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2015.01.23
カントリーリスク&経済レポート

トルコ:通貨下落と国内需要の低迷が企業支払い動向に影響を与える

トルコ:通貨下落と国内需要の低迷が企業支払い動向に影響を与える
  • トルコ企業の支払い動向は国内需要と為替レートに左右される。
  • 2014年年初からの為替レートの急落が企業の収益性に悪影響を与えた。
  • 金利上昇と緊縮マクロ経済政策により国内需要が低迷し、支払い動向に悪影響を与えている。
  • コファスは、特に建設部門における住宅セグメント及び金属部門における非鉄金属・鉄鋼セグメントのリスクに注目している。

 

2013年5月、米連邦準備制度理事会のベン・バーナンキ議長が出口戦略を明らかにしたことで、金融市場では、開発途上国市場に対するリスク認識の変化を特徴とする新たな時期が始まった。大きな経常赤字と輸入依存度の高い製造部門を抱えた状態でこの時期を迎えたトルコは、その後3回の選挙を経験した。

 

2013年12月に始まった為替レートの急落は、1月末に中央銀行が金利を大幅に引き下げたことでようやく安定した。だが、このリラ下落は、依然として企業のバランスシートに悪影響を与え続けている。他方、同じ年の初めに経常赤字の抑制を目的として銀行規制監督庁(BRSA)が導入した与信制限措置は、国内需要を減速させた。これもまた、企業による売掛債権の回収を困難にしている要因の一つである。

 

こうした流れのなかで、主として国内市場向けに生産・販売が集中している部門においては、支払い能力の低下が見られ始めた。手形の拒絶、小切手の不渡り双方が増加していることも、この支払い能力の低下を裏付けている。

 

小切手利用総額及び不渡り金額の年別推移

Amout of checks and bad checks_jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*企業が利用した小切手

出典:産業省、企業情報システム                  

 

 

小切手不渡り金額は2014年1〜10月に159億リラに達し、5.9%まで増加した。拒絶された手形の合計額も、金利上昇と国内需要の減速を背景に、やはり2014年1〜10月で前年比9.1%増となった。

コファスの予想では、トルコの経済成長率は2014年が3.1%、2015年は3.5%になると見ている。2014年11月、コファスはトルコのカントリーリスク評価をA4からBに引き下げた。理由は、成長展望の悪化、民間債務の増大、不安定な為替レートである。

2013年末の為替レートの急落によって、産業省企業情報システムに登録されている297万3000社が被った為替差損はかなり大きくなったと見られる。実際、為替差損の額は、2012年末の451億リラから2013年末の時点には1188億リラとなっている。これは為替レートの変動に対する企業の脆弱性を示す重要な指標である。

 

「為替レートと国内需要の水準がトルコ企業の収益性に影響する二つの重要な要因になっていることを考えると、2015年第1四半期における国内需要の緩やかな回復は、企業の収益性にプラスの効果をもたらす可能性があります。しかし、グローバル経済の動向、地政学的なリスク、予想される米連邦理事制度による利上げプロセス、予定されているトルコ総選挙といった点を考えると、為替リスクは今後も続くと思われます。つまり、企業が自社のキャッシュフローと借り入れを、従来よりもはるかに意識的に管理しなければならない時期に入りつつあるということではないでしょうか」(Seltem IYIGUN、コファス中東・北アフリカ地域担当エコノミスト)

 

 

コファスが注目している主な部門リスクは次のとおりである:

 

金属部門(非鉄金属、鉄鋼):原料供給の輸入依存、原料価格の下落、為替レートの変化による借入コストへの悪影響が、この部門の企業が直面している主なリスクである。

 

自動車部門:今年初めの増税、金利上昇、消費者ローン抑制のためにBRSAが導入した緊縮マクロ経済政策、為替レートの変動その他の要因により、国内販売がかなり減少する結果となった。ただし輸出に関しては明るい展望が続いている。

 

食品部門:食品生産者にとって最大のリスクは、年間を通じて続いた干ばつによる生産コストの上昇である。

 

化学部門:原料供給のほぼ70%を輸入に依存していること、この部門にとって重要な販路の一つである建設部門が減速していることが、この部門が直面している主なリスクである。

 

建設部門:住宅に関しては、金利上昇と景気減速による不確実性の増大が消費者信頼感の後退を招いているように思われ、これが住宅需要に悪影響を与えている。需給ギャップの拡大ももう一つのリスク要因と見られている。

 

小売部門:民間消費はトルコのGDPの約3分の2に相当している。最近のデータによれば、小売売上高は上昇を続けており、この部門のリスク水準が高いとは思えない。

 

繊維・衣料部門:この部門は、国内・海外市場双方を対象とした高い生産・販売能力を有しており、リスク水準は中程度である。欧州市場及びリラ安に支えられた輸出は、この部門のパフォーマンスに好影響を与えている。

 

製薬部門:基準薬制度及び激しい競争による価格下落圧力により、企業の収益性に悪影響が生じている。

 

 

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目次
  • 為替レートの上昇と国内需要の低迷が支払い状況に影響
  • 収益性の低下が支払いを困難に
  • セクターリスク:金属部門(鉄鋼を除く)-自動車部門-食料部門-化学部門-建設部門-小売り部門-繊維と衣料部門
  • まとめ
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