を抱える部門は、現在、リストラクチャリングという課題に直面している。
これは、企業の清算過程に合わせてリスクが増大している金属産業に顕著に見られる。コファスが中国(世界の鉄鋼生産量の49%を占める)で行った調査によれば、2013年には80%の企業が支払延滞を経験しており、これは過去3年間で最高の水準である。現在、こうした背景のもとで、アジア新興国における金属産業は、コファスが最も高いリスク水準である「非常に高いリスク」に格下げした唯一の部門となっている。