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2020.05.28
カントリーリスク&経済レポート

世界貿易:突然の中断があったにもかかわらず、世界のバリューチェーンの将来は依然として明るい

世界貿易:突然の中断があったにもかかわらず、世界のバリューチェーンの将来は依然として明るい

2020年前半、世界的な景気後退と高まる不確定性によって世界貿易は突然の中断に見舞われた

特に危機の時期には国際貿易がGDP以上に減少傾向にあることを考えると、世界的な景気後退は、今年の国際貿易の急激な減少と同時に起きると予想される。しかし、この過剰反応がどの程度になるかを予測するのは困難である。世界貿易機関(WTO)は、世界貿易は13%から32%減少すると予測している。この見通しは、すべての地域において貿易量が二桁の下落に見舞われることを示している。石油価格、米国製造業の景況感、韓国の輸出、及びバルチック海運指数を世界貿易の説明変数として使用したコファスの予測モデルによれば、世界貿易は2020年の第3四半期には前年比で7%減少する。ただし、線形モデルを通じて測定される通常の相関関係は危機の時期には必ずしも有効ではない場合があり、実際の結果はそれより大幅に悪くなる可能性もある。経済環境が悪化している時期には、GDPに対する貿易の過剰反応の理由の一つとして不確定性の急増が挙げられるが、現時点ではこの過剰反応は史上最大規模のものになっている。

 

食品と重要な医療品をターゲットにした新たな保護貿易主義も、世界貿易に重くのしかかっている

保護貿易主義もやはり、悪化要因の一つである。世界の保健危機が始まって以来、保護貿易主義は国内の食品と重要な医薬品の供給を確保することに注力してきた。2020年4月22日現在、Global Trade Alertに登録されている貿易措置(193個)の56%が、上記の目的に関連するものとなっている。ほとんどの措置(110個)が、マスクやその他の保護具、人工呼吸器、及び様々な薬品の生産に必要な化学品の輸出の禁止に関するものである。

 

この時期、輸入側は医療品の輸入を容易にするようにしている一方で、輸出側はそれらの輸出を難しくする方向に動いている。その中で、中国のケースは特異である:医薬品の輸出は、国内が保健危機の渦中にあった2020年2月には15%減少しているが、世界のマスクの輸出に占める同国の圧倒的なシェア(55.3%)は、世界的な供給には中国の協力が不可欠であることを意味している。中国のマスクの日産量は1億1600万枚と、感染症流行前の約12倍に急増した。

 

新型コロナウイルス危機はまた、農産食品セクターにおける保護貿易主義の高まりにもつながった。ロックダウンの予想がきっかけで生じたパニック買いの波が襲ったのは、家庭だけではなかった。脆弱な国の中には、国内の食料供給を確保するために穀物の備蓄を検討しているところもある。現在では、市場の小麦供給の3分の1が、ロシアを筆頭に主な輸出国による慎重な制限措置の対象となっている。この段階では、輸出禁止措置は、供給不足よりも、主としてフランスのようなヨーロッパの生産国への需要のシフトにつながっている。

 

小麦に加えて、この異常事態下でコメの需要も高まっている。世界の主なコメ輸出国であるインドでは流通が確保できていない。ロックダウン措置により国内のサプライチェーンに混乱が生じ、労働力不足につながり、また、輸出港へのアクセスが困難になっている。インドの主な競争相手であるタイではコメの備蓄が豊富だが、カンボジアのロックダウン措置によりこのセクターに必須の季節労働者の確保が困難になっているため、輸出に支障が生じている。その結果として、コメの価格は3月末に7年ぶりの高値に達した。

 

唯一の明るいニュースは、ロックダウンの間に実施された国境管理が貿易に及ぼした影響が限定的なものにとどまったという点である。観光業の復活と、特に農業セクターにおける労働力不足の緩和に向けて、ヨーロッパでの国境管理は徐々に緩和されてきている。

 

海外からの供給ショックから生産を守るための措置を実現するのは極めて難しいだろう

 

長期的には、生産段階を国内で移転させることは、世界貿易にとって新たなリスクとなる。中国での危機の第一段階において、世界中の企業はそれぞれのサプライチェーンに同国がどれほど深く関わっているかを実感したはずであり、今は海外からの供給ショックに対するサプライチェーンの強度を高めることを考えていることだろう。これには二通りの方法がある:生産を国内市場に完全に移転させてしまうか、サプライヤーを分散させる強力なグローバル戦略をとるかである。

 

現在の状況においては、生産プロセスを完全に国内や地域内レベルに移転させるという手段は、生産コストの上昇や国内の技術の不足などの問題を想起させる。これらの二つの問題への対処が可能だったとしても、現地に新たに確立された生産プロセスが原材料の供給に依存する構図は変わらない。そして、原材料の方は移転ができない。

 

サプライチェーンの強靭化についても、サプライヤーを分散化させることで国別のリスクを軽減させる必要がある。一見して今のところ、世界最大のサプライヤー国である中国に代わる供給先を探すのはほとんどのセクターで可能であるように思われる。しかし、各産業の主な生産国は互いに強く連携しており、たとえセクターにおける他の主なハブへの供給の多角化が進んだとしても、中国に依存する状況が劇的に変化することはないだろう。

 

これは、世界のバリューチェーンの将来は依然として明るいことを意味している。

 

 

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