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2020.04.29
カントリーリスク&経済レポート

COVID-19により、新興市場諸国の債務に改めてスポットライトが当てられる

COVID-19により、新興市場諸国の債務に改めてスポットライトが当てられる

これまでは主に中国、欧州及び米国に焦点が当てられてきたが、COVID-19のパンデミックの影響は、新興経済国においてさらに深刻なものになる可能性が高い

今回のショックに対するこれらの国々の脆弱性は多くの要素に左右されるが、これらの国の公共財政の出発点が重要となる。出発点の状況によって、危機の様々な経済的影響に対応する能力が決まるからである。しかし、これらの国々の公的債務は既に2019年の段階で過去最高となっていた。コファスは、パンデミックが(経済面及びセクター面で)新興市場諸国の発展に及ぼす直接的なリスクを評価する。

資本流出とソブリン・リスクの拡大は、現地通貨建て債務を抱える経済においても同時に発生している

新興市場においては、世界経済の不安定さの最も直接的に見られる影響はかつてない規模の資本流出である。3月中、24の新興市場における海外投資家による債券及び株式の売却額は合計で800億米ドルを超えた。これは2008年の最終四半期と比較して4倍に増加している。

第1四半期を通じて、実体経済の強い各国の通貨は下落した。より一般的には、金融市場の流動性の高い新興市場諸国の通貨が最大の打撃を受けている。この期間中、米ドルに対して通貨が最も大きく値を下げたのは、ブラジル、南アフリカ、ロシア及びメキシコ(いずれも25%以上)で、これにコロンビアとインドネシアが続いた。

資本流出は4月前半にはそれほど顕著ではなかったという点に注目しておくことは重要である。これらは現地通貨でのソブリン利回りの引き下げにつながった。ソブリン債の発行は当然ながら発行体にとって為替リスクをヘッジすることになるが、金利のさらなる上昇を招くものでもある。現地通貨での債券発行能力がないという「原罪」から解き放たれたと考えていた国々も、究極的には今もまだそこから逃れられていない。

多くのより小規模な新興経済国や開発途上国は、それぞれの国の現地通貨で発行ができずにいた。これらの国々は、ここ数年の十分な世界的な流動性を利用して債券を、ただし外国通貨で発行してきた。ところが今では、これらの債券もソブリン利回りの上昇の打撃を受けている。特にエクアドル、アンゴラ、スリランカではこの傾向が顕著に見られる。

これら資本流出の規模を抑えるため、新興市場諸国の中央銀行は外国為替市場に介入することを決めた。欧州中央銀行や米FRBなどその他の組織は、一部の国(フィリピン、コロンビア、南アフリカ及びポーランド)のソブリン債をも含む資産購入計画を打ち出している。

今回の危機の前から既に多額の債務を抱えていた新興経済国は、ロックダウン、原油価格の下落、そして観光収入の減少という3つのショックの影響を受けることになる

公共財政のリスクと通貨下落に加えて、コファスではカントリーリスク評価にあたり、新興市場諸国がCOVID-19に伴うリスクにさらされることも考慮に入れている。

第一に、パンデミックの影響を受けて政府が強制的な封じ込め策を取ることを決定した国では、コロナウイルス危機による歳入の減少の結果として生じる債務の増加と、医療関連の支出や国民への経済的な影響を軽減するための支出に直面しなくてはならない。2020年4月10日現在、87カ国がこの状況に置かれている。

歳入を観光に依存する国々(GDPの15%以上という基準)も、国際的な渡航制限の影響を受ける。国民の健康状態の悪化を防ぐため、これらの国の多くは封じ込め策を講じ、入国者に対して国境を閉鎖している。観光セクターがGDPの15%以上を占める国は、モロッコ、チュニジア、メキシコ、タイ、フィリピン、クロアチア、カンボジアなど45カ国に上る。

歳入を非農業原材料の輸出に依存する新興市場諸国も影響を受ける。コファスでは年の後半には価格の反発が起きると予想しているが、その予想(2020年のブレント原油先物平均価格がバレル当たり45ドルと予想される)では主要輸出国の予算経常収支のバランスを取るには十分ではない。この「価格」の影響に加えて、需要の低下による価格下落の規模を抑えるために生産量を大幅に減らすことに同意した諸国(サウジアラビアを含む)では「量」の影響もあるのだから、なおさらだ。コモディティ輸出国は、今年最も予算の収支が悪化すると予想される国でもある(IMFのデータによれば、アルジェリアとオマーンはそれぞれGDPに対して-15%及び-16%と予想される)。

現在、これら4つの脆弱性要因のうち3つの影響を受けている国は、南アフリカ、アルジェリア、アンゴラ、エクアドル、レバノン、モーリタニア、オマーン、チュニジア及びベネズエラの9カ国である。2つの要因の影響を受けている国は31カ国、そして1つの要因の影響を受けているのは71カ国である。

国際機関(特にIMF)が追加で計画した資金調達と、債権国が発表した債務調整は、多くの低所得国の助けとなるだろうが、主要新興市場諸国にとってはあまり役には立たないと思われる。

 

 

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