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2018.03.08
カントリーリスク&経済レポート

NAFTA再交渉 - メキシコの「ハイリスク 」な自動車産業は危機にまで悪化するか?

stamp with blue cars

メキシコの自動車産業は同国経済で重要な役割を果たしている。同セクターの規模は、1993年当時のGDPの1.5%、製造業生産高の8.5%から、2015年にはGDPの3%、製造業生産高の18%にまで拡大した。さらに、メキシコには28の自動車製造工場があり、直接的・間接的に170万人分の雇用を創出している。大統領選の初めからドナルド・トランプ大統領が用いていたレトリックは、まだメキシコの自動車セクターにダメージを与えるには至っていないが、NAFTAの再交渉とメキシコの選挙によってリスクは高まっている。

 

自動車セクターは、NAFTAの交渉において最も議論の対象となるテーマである

 

2016年の大統領選の開始当初から、ドナルド・トランプ大統領はNAFTAを繰り返し批判し、米国の対メキシコ赤字の原因であり国内の職を奪っていると槍玉に挙げてきた。交渉の中で最も議論を呼ぶテーマの一つが、自動車産業である。協定では現在、輸入関税の免税を受けるためには、完成車の部品の62.5%が加盟国由来のものでなくてはならないと定めている。再交渉にあたり、米国はこの割合を合計85%、アメリカ製品50%にまで引き上げようとしている。この提案を、カナダとメキシコは頭からはねつけている。メキシコで生産される自動車の60%は米国に輸出されているため、この結果はメキシコの輸出業者にとっては歓迎できないだろう。

 

米国の反自由貿易的発言やNAFTA再交渉の先送りなどはあるものの、コファスは最も可能性の高いシナリオは、結局のところ三カ国間の国際貿易上の繋がりのほとんどを維持する貿易協定が実現することではないかと見ている。

 

このシナリオの可能性を高める要素の一つは、米国とメキシコとの貿易関係の深さである。米国政府がNAFTAから脱退する決定をすれば、産業界や米国各州から強い反発が起きるだろう。

 

メキシコの選挙と消費者動向がリスクを高める

 

家計消費の判断は、NAFTA再交渉ともタイミング的に重なる可能性の高い2018年7月1日に予定されているメキシコの大統領選挙を巡る不透明さにも影響されるだろう。2017年末で、インフレ率は6.8%にまで上昇した。指標金利は2015年12月から450ベーシスポイント上昇しており、2018年2月時点で、年率7.5%に達している。2017年には、メキシコの車両登録は対前年比で4.6%縮小した。

 

 

政権交代があれば、国の財界寄りの経済的立場に影響が出るかもしれず、ひいてはNAFTA交渉におけるメキシコの立ち位置も大きく変わってくる可能性がある。犯罪の増加(2017年は過去20年間で最も暴力的事件の多い年となった)や汚職などに対してメキシコ国民の間に広がる不満が、反エスタブリッシュメントの感情を生み出している。これが、ポピュリストの候補が大統領選で勝利する可能性を高くしている。

 

対米貿易関係の先を見据える

 

メキシコは現在、45カ国との間に10の貿易協定を締結している。その数をさらに増やすとともに、EUとの貿易協定など、既存の合意の更新をも考えていると見られる。NAFTA交渉でメキシコにとって最悪の結果となった場合、最近の暴力事件の増加や法の原則のゆるさなどが投資の妨げとなってきたことを鑑み、同国は自国の経済環境の強化に注力するべきだろう。ワールド・ジャスティス・プロジェクト(WJP)の法の支配指標2017-2018年版では、メキシコは対象113カ国中92位となっている。対象となっているラテンアメリカ30カ国の中で、メキシコより下位に位置するのはグアテマラ、ニカラグア、ホンジュラス、ボリビア、ベネズエラのみである。

 

 

 

 

 

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