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2018.11.27
カントリーリスク&経済レポート

2019年のフランス企業: 企業の破産件数は増えているが、利幅の拡大が世界規模の貿易の減速の影響を吸収する

2019年のフランス企業: 企業の破産件数は増えているが、利幅の拡大が世界規模の貿易の減速の影響を吸収する
  • 2年続けての改善の後、破産件数は再び上昇傾向に転じ、これは2019年も続く見込み(+0.8%の予測)
  • この上昇傾向は主として、収益500,000ユーロ未満の小規模企業に影響する
  • フランス企業の輸出実績が思わしくない原因の一つは、利益率を増やすという企業側の選択である
  • これは、自動車、医薬品、航空宇宙、農業食品などほとんどの主要輸出セクターに当てはまる
  • しかし、この利幅の回復は2019年の世界規模の貿易の減速の影響を吸収する強みとなりうる

第3四半期には破産件数の反発が見られる

 

2年続けての改善の後、フランス企業の破産件数は2018年第3四半期には上昇に転じ、(2017年同期比で)+2.3%の結果となった。これは経済成長(2018年には1.6%)及び消費の減速と一致する。13の地域圏のうち9地域圏で影響が見られ、特に、昔から破産件数の多かったイル・ド・フランス地域圏で顕著である。一方でPACAとオーヴェルニュ=ローヌ=アルプでは件数は減少し、全体の上昇幅はある程度低く抑えられている。この段階では、影響は収益500,000ユーロ未満の小規模企業に限定されている。最も増加が顕著だったのは特にタクシー(+43%)などの輸送セクター(+19.7%)、そして農水産業(+15.2%)であった。合計で全破産件数の半分近くを占める建設(+1.9%)及び個人サービス(+8.8%)も、さらに悪化する結果となった。

 

この傾向の逆転の前、2014年からは企業は収益性を回復させることに成功していた。2018年9月末現在で、破産件数は対前年比で-4.5%となり、さらに財務費用と人件費もそれぞれ-5.4%と-4.8%減少し、大企業の経営の健全性が回復したことが確認された。逆説的ではあるが、競争力・雇用税額控除(CICE)の発効と、責任及び連帯に関する協定(Responsibility and Solidarity Pact)に基づく雇用者の負担減などによる、費用競争力の増加(2014年から2016年の間に+5.5%)は、輸出実績の改善にはつながらなかった。

 

輸出をけん引するセクターは、国際市場における市場を犠牲にしても利幅を選んだ

 

フランスの輸出に関する数字はさらに思わしくない。ユーロ圏の他の主要経済との違いは顕著だ。2014年以降、スペイン(+1.9%)、イタリア(+0.8%)、ドイツ(+0.3%)はいずれも輸出が増加したが、フランスでは減少(-0.4%)している。しかしながら、これらの国の費用競争力の改善幅ははるかに小さい(スペインでは+2.2%、イタリアでは+0.9%)か、あるいは競争力が減じてさえいる(ドイツでは-0.3%)。

 

このフランスの費用競争力の増加と輸出実績との断絶は、企業がこの競争力の増大分の一部のみを輸出価格に反映させ、輸出市場におけるシェア拡大よりも利益率の回復を選んだことが理由と考えられる。

 

  •  これは、2014年から2016年までの間に貿易収支が悪化したほとんどの主要輸出セクター、すなわち自動車、航空宇宙、医薬品、農業食品、コンピュータ、及び電気機器について当てはまる。
  •  利益率の削減を選んだセクターはほとんどなく、機械工学だけが例外だった。
  •  投入原価の低下と一部の商品の輸入の減少などに支えられた医薬品、そして精密機械セクター及びアルコール飲料産業など、一部のセクターでは貿易収支を改善させながら、同時に利益率も拡大させることに成功していることは注目に値する。

 

2019年:利幅の回復は世界規模の貿易の減速の影響を吸収する強みとなりうる

 

コファスはフランスにおける破産件数が、2018年に-3.4%の減少を記録した反動で、2019年には+0.8%と増えると予測している。とりわけ保護貿易主義の台頭に伴う国際環境の悪化と、根強い供給困難により、GDP成長率は2019年には1.5%減少することが予想される。コファスが自社のモデルの中で用いる指標のひとつである建設における信頼感指数も、引き続き低下すると見られる。

 

この逆転にもかかわらず、利益率は2019年も満足のいく水準で安定して推移し、企業は世界的規模の貿易の減速による影響を軽減する、あるいは輸出実績の伸びにつなげることさえも可能になると思われる。2019年の財政法案に含まれている方策は、健康関連企業には大きな影響を及ぼさないだろう。競争力・雇用税額控除(CICE)の正味の負の影響は、結果として生じる課税対象企業利益の増大による雇用者負担の恒常的減少につながるものだが、それは生産性の継続的改善によって相殺されると考えられる。

 

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