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2016.03.24
カントリーリスク&経済レポート

チェコ共和国、ポーランド、チリ、タイでは輸出の急速な回復が近い

Czech Republic, Poland, Chile, and Thailand closest to a quick upturn in exports press relsease
  • 調査対象34カ国のうち、短期的な回復が期待できるのは4カ国のみ
  • 判断基準:価格競争力、債務、政治的リスク
  • 中国、サウジアラビア、エジプト、エクアドルではリスクが非常に大きい

 

新興市場諸国における現在の危機は、成長率が5年間で半分に低下、通貨リスク及び債務へのエクスポージャーが拡大と予想外の厳しさを見せているが、これは特異な現象ではない。同様の危機は1990年代にも見られ、資本流出は急増し、銀行融資の回復は見られなかったものの、突然かつ急速な経済活動の上昇によって危機は終了した。これら新興市場諸国では、長期的成長率は危機以前より低い状態が長引いたものの、生産水準は2~3年で元通りに回復した。

 

今日、これら新興市場諸国のうち、企業の急速な回復が見られるのはどこになるだろうか。コファスが調査した33カ国のうち、「2013年以降の通貨下落を通じて価格競争力の上昇が戻っている」「企業の借入能力」「政治的リスクの低さ」という重要な3つの基準に適合したのは、わずか4カ国だった。すなわち、チェコ共和国、ポーランド、チリ、タイである。

 

基準1:価格競争力の上昇

 

短期的には、競争力を上昇させる最も効果的な方法は、実効的な実質為替レートを(ドルに限らず、すべての貿易相手国の通貨に対して)切り下げることだ。これは主として製造業及び一部のサービスの輸出に恩恵をもたらす。為替市場における最近のトレンドから最も恩恵を受ける14カ国のなかで、2つのカテゴリーを特定できる。2013年以降、緩やかな通貨安となっている工業製品輸出国(チェコ共和国、ポーランド、ブルガリア、ハンガリー、マレーシア、タイ、トルコ)、そして大幅な通貨安となっているコモディティ輸出国(ブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、カザフスタン、南アフリカ、ロシア)である。

 

主な「負け組」(ベトナム、中国、エクアドル、エジプト、そしてサウジアラビアも)の通貨は実効的な実質ベースで上昇している。ドルに対して、第三通貨又は固定的・硬直的な為替レート制度が用いられているためだ。

 

 

基準2:企業の債務水準

 

以上のような価格競争力の上昇を企業による投資増大へとつなげていくためには、当初の債務水準が過剰であってはならない。だが、リーマン危機後の拡張主義的な金融政策により銀行の融資条件が緩和され、債券市場が急速に発展したことを受けて、債務水準は増大した。2004年から2014年にかけて、債務は絶対額で4.5倍、対GDP比では、新興市場諸国の経済成長率が2010年の7.2%から2015年には3.4%(2016年は3.9%と試算されている)に低下したことを背景に、26ポイントも上昇した。

(欧州の新興市場諸国を除いて)融資条件が厳しくなるなかで、高い債務水準は利払いの増大を意味しており、投資余力が制限され、回復を阻害してしまう。特にリスクが高いのは、企業債務総額が2008年半ば以降で10ポイント以上も増大し、対GDP比が90%を超えている5カ国、すなわち、ブラジル、マレーシア、トルコ、ブルガリア、ロシアである。

 

基準3:政治的リスク

 

最後に、企業が投資判断を先送りせざるをえないような大きな政治不安があると、経済の回復が遅れる可能性がある。価格競争力の上昇が追い風となる可能性があり、企業債務という点でのリスクと無縁な国は8カ国あるが、その半分は、あまりにも大きい政治的リスクに直面している。すなわち、コファスの2つの指標、変革圧力[1]と変革手段[2]が他の調査対象国の平均よりも大きく、2007年以降上昇している国々である。

 

3つの基準からなるフィルターを適用してみたところ、迅速に回復できる、又は現在の危機によりよく耐えられる国が4つ残った。すなわち、チェコ共和国、ポーランド、チリ、タイである。これら諸国はグローバルGDPの2%以下にしか相当しないが、共通する強さが見られる。比較的工業化が進んでおり、「中産階級の罠」を克服しており、最も大きな打撃を受けた新興市場諸国に対する輸出がさほど多くない。これら諸国の経済ファンダメンタルズは良好である。インフレ圧力はほとんどなく、公的債務は少ない(チリ、チェコ共和国)又は中程度(タイ、ポーランド)であり、大幅な経常赤字を抱えていることもない。だが、脆弱性を生む要因もある。ポーランド、タイ、チリでは、さほど大きくないとはいえ、政治的・社会的リスクが見られる。チリは銅資源への依存度が高い。

 

反面、この調査では、他の諸国には短期的な回復を実現する余裕がほとんどないことが確認できた。中国、サウジアラビア、エジプト、エクアドルでは、いずれも2013年以降、通貨が大幅に上昇しており(特に、ドルに対して第三通貨又は固定的・硬直的な為替レート制度を用いているためである)、政治的リスクも高い。なかでも、中国では企業の債務水準が非常に高いこともあり、すべての弱点が蓄積されている。

[1] 変革圧力(インフレ率、失業率、腐敗の統制)は、任意の国における社会的・政治的なフラストレーションの強さを測定する指標である。

[2] 変革手段(教育、ソーシャルネットワーク、若年層比率、女性の役割)は、これらの社会がフラストレーションを政治的行動に変えていく能力を把握する指標である。

 

 

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  • Companies in emerging countries: Can we once again believe in the Phoenix miracle?
  • Factor 2: Corporate Borrowing Capacity
  • Factor 3: Political Risk
  • The Phoenix is an Endangered Species

 

 

 

 

 

 

 

 

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