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2015.09.21
カントリーリスク&経済レポート

中国の影はアジアに広がるか

中国の影はアジアに広がるか

中国はより健全で持続可能性の高い成長を実現する道を見つけようと努力している。だがそれは、中国経済にとって、あるいは近隣諸国の経済にとって、まったく痛みを伴わないというわけにはいかない。コファスの試算によれば、2006~07年の中国経済の成長率が13.4%であったのに対し、2015年に6.7%、2016年に6.2%を超える可能性は低いと観られる。これは主として、テクノロジー、資本の面で[先進諸国に]追いつこうとするプロセスが勢いを失ってきた結果である。複数の産業が生産能力過剰に悩み、企業債務は積み上がっており、これが投資に影響を与えている。我々は中国の経済モデルの転換を目撃しつつある。ハードランディングが生じた場合、アジア諸国のうち最初に犠牲になるのはどこだろうか。悪影響から最も距離を置ける国はどこだろうか。

 

大規模な改革を間近に控えた中国

 

現在の中国の経済モデルにおいて進行している変化には、二つの主要な推移が見られる。他のアジア諸国に比べて価格競争力が低下していること、そして投資主導ではなく消費主導による持続的な成長への移行が見られることである。

 

労働年齢人口の減少を一因とする単位労働コストの上昇は価格競争力の低下の原因となり、バリューチェーン上流への移行が求められている。海外からの直接投資(FDI)は、より競争力の高い国々(タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム)に流れ、中国向けは停滞している。成長に貢献する投資の比重は低下しており、その証拠に、固定資本投資(2015年第1四半期は11.2%)、企業収益、そして鉱工業生産(2015年年初~7月まで月平均6.3%、2014年は同8.3%)の成長が徐々に減速している。

 

したがって、成長において消費が演じる役割がより重要になっている。中国当局も、成長のバランス修正を狙い、市場により大きな役割を与えることで経済の効率化を図っており、こうした消費主導への転換を支持している。長期的には、中国経済の金融面での自由化は、消費を支え、中国経済をバリューチェーン上流へと移行させることで、価格競争力の低下とリンクした成長減速を相殺する可能性が高い。とはいえ短期的には、成長減速は国内経済及び域内他国にとってリスクとなっている。

 

アジア諸国にとっての悪影響は?

 

  • 各国金融市場及びモンゴルへの悪影響は大きい

 

香港及びシンガポールにとっては、二つの意味で中国経済減速のリスクは大きい。第一に金融市場を通じたリスクである。香港・シンガポールの株式市場は中国の株式市場との関連性が高く、国境を越える銀行融資の結果として、中国企業の信用力の低下にも影響されている。第二に、貿易面のリスクだ。というのも、香港・シンガポールにとって、中国の高リスク部門に対する輸出が占める比率は高く、香港ではGDPの74%、シンガポールでは15%に達しているからだ。

 

モンゴルも中国向け輸出が非常に大きく、したがって中国経済減速に苦しめられる可能性は高いうえに、ネガティブな価格効果による二重の打撃を受けている(高リスク輸出がGDPの43%を占めている)。コモディティ価格低下、関連部門における中国での投資減少による影響で、モンゴルは鉱物、金属、燃料に対する需要の低下に悩まされるだろう。

 

  • 中程度の悪影響:タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム

 

このグループに含まれる諸国は、中国向け輸出の比重が高いため、金融・貿易面でのエクスポージャーは大きい。とはいえ、GDP総額に占める高リスク輸出は10%以下である。したがってこれらの国は、中国経済がソフトランディングに漕ぎつければ成長の挫折を避けられるだけの体力が十分にある。中国向け輸出が10%減少しても、これら諸国の経済において成長の損失は1ポイント以下だろう。最後に、これら諸国にとっては中国の競争力低下がプラスとなっており、結果的にFDIが増加している。

 

  • 悪影響から最も距離を置ける国:インド、フィリピン

 

これら諸国と中国との貿易関係は限定的であり、金融面で悪影響を受けるリスクも同様である。またコモディティ価格の低下も追い風になっている。だが、湾岸諸国が中国経済の減速の影響を受けるということになると、後日、インドもリバウンド効果に苦しむ可能性がある。フィリピンは中国との賃金ギャップが縮まることによる影響を受けるかもしれない。だが中国における最近の労働コスト上昇が急激に減速しない限り、フィリピンのFDIには顕著な影響は出ないだろう。

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