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2015.06.08
カントリーリスク&経済レポート

生乳クオータ制度の廃止:新たなルールへ

The end of milk quotas: New rules

2015年4月1日、欧州で生乳クオータ制度が廃止された。この制度は、いわゆる「バターの山」「ミルクの湖」をもたらした生産過剰への対応として1984年に導入されたものである。この廃止に伴い、30年ぶりに、市場原理によってのみ生乳生産量が決まることになる。フランスの酪農家はその準備ができているだろうか。生乳クオータ制度の廃止によって、生乳生産者が急成長するアジア市場に供給できるようになるのだろうか。あるいは、有機生産品に対する高い需要に対応できるようになるのだろうか。

 

欧州連合の優位

 新興市場諸国の成長に牽引されて、世界の生乳生産量は56%増大した。欧州連合内では、2008年から2013年にかけて消費が2%減少する一方で、活発な輸出がこの部門を支えてきた。欧州における生産量首位はドイツで総生産量の22%を占め、これにフランス(17%)、イギリス(10%)が続いている。

 世界的にもフランスは代表的な生産国の一つであり、第8位となっている。過去30年にわたって生乳生産部門は一連の合理化を進めており、酪農家の数は絞り込まれ、生産性は急激に改善された。さらに、1983年の時点ではフランス全土に酪農家が広がっていたが、合理化によって地理的な集中が進んだ。2013年には、フランス西部における生乳生産が欧州連合全体の生産量の6.8%を占めるに至っている。

 

倒産件数は少ないが、価格・コストの変動に悩まされる

 フランス酪農部門における企業倒産は、酪農用家畜の育成農家の倒産が占める比率が高いことを特徴としていた。だがその影響は、こうした事業の大半に支払われる補助金によって緩和されてきた。この部門の企業の倒産比率は、フランス企業全体の平均(2.54%)に比べ、0.38%と大幅に低い。

 だがこの部門は価格・コストの不安定さに対するエクスポージャが高く、酪農場を経営する際の大きな不確実性はこの部分に由来している。また、他の欧州諸国の酪農業と異なる生産モデルとなっていることも特徴である。高地農業と兼業している畜産農家は、平地の肥沃な農地における農家に比べて、価格・コストの変動による影響を受けやすい。こうしたモデルでは、外部からの補助金の支払いなしに十分なレベルの収益性を保障することができない。だからこそ、少しでも価格下落の可能性が生じることを農家が恐れているのである。

 

既存の戦略と将来の発展

 第一に、新たな市場を獲得するために輸出を推進することができれば、フランスにとって利益になるだろう。フランス酪農の国際的な地位は高く、貿易収支は黒字であり、高品質な製品に対する評判もある。新興市場諸国、特にアジアでは、消費者のあいだで酪農製品への欲求が高まっている。さらに、酪農製品は所得弾力性が高い。所得がやや上昇するだけでも、需要は大幅に増大する。

 第二に、生産/加工/流通プロセスの垂直統合は、事業者が利益率を確保するうえでプラスになるだろう、フランスでは売上高全体に占める直販の比率が現在わずか3.3%なので、直販体制という点で工夫をする余地が大きい。

 最後に、フランスでは有機認証農地の比率が低いものの(競合する他国との比較において)、2005年以降は増大している。フランスの農家がこのセグメントに移行するには時間を要している。とはいえ、有機認証を受けた家畜頭数は過去10年間で倍増している。より健康的な食材ならば高くても買おうという国内消費者は増えているので、こうしたトレンドは明るい兆候である。

 

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  • Introduction
  • The dairy market
  • Negative effects of liberalisation for french milk producer
  • Winning strategies exist

 

 

 

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