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2019.10.22
カントリーリスク&経済レポート

農業食品セクター見通し:保護貿易主義者によって緊張が高まる世界経済の中で、将来はどうなるか

農業食品セクター見通し:保護貿易主義者によって緊張が高まる世界経済の中で、将来はどうなるか
特に米中の緊張の高まりなど貿易摩擦の渦中にあって、農業食品セクターは、大豆など主要産品の価格の下落傾向が目立ち、連鎖的な影響を受けている。コファスは、同市場の今後の傾向を詳細に分析した。

特に戦略的なセクターである農業食品セクターは(ICTセクターとともに)、米中の貿易摩擦の鍵となるセクターの一つである。このほど、中国当局は、トランプ政権による関税引き上げの発表を受けて、米国からの農業食品の輸入を全て禁止する措置を取った。

 

商業摩擦と大豆価格の下落傾向

大豆に関わる動きは、状況を完全に描き出すものとなっている。(トウモロコシや小麦のように)食用と飼料用に広く使われる大豆の価格は、乱高下し、下落傾向にある。

選択した商品の価格を予想する独自の統計的モデルによって、コファスは次の通り予測する。米中貿易摩擦の高まりとアフリカ豚コレラ(ASF)の発生によって、2019年の大豆価格は前年に比べ9%下落するだろう。ASFの発生で、中国の豚肉生産業者は感染拡大を抑えるために、家畜の多くを屠殺せざるを得なかった。これによって、飼料とする大豆の購入量が減った。同時に、これが世界中の豚肉生産に直接的な影響を与えている。世界の豚肉の半分は中国で生産されている。中国の消費者は鶏や牛肉など別の動物性蛋白質源を求めざるをえなくなり、アルゼンチンやブラジルなどの主要輸出国からの需要が増えるだろう。

米中の貿易摩擦の高まりが世界の農業食品セクターにもたらすものには、大豆や豚肉を含む一定の原料の「輸出ルート」の転換もある。ブラジルやアルゼンチンなどの世界の主要な大豆生産国・輸出国の一部は、中期的にはこの状況から恩恵を得ることができるかもしれないが、農業食品セクター全体へのリスクは高いままである。

 

世界の農業食品セクターの見通しに重くのしかかる他のリスク

 

前述の世界的な保護貿易主義の高まりに加え、アフリカ豚コレラの流行や世界のトウモロコシ市場を脅かす害虫ツマジロクサヨトウなど、農業食品企業にとってのリスクは他にもある。農業食品セクターの構造的なリスクとしては、深刻な干ばつやエルニーニョ現象など、穀物に影響を与える気象条件に対して脆弱であることが挙げられる。

 

 

最後に、農業食品は保護貿易主義者による緊張が高まる世界の経済環境の影響を強く受けるものの、自由貿易協定では鍵を握るセクターとなることが多い。これは、EUとメルコスールの間で合意されたばかりの協定でも証明されている。

各国政府はこのような協定の交渉では、国内の農業食品セクターの利益となるような生産物の貿易を促進しようとすることが多い。しかし、農家が必ずしもそうした協定を支持するとは限らず、また、世論の中にも懐疑的な見方があるなどして、こうした自由貿易協定の批准の遅れにつながることもある。

 

 

 

 

 

 

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