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2016.05.31
カントリーリスク&経済レポート

2015年、アジア・パシフィック地域における企業支払は回復せず

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中国、インド、シンガポールにおける支払遅延状況が悪化。

建設、産業用機械及び電子機器、自動車及び輸送、金属などは最もリスクの大きなセクターである。

 

コファスによるアジア・パシフィック地域経済の年次調査は、8市場の合計2,793社を対象に実施された。調査対象となった企業の70%が2015年に支払い遅延を経験している。この数値は2014年と比較して改善されていない。さらに、回答者の56%が、2016年も世界経済は回復しないと考えている。

 

中国、インド及びシンガポール:企業支払の状況は悪化している

 

中国での企業の支払状況は全体として引き続き低調である。2015年に支払期限を遅延したという回答は80%に上る。平均の遅延期間が90日以上と回答した割合は21%。これはアジア・パシフィック地域で最も高い数字である。多くのセクターにおける高レバレッジと生産能力過剰の問題が未解決なままなのに加え、人民元の下落圧力と株式市場の乱高下とが2016年の中国市場の懸念となりそうである。

 

インドでは、遅延問題を経験したという回答は84%に上る。超長期支払遅延が年間売上高の2%以上を占めると回答した割合は顕著に増えた(2014年の24%に対し、32%)。不良資産の問題は、銀行の融資能力と利益性の低下につながるだろう。それはすなわち、銀行の信用管理が厳しくなることで打撃を被る会社が出てくることを意味する。改革実施のスピードが予想外に遅かったことが、中期見通しに影を落とす可能性は高い。[1]

 

シンガポールでは、超長期支払遅延が年間売上高の2%以上を占めると回答した割合が急増した(2014年の23%から35%へ)。さらに、平均遅延期間が90日以上と回答した会社の割合(2014年の10%から14%へ)と遅延金額が増加したと回答した会社の割合(2014年の35%から49%へ)もそれぞれ増えた。コモディティ市場における世界の大手がアジアにおける拠点としているシンガポールは、コモディティ価格の下落と増大する一方の世界経済の不確かさという背景に直面している。

 

「アジアの企業は遅延問題による深刻な財政的圧迫に晒されており、さらに近年の産業界の過剰生産能力による利益幅の圧縮、伸び悩む需要、そして競争の激化が追い打ちをかけている。2016年にも不払いの状況が改善する見込みはない」と、コファスのアジア・パシフィック地域担当エコノミストのジャキット・ウォンは言う。

 

 

 

 

 

 

建設、産業用機械及び電子機器、自動車及び輸送、金属などは最もリスクの大きなセクターである。

 

建設セクターは、2015年のアジア・パシフィック地域でも最もリスクの高い分野である。同セクターは、売上高に占める超長期支払遅延の問題に直面している、平均遅延期間が90日以上である、そして遅延金額が増加していると回答した企業の数が最も多かった。2016年も建設セクターは低迷する見通し。アジア・パシフィック地域最大の経済大国である中国の景気後退という逆風に、構造改革と米国金利引き上げのタイミングを巡る不透明さが加わって同地域の経済見通しに重くのしかかり、民間投資と消費者による住宅購入を冷え込ませる可能性が高い。ただし、同地域で今後も低金利(さらに引き下げられる可能性もある)の環境が続けば、購入意向が幾分下支えされることもありうる。進行中の公的インフラ事業も、建設部門の緩衝材となりうる。

 

産業用機械及び電子機器は、2015年に遅延問題を経験したと回答した割合が最も高かった(2014年の70%に対して78%)。2016年も産業用機械及び電子機器セクターにとっては厳しい年となりそうである。産業用機械分野は景気調整前段階にあり、貿易の伸び悩み、中国経済の重点のサービス業への移行、そして世界経済の日本化現象を背景とした弱い設備投資などの理由により、引き続き表面化しないものと思われる。同時に、(デフレまではいかなくとも)インフレの減速も価格に圧力を及ぼし、利益幅を圧縮するだろう。その結果、このセクターの一部の企業がM&Aという守備的な戦略を頼みとして市場競争力を高めようと考えたとしても不思議ではない。[2]

 

自動車及び輸送セクターにおいては、2014年と比較して2015年の支払遅延状況は悪化した。遅延金額が増加したという回答の割合は2014年の31%から35%に増え、超長期支払遅延に悩んでいるという回答も2014年の14%から23%に増加した。しかしながら、需要は中産階級の増加と地域全体における低金利環境の恩恵を受けるだろう。さらに、2015年10月1日から始まり2016年末まで適用されるエンジン排気量1.6リットル以下の自動車の減税から生じた中国における需要の高まりが、同セクターに今年何らかの刺激を与えるだろう。

 

金属セクターは2015年には何ら回復は見られず、引き続き厳しい状況が続くだろう。第一中国及び世界的な需要が振るわないこと、第二大幅な生産能力過剰、及び第三市場不均衡のさなかでの低価格などにより、2016年の見通しはマイナスである。このセクターは、中国における「ゾンビ」鉄鋼企業の閉鎖及びM&A活動の活性化をきっかけに、2016年に再編が勢いづくと考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[1] 過去のコファスの経験から、超長期支払遅延(180日以上)の金額の約80%は全く返金されない。ある企業の年間売上高の2%以上を超長期支払遅延が占めた場合、サプライヤーに対する支払い能力が疑問視されるようになり、その企業の流動性が問題となる。

[2] 低成長、インフレ圧力の不在、かつてないほどの拡張的通貨政策、及び金融市場における不安定性の増大。詳細については、2016年カントリーリスク・バロメーターQ1を参照のこと。

 

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  • Corporate payment survey results
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  • Economy by economy analysis
  • Appendix: Payment survey background
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