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2020.06.29
カントリーリスク&経済レポート

スペイン、イタリアの企業バランスシートはCOVID-19のショックを吸収できるか

スペイン、イタリアの企業バランスシートはCOVID-19のショックを吸収できるか

2020年第2四半期は今年最も困難な時期になりつつあるが、回復への道が長く辛いものになると考える理由は十分に揃っている。当面の納税猶予や流動性保証といった救済措置はあるものの、多くの企業は苦境に陥る可能性が高い。

 

 

コファスの予測では、COVID-19による経済的な打撃を最も強く受けるのはスペインとイタリアで、2020年にはそれぞれ12.8%、13.6%のマイナス成長が予想される。2021年までの企業倒産は、2019年の水準に比べ、スペインでは22%、イタリアでは37%増加すると予想される。コファスでは2021年に関して、スペインとイタリアのGDPはそれぞれ10.2%、8.9%回復すると予想するが、それでも2019年を3.9%、5.9%下回る水準に留まる。

 

「ゾンビ企業」が残るイタリア、脆弱な企業の広がりが顕著

 

GDPのマイナス成長が企業のバランスシートに与える潜在的な影響を評価するため、コファスでは、セクター、企業規模による差異を考慮したスペイン、イタリアの中央銀行のデータを用い、企業の支払い能力の推移に関するシミュレーションを試みた。

 

金利はきわめて低い水準にあるとはいえ、企業の負債が過大であるのに加え、民間投資も低調である。結果として、COVID-19による危機は国の成長力に持続的な下方圧力を加え、ユーロ圏の「ジャパナイゼーション(日本化)」を加速させる可能性がある。

 

スペイン、イタリアの企業のバランスシートについては、この点を念頭に置いて、より注意深く分析するべきである。南欧諸国の企業セクターにおける債務と流動性の分布を検証することは、脆弱性が集中している部分を特定するうえで有益であろう。

 

2009年のグローバル金融危機直前に比べれば、スペイン企業、イタリア企業の現在の財務状況は健全である。グローバル金融危機の後、スペイン企業は債務を20パーセンテージポイントと大幅に減らすことに成功し、2019年第3四半期の時点では、負債の対資産比率は37%にまで抑え込まれている。イタリア企業でも2011年第4四半期に負債の対資産比率が59%でピークに達した後、財務状況は改善されているが、スペイン企業に比べると見劣りする。現在その比率は50%であり、欧州主要国のなかでは、イタリア企業の負債比率が最も高くなっている。

 

資金調達と投資のあいだのミスマッチの拡大は、イタリアでは「ゾンビ企業」が数多く残っていることを示唆している。つまり、過大な負債のため将来の成長に向けた投資ができない企業である。

 

自動車、建設、小売は高リスク

 

コファスでは、企業の脆弱性は、コロナ禍によるショックの強さだけではなく、コロナ禍以前のバランスシートの不安定さを踏まえて、セクターと規模によって変わってくると予測している。

 

大手自動車メーカーは流動性を低く抑えておく慣行があるため、苦境に陥る可能性がある。2018年末の時点で、売上高に対する比率で見た自動車メーカーの手元資金は、イタリアでは2.7%、スペインでは0.5%に留まっていた。

 

小売・建設セクターに関しては、借入比率が高く、インタレスト・カバレッジ・レシオが低いため、特に脆弱性が高いように思われる。これはイタリアの小規模な繊維メーカーも同様である。

 

コファスでは、イタリアでは潜在的に脆弱性の高い企業も広がっていると見ている。ほとんどの場合、これは期首キャッシュフローの低さ、収益性の低さ、コスト調整の速度がやや遅いことによって説明できる。この状況のもとでは、多くの企業は、存続のために負債水準をかなり増やすことを覚悟しなければならないだろう。

 

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