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2016.10.07
カントリーリスク&経済レポート

ラテンアメリカ:製造業輸出が依然として精彩を欠いているのはなぜか?

ラテンアメリカ:製造業輸出が依然として精彩を欠いているのはなぜか?
  • ラテンアメリカの輸出は、これまでは原材料に対する中国の旺盛な需要と、それら原材料の国際価格の上昇とに支えられていた。
  • 製造業の輸出は、過去20年間を通じて全体的に低迷していた。
  • 分析対象となった6カ国(アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、コロンビア、チリ及びペルー)の輸出を弱体化させている要因としては、高額の人件費、不十分なインフラ、及び貿易協定の制約などが挙げられる。
  • 製造業の輸出の力強い回復は、近い将来には見られそうもない。

海外貿易は、今後数年間はラテンアメリカにおける経済成長の主因とはなりそうもない

2014年まで、ラテンアメリカの輸出は、原材料に対する中国の旺盛な需要とそれら原材料の国際価格の上昇とに支えられていた。ラテンアメリカ地域の豊富な天然資源は、コモディティが活発に取引された時期を通じて、経済的利益をもたらした。しかし、この傾向はラテンアメリカ地域の多くの国の為替レートに対する上昇圧力としても働き、結果として製造業の競争力が低下した。

 

全体として、どの国も、過去のコモディティ・ブームに乗じて必要な改革を行うことができなかったと言える。重大な課題が残されているが、政府収入は減少した。以下の問題は、短期・中期的に実績を妨げる要因となりうる。

  • 最近になって為替レートが上昇し、一方人件費は下がっていないため、価格競争力が大幅に増加することはないだろう。
  • 当面、世界の活動も力強い成長を見せることは期待できない。
  • 汚職スキャンダルと、きちんと定義された規制枠組みの不在を考えれば、インフラのボトルネックを解消することは難しいだろう。
  • 保護貿易主義が世界で拡大しており、重要な貿易地帯との間に貿易協定が形成されることも考えにくい。

製造部門:高度な技術を要しない製品が優勢となっていた過去20年間を通じて低迷

 

 

分析対象となった6カ国すべてにおいて、製造業の輸出は価格ベースでは伸びている。全体として、一次輸出の進展の方が製造された商品の輸出よりも重視されていた。一部の国で原材料輸出が優勢であったのは、主として(2014年半ば頃まで続いた)原材料価格の上昇と、それに伴う実質為替レートの上昇、賃金上昇、そして一部の例では、増税にある。これらすべてが、過去10年間の製造業の競争力に影響を及ぼした。

 

 

 

製造業の輸出は、GDPに占める割合という意味では大幅に増加していない。この傾向は2015年を境に逆転したと見られるものの、製造業の輸出のGDPへの寄与は6カ国ほぼすべてで増加した。ラテンアメリカ地域で唯一、製造業の輸出が優勢であるメキシコでは、2005年にはGDPの19%の割合だったのが2015年には27%にまで増加した。その他の各国では、製造業の輸出が2015年のGDPに占める割合は5%以下である。

 

製造業の輸出の進展は、為替レートの変動の影響はあまり受けていない。ラテンアメリカ諸国はコモディティ輸出に大きく依存しているが、これらの国では通常、総輸入に占めるコモディティの重要性はあまり高くない。2014年から始まった基本財の国際価格の急落に続き、為替レートにも押し下げ圧力がかかっている。

 

輸出が精彩を欠いている原因はどこにあるのか?

  • 人件費:一般的に、企業の原価構成において人件費が占める割合は大きいので、実質賃金は製品の競争力を決定する主な要素である。ブラジルとアルゼンチンでは、最低賃金は体型的に生産性を上回る増加を見せている。
  • 不十分なインフラ:ラテンアメリカの不十分なインフラはよく知られた問題だが、残念ながらコモディティ・ブームの時期にもその質を向上させる動きはほとんど見られなかった。これは、輸出の回復を妨げている可能性のある要因の一つである。輸出部門の官僚制度の複雑さもまた、ラテンアメリカ地域の製造活動を妨げている要因の一つに数えられる。
  • 少ない貿易協定:過去10年間、メルコスールで締結に至った貿易協定はわずか二つに留まり、しかもいずれも貿易取引高では重要性の低い国である。もっと効率よく協力関係を築くことができた太平洋同盟加盟国でさえ、製造業輸出を明るい方向にもっていくことはできなかった。
製造業輸出:近い将来、数字が改善することは期待できない。

最近になって為替レートが上昇し、一方人件費は下がっていないため、価格競争力が大幅に上昇する可能性は低い。地域内の為替レートの大幅な下落によって製造業輸出が増加したことを示す明確な証拠はない。

 

もう一つの要素は、近い将来、世界の経済活動が力強い成長を見せるとは期待できないことで、工業製品に対する国際的な需要も限られたものになると思われる点である。コファスは、2016年と2017年の先進国経済のGDP成長率はいずれも1.6%と見積もっている(2015年の1.9%から低下)。新興国市場においては、GDPは今年は3.7%、2017年には4.2%成長すると見られ、2015年の3.4%から増加する。中国では、経済活動は引き続き段階的に減速していくと思われる。

 

ラテンアメリカのインフラ課題の解消は、運送品を引き下げて製品の生産性を向上させるために不可欠である。地方政府は官民パートナーシップを熱心に促進しているが、事業環境が悪化しているため、投資家は慎重な構えを崩していない。

 

世界の政治的・経済的環境は、以前と比べて開かれた貿易に対して逆風となっており、保護貿易主義の台頭は輸出の成長を妨げる。

 

「全体として、どの国も、過去のコモディティ・ブームに乗じて必要な改革を行うことができなかったと言えます。重大な課題が残されていますが、政府収入は減少しました」と、コファスのラテンアメリカ担当エコノミストのパトリシア・クラウセは言う。

コファスは製造業輸出は当面低迷したままだろうと予想している。2017年にも力強い回復は見込めそうもないが、世界の需要は緩やかに増加し、コモディティ価格もやや上昇する可能性がある。

 

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  • Manufacturing sector
  • What is causing lackluster exports?
  • Manufacturing exports

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2014年まで、ラテンアメリカの輸出は、原材料に対する中国の旺盛な需要とそれら原材料の国際価格の上昇とに支えられていた。ラテンアメリカ地域の豊富な天然資源は、コモディティが活発に取引された時期を通じて、経済的利益をもたらした。しかし、この傾向はラテンアメリカ地域の多くの国の為替レートに対する上昇圧力としても働き、結果として製造業の競争力が低下した。

 

全体として、どの国も、過去のコモディティ・ブームに乗じて必要な改革を行うことができなかったと言える。重大な課題が残されているが、政府収入は減少した。以下の問題は、短期・中期的に実績を妨げる要因となりうる。

 

-         最近になって為替レートが上昇し、一方人件費は下がっていないため、価格競争力が大幅に増加することはないだろう。

-         当面、世界の活動も力強い成長を見せることは期待できない。

-         汚職スキャンダルと、きちんと定義された規制枠組みの不在を考えれば、インフラのボトルネックを解消することは難しいだろう。

-         保護貿易主義が世界で拡大しており、重要な貿易地帯との間に貿易協定が形成されることも考えにくい。

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