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2016.09.13
カントリーリスク&経済レポート

北アフリカの農業食品セクター:自然に翻弄される重要なセクター

Agrofood in North Africa: a strategic sector at nature’s mercy

 

  • 人口増、加工食品に対する需要増、一人当たり国民所得の増加、そして生産能力の増強など、いくつかの好材料が農業食品セクターを後押ししている。
  • インフラ、気候、及び政府戦略が主な要因である。

 

 

農業食品セクターは様々な要因に左右される

 

農業食品セクターは、依然として北アフリカ市場の最重要セクターの一つである。国民産出量への貢献度には地域を通じてばらつきがあるものの、2014年には、チュニジアのGDPの9.5%、アルジェリアの12.7%、エジプトで13%、そしてモロッコで15.6%を占めた。2015年の農業食品セクターは、エジプトの全労働力の21.7%の雇用を占めた。この割合はチュニジアで15%、そしてモロッコで約40%であった。[1]

 

農業食品セクターを後押ししている好材料としては、人口増、加工食品に対する需要増、一人当たり国民所得の増加、そして生産能力の増強などが挙げられる。それでもなお、局地的条件や政府戦略などの主な要因が、各国が直面する主な課題に影響を及ぼしている。一般的に、農業と農業食品セクターを支援する政府戦略は、需要に見合う食料供給を確保することに主眼を置いている。これは、同地域において人口と一人当たり国民所得が急増していることもあり、真剣な課題である。

 

既に大きな進歩が見られるものの、いくつか残された問題もある。そのうち最大のものは、比較的乏しいインフラであり、これが輸送費を押し上げ、それによって利幅が少なくなっている。地域によっては、地理的・気候的条件が厳しく、ほとんどの農産物の栽培が不可能というところもある。同地域における食品価格の低迷は、農業食品セクターにおける新規投資を遠ざける影響もある。

 

モロッコ、アルジェリア、エジプト及びチュニジア:明暗がくっきりわかれる

 

農業関連産業の重要性は、北アフリカ経済においても国によって異なる。北アフリカ地域全体を見れば、農業食品セクターは主導的な輸出産業だが、国別に見ると必ずしもそうではない。

 

  • モロッコの農業関連産業は政府補助金の恩恵を受け、GDPの16%を占めており、人口の40%近くの雇用を提供している。全体として、モロッコは北アフリカ諸国の中でも最もリスクのレベルが低い。

 

  • アルジェリアは農業製品の主要生産者ではなく、そのため国内需要を満たすために食品の輸入に頼っている。原油価格の急落により外貨準備高の切り崩しに直面しているアルジェリア政府は、貿易収支の改善に向けて複数の施策を打ち出している。これらの施策には、食品や農産物の輸入の削減策も含まれている。

 

  • 2011年から2013年にかけての政治的混乱から立ち直り、政情が安定したエジプト。特に、政府が農業セクターの発展を優先していることもあり、農業関連産業も回復し始めている。

 

  • チュニジアに関しては、経済の主力は観光業であり、農業関連産業は北アフリカの他の諸国と比べて重要度が低い。

 

主要な課題:食料価格の低迷と困難な気象条件

 

主要な食料コモディティの国際価格は、5か月連続で上昇した後、7月になって少しずつ低下し始めた。FAOの食料価格指数(FPI)は2016年7月の平均は161.9ポイントと、6月に記録された水準から0.8%(1.3ポイント)低下した。2015年7月の数字と比較すると1.4%低い。2016年の1月から7月までの7か月間の食料価格は、昨年と比較して9%下落している。7月の全体的な価格下落は、主として穀物と植物油の国際相場の下落によるものである。[2]

 

世界的な食料価格の低下は、農業が経済成長の鍵を握る北アフリカにとっては深刻な問題となる。高い投入原価、乏しいインフラ、そして困難な気象条件などの悪条件と相まって、農産物の生産はより一層の努力と政府からの支援を必要としている。生産国にとって最大の脅威は干ばつだが、それに加えてエルニーニョ(海面温度の異常上昇によって、異常気象を引き起こす自然現象)も、豪雨、洪水、極端に高温・低温の気候などを生じさせ、さらに生産を困難なものにしている。また、自然現象に関するリスクとしてはラニーニャも挙げられる。FAOによれば、2016年の気象モデルは現在ラニーニャ(エルニーニョの逆)の可能性が高まっていると予測している。これが発生すると、降水量と洪水が増える可能性があり、それによって既にエルニーニョ現象の影響を受けている地域がさらに被害を受ける可能性がある。

 

気象条件は、北アフリカ諸国のコモディティ価格の水準に直接影響を及ぼすので、極めて重要である。こういった状況により、北アフリカ各国政府はそれぞれ、補助金や、インフラ向上のための投資促進などを通じて、農業セクターを支援している。生産量の大きな変動を引き起こす悪天候の条件にもかかわらず、農業セクターは様々な可能性に満ちている。人口増、可処分所得の増加、そして経済拡大などはすべて、売り上げ拡大の見通しを後押しする。今後、これらの支援により、農業食品セクターのための、より統合の進んだ、効率的で生産的なサプライチェーンが確立される可能性がある。

 

[1] Business Monitor Internationalによるデータ

[2] 食料価格指数は7月にわずかに低下、2016年8月、FAO

 

 

 

出版物をダウンロード

  • AGRIBUSINESS: A strategic sector for North Africa
  • BOX: Production trends in North Africa, in the light of low commodity prices
  • INTERVIEW: Jean-Christophe Batlle, Mediterranean & Africa Region, African Countries Manager, Coface

 

 

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