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2017.07.10
カントリーリスク&経済レポート

アジア企業の支払調査2016:テールリスクの兆し

Asia Corporate Payment Survey 2016: Tail risks are on the rise

コファスが行った最新の企業の支払調査は、アジア太平洋地域の2,795社を対象としたものである。調査対象は、オーストラリア、中国、香港、インド、日本、シンガポール、台湾、そしてタイの8市場である。また、11セクターにおける企業の支払の変遷を辿っている。[1]

 

  • 調査対象となった企業の64%が2016年に支払い遅延を経験している。
  • 平均の遅延期間が120日以上と回答した割合は12.5%(2015年から+4.3パーセンテージポイント)と、過去4年間で最高
  • 25%以上が、超長期支払遅延を経験2
  • 中国、オーストラリア、及びタイで状況は悪化している一方、他の国の支払状況は安定した状態を保っている
  • 最もリスクの大きなセクターは、建設、産業用機械及び電子機器、IT及び通信、そして金属

 

「2017年も、中国経済と関連している世界的な不安定さに満ちた厳しい年となりそうです。これに、コモディティ輸出国が直面している財政課題と、米国の金融政策の引き締めが加わります。これらの要素をすべて考慮に入れると、対象となっている8つの経済圏における企業の支払い状況は全体として低調が続くと思われます」と、コファスのアジア太平洋地域担当エコノミストであるカルロス・カサノヴァ(Carlos Casanova)は言う。

 

中国、オーストラリア及びタイ:企業支払の状況は悪化している

 

調査対象となった企業の64% が2016年に支払い遅延を経験している。支払い遅延のリスクは、地域全体で引き続き増加していると見られる。平均遅延日数は、2016年に入って長期化している。120日を超える遅延を経験した回答者の割合は大幅に増えており、2015年の8.2%から2016年には12.5%となっている。

 

Average overdue days, % of respondents

 

2016年、超長期支払遅延の金額が年間売上高の2%を超えると回答した企業の割合は増加した(2015年の24.2%に対して25.8%)。より細かいレベルでは、データは超長期支払遅延の金額が年間売上高の10%以上に当たる企業では、状況が着実に悪化していることを示している。こういった企業の割合は、2014年の3.4%から2015年の5.1%を経て、2016年には5.4%にまで増加し、企業のキャッシュフローは大幅に減っている。[1]

 

 

Overdue amounts as % of annual turnover,

 

状況は地域全体を通じて悪化しているが、一方でいくつか地理的な差も明確に見られる。不払いリスクの増加が最も顕著にみられたのが中国で、タイ、オーストラリアと続く。超長期支払遅延の金額が年間売上高の2%を超えると回答した企業の数は、オーストラリア(14%)と日本(9%)で増加したが、それでも数字そのものは比較的低水準にとどまっている。シンガポールと香港では改善が見られた一方、台湾では状況には大きな変化はない。

 

 

分析対象のセクターのうち半分で、支払遅延状況は悪化している

 

建設セクターは、引き続き2016年のアジア太平洋地域で最もリスクが高い。超長期支払遅延の金額が年間売上高の2%を超えると回答した企業の割合は33%で、コファスの調査の全セクターの中で最も高かった。中国の景気後退という逆風に、米国における金融・財政政策の先行きの不透明さが加わり、同地域の経済見通しに重くのしかかる可能性が高い。これが、民間投資と消費者の住宅購入のマインドを冷え込ませている。さらに、一部のアジア太平洋地域の経済圏(オーストラリア、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国など)では、家計の借金が引き続き高い水準のままだ。これが住宅購入力に影響を及ぼす可能性がある。特に、米連邦政府の公的インフラ投資に合わせて金利が上昇すれば、一部の地域では2017年の建設セクターの更なる急速に対してクッションの役目を果たす可能性がある。

 

2016年の最も支払状況のよくないセクターとしては、建設セクターと僅差で産業用機械及び電子機器セクターが続く。さらに、超長期遅延の金額が年間売上高の2%を超える企業の割合は、2016年も高いままだった(32%)。この点が、産業用機械及び電子機器セクターのテールリスクを増加させ、2017年も同セクターにとっては厳しい年となりそうである。景気循環的な要素は、この年の後半に向けても中国の経済活動の減速やアジア太平洋地域における設備投資の縮小により、鈍い需要を示している。中国における飽和の兆候と、市場の細分化により、競争が激化する。さらに、中国(生産者価格のインフレが2月から減速している)を含むアジア太平洋地域の主要市場にデフレ圧力が戻っていることで、さらに利鞘が縮小する可能性もある。 

 

不払いリスクは、IT・電気通信セクターにおいて支払遅延金額の増加(2015年の29%に対して2016年は32%)と超長期支払遅延の増加(2015年21%に対して2016年31%)に見られるように悪化した。。アジア太平洋地域の一部の経済の公的インフラ投資や、中国の一帯一路構想のような戦略的メガプロジェクトにより、近い将来、さらなる需要が生まれると思われる。これにより、特に通信分野においてはほっと一息がつけるだろう。それでもなお、ITセクターの厳しい市場競争と、流動性条件の悪化とにより、2017年はM&A活動に資する環境が予想される。

 

金属も引き続き最もリスクの高いセクターとなっているものの、2016年にはコモディティ価格の回復という追い風もあった。金属セクターは2017年も、引き続き厳しい状況に直面するものと思われる。中国経済は減速の兆候を示し始めており、当局は住宅投機及び需要を抑える手段を講じている。これは、金属価格の再びの低下を招くことになりかねず、もしこれが実現すれば利鞘に影響が及ぶことはほぼ確実である。2016年の宝鋼集団と武漢鋼鉄との合併に続き、このセクターの改革は今後も続くものと思われる。2017年には、中国の鉄鋼セクターのゾンビ企業の閉鎖とM&A活動の活性化が予想される。

 

 

[1] 調査対象となった11セクターは、自動車及び輸送、化学、建設、家電、産業用機械及び電子機器、IT及び通信、金属、紙・木材、医薬品、小売、及び繊維・衣類である。

[2] コファスの経験上、超長期支払遅延の金額の約80%は全く返金されない。ある企業の年間売上高の2%以上を超長期支払遅延が占めるとき、不払いリスクが目に見えて現れた場合はその企業はキャッシュフローの不足に直面することになり、厳しい流動性と資金難に繋がる。

 

 

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